抗血栓トライアルデータベース
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J-RHYTHM Registry use of warfarin
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,warfarinはPT-INRが1.6~2.59に保たれれば,超高齢者であってもすぐれた効果を発揮しうる。

目的 80歳以上の日本人における心房細動有病率は2~3%とされ,社会の高齢化にともない,今後増加することが見込まれている。そのため抗凝固療法による発症抑制が重要となるが,高齢者に対する抗凝固療法に関するデータは限られている。本研究では,J-RHYTHM Registry のデータを用い,超高齢のNVAF患者における抗血栓療法の状況,虚血性/出血性イベント,死亡率について,年齢ならびにPT-INR値別に検討を行った。血栓塞栓性評価項目:症候性脳梗塞,TIA,全身性塞栓症。安全性評価項目:大出血(頭蓋内出血,消化管出血,入院を必要とする出血)。
デザイン 前向き観察研究のpost hoc解析。
セッティング 多施設(158施設),日本。
期間 追跡期間は2年またはイベント発生まで。
対象患者 7,406例。J-RHYTHM Registry登録患者7,937例(外来の心房細動患者連続例)のうちのNVAF患者。
【除外基準】-
【年齢別の患者背景】患者数は<70歳群3,365例,70~84歳群3,711例,≧85歳群330例。それぞれの平均年齢61.0歳, 76.1歳, 87.4歳。それぞれの男性78.7%, 64.8%, 56.7%。心房細動のタイプ:発作性42.0%, 35.7%, 28.8%, 持続性16.1%, 13.4%, 12.7%, 永続性41.8%, 50.9%, 58.5%。心不全23.2%, 30.0%, 49.4%, 高血圧54.5%, 65.6%, 63.0%, 糖尿病17.4%, 19.2%, 19.4%, 脳卒中/TIA 10.9%, 15.9%, 20.0%。warfarin投与83.9%, 89.4%, 79.7%。PT-INR<1.6: 26.4%, 25.2%, 32.7%, 1.6~1.99: 34.9%, 38.3%, 35.0%, 2.0~2.59: 30.1%, 28.4%, 22.8%, 2.6~2.99: 5.9%, 5.5%, 5.7%, ≧3.0: 2.6%, 2.6%, 3.8%。TTR(<70歳はPT-INR 2.0~3.0, ≧70歳は1.6~2.6)42.6%, 73.0%, 67.1%。何らかの抗血小板薬22.6%, 28.6%, 34.5%。warfarin+抗血小板薬併用14.2%, 22.0%, 20.0%。(ここにあげた項目は,糖尿病[有意差なし],PT-INR[p=0.027]以外p<0.001)。
治療法 抗血栓療法の薬剤,用量は担当医の裁量とした。
追跡完了率 追跡脱落は110例(1.5%)。
結果

●評価項目
血栓塞栓症発症率は高齢になるにしたがい増加した(傾向のp<0.001)。<70歳群および70~84歳群では,warfarin投与例のほうが非投与例にくらべ発症率が低かった。
<70歳群:warfarin投与例0.8% vs. 非投与例1.9%(p=0.027)。
70~84歳群:1.8% vs. 4.7%(p<0.001)。
≧85歳群:4.0% vs. 3.8%(p=0.802)。
全死亡も同様に,高齢になるにしたがい増加した(傾向のp<0.001)(<70歳群:warfarin投与例0.9% vs. 非投与例1.9%,p=0.059,70~84歳群:2.3% vs. 10.7%,p<0.001,≧85歳群:6.8% vs. 24.8%,p<0.001)。
≧85歳群では,PT-INRが1.6~2.59の症例で血栓塞栓症+大出血の発症率が低かった。
[血栓塞栓症]
<70歳群:<1.6例2.1%,1.6~1.99例0.6%,2.0~2.59例0.2%,2.6~2.99例1.2%,≧3.0例1.0%(p=0.001)。
70~84歳群:それぞれ4.0%,1.4%,0.8%,1.0%,0.6%(p<0.001)。
≧85歳群:それぞれ8.5%,0%,2.9%,4.8%,12.5%(p=0.785)。
[大出血]
<70歳群:<1.6例1.4%,1.6~1.99例0.7%,2.0~2.59例1.0%,2.6~2.99例4.3%,≧3.0例4.8%(p=0.010)。
70~84歳群:それぞれ1.1%,1.3%,2.4%,2.0%,20.0%(p<0.001)。
≧85歳群:それぞれ1.4%,0%,2.9%,9.5%,37.5%(p=0.002)。
[血栓塞栓症+大出血]
<70歳群:<1.6例3.5%,1.6~1.99例1.3%,2.0~2.59例1.2%,2.6~2.99例5.6%,≧3.0例5.7%(p<0.001)。
70~84歳群:それぞれ5.1%,2.7%,3.2%,3.0%,20.6%(p<0.001)。
≧85歳群:それぞれ9.9%,0%,5.8%,14.3%,50.0%(p<0.001)。

●有害事象

文献: Kodani E, et al.; J-RHYTHM Registry Investigators. Use of Warfarin in Elderly Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation - Subanalysis of the J-RHYTHM Registry. Circ J 2015; 79: 2345-52. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, AFFIRM subgroup analysis, ARISTOTLE major bleeding, COMPARE, J-RHYTHM Registry anticoagulation, J-RHYTHM Registry paroxysmal vs. permanent, J-RHYTHM Registry warfarin use, J-RHYTHM target INR values, JNAF-ESP, PROTECT AF, ROCKET AF post hoc analysis, SPAF III 1996, SPORTIF pooled analysis
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