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PADIS-PE The Prolonged Anticoagulation During Eighteen Months vs Placebo After Initial Six-month Treatment for a First Episode of Idiopathic Pulmonary Embolism
結論 6ヵ月の抗凝固療法をうけた,特発性肺塞栓症の初回発作患者において,18ヵ月の更なるwarfarin投与はプラセボにくらべ,静脈血栓塞栓症(VTE)再発+大出血の複合評価項目を抑制した。しかし,抗凝固療法中止後,ベネフィットは維持されなかった。
コメント 初発の特発性PE患者に対し,6ヵ月間の抗凝固療法の後に,ワルファリン群とプラセボ群間で18ヵ月間にわたりVTE再発と大出血の頻度を調査した,無作為化二重盲検試験である。ワルファリン群ではプラセボ群と比較してVTE再発を85%低減させたが,大出血の発現率は2.2%と,最近の新規経口抗凝固薬のextension研究と比較すると高率であった。また,18ヵ月間のワルファリン延長治療を中止したのちのVTE再発率は低下しなかった。今後は,新規経口抗凝固薬と長期間にわたる再発予防時の適正用量を含め,出血のリスクがより低く安全にVTE再発を抑制可能な抗凝固療法の確立が期待される。(山田典一

目的 特発性肺塞栓症の初回発作後における抗凝固療法の至適期間は明らかになっていない。本研究では,6ヵ月間のビタミンK拮抗薬投与後,さらに18ヵ月間warfarin投与を延長することの有益性および有害性を,プラセボと比較した。主要評価項目:18ヵ月後までの症候性VTE再発(客観的に確認された非致死的症候性肺塞栓症,近位部深部静脈血栓症[DVT],致死的VTE)および非致死的/致死的大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検試験。intention-to-treat解析。NCT00740883。
セッティング 多施設(14施設),フランス。
期間 登録期間は2007年7月13日~2012年3月15日。追跡期間中央値は治療期間終了後23.4ヵ月,全体では41.0ヵ月。
対象患者 371例。18歳以上,症候性特発性肺塞栓症の初回発作があり,6ヵ月間のビタミンK拮抗薬投与(目標PT-INRは2.0~3.0)を終了した患者連続例。
【除外基準】確定された肺塞栓症または近位部DVTの既往,再発性VTE,最初の6ヵ月間の抗凝固療法中の出血,既知の重篤な出血性素因,VTE以外のビタミンK拮抗薬適応病態を有する,出血リスク上昇,血小板数<100,000/μL,無作為割付後18ヵ月以内に大手術を予定,余命<18ヵ月など。
【患者背景】平均年齢はwarfarin群58.7歳,プラセボ群57.3歳。各群の女性57.6%,44.9%。医学的状況:癌既往4.3%,3.2%,遠位部DVTまたは表在性静脈血栓症既往9.2%,7.5%,慢性心不全2.2%,4.8%,慢性呼吸不全21.7%,18.7%。診断時に近位部DVTあり31.1%,31.6%。無作為割付前の肺塞栓症の治療:warfarin 73.4%,61.5%,fluindione 26.6%,39.6%。平均TTR 69.1%,67.8%。主要な併用薬:aspirin 8.7%,5.9%,スタチン19.0%,18.2%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
warfarin群:184例。warfarin用量調整投与(目標PT-INR 2.0~3.0)。
プラセボ群:187例。
無作為割付日,全例に臨床検査,下肢超音波検査,肺換気/血流スキャン,心エコーを実施。
追跡完了率 18ヵ月後の追跡不能は4例(1.1%)。
結果

●評価項目
18ヵ月の治療期間中,主要評価項目はwarfarin群6例(3.3%),プラセボ群25例(13.5%)に発生した(HR 0.22,95%CI 0.09-0.55,p=0 .001)。
VTE再発はwarfarin群3例(1.7%),プラセボ群25例(13.5%)(HR 0.15,95%CI 0.05-0.43,p<0.001)。
大出血は4例(2.2%)vs. 1例(0.5%)(HR 3.96,95%CI 0.44-35.89,p=0.22)。
42ヵ月の全試験期間中(治療期間+追跡期間),主要評価項目はwarfarin群33例(20.8%),プラセボ群42例(24.0%)(HR 0.75,95%CI 0.47-1.18,p=0.22)。
VTE再発(warfarin群17.9% vs. プラセボ群22.1%,p=0.14),大出血(3.5% vs. 3.0%,p=0.85),VTE/大出血に関連しない死亡(9.1% vs. 3.6%,p=0.45)は両群で同程度であった。

●有害事象

文献: Couturaud F, et al.; PADIS-PE Investigators. Six Months vs Extended Oral Anticoagulation After a First Episode of Pulmonary Embolism: The PADIS-PE Randomized Clinical Trial. JAMA 2015; 314: 31-40. pubmed
関連トライアル ADOPT, AMPLIFY, ASPIRE, BRIDGE, Campbell IA et al, CASSIOPEA, Crowther MA et al, DAPT BMS or DES, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ELATE, EXULT A, Hokusai-VTE, INSPIRE, Palareti G et al, Palla A et al, PREVENT 2003, RE-COVER, RE-COVER II , RE-MEDY & RE-SONATE, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, THRIVE, THRIVE III, van Gogh Studies, van Gogh Studies prophylaxis, VTE再発予防療法の至適期間, WARFASA
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