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Hokusai-VTE East Asia patients
結論 抗凝固療法を必要とする東アジア人の静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,edoxabanは有効かつ安全なwarfarinの代替薬であり,試験結果はHokusai-VTE全体の結果と一貫していた。
コメント Hokusai-VTE試験の東アジア人に関するサブ解析結果である。東アジア人では非東アジア人と比較して高齢者が多く,さらに低体重や腎機能低下など減量基準該当例が多かった。しかし,エドキサバン群におけるVTE再発率は非東アジア人よりむしろ低率であり,ワルファリン群との非劣性は維持された。また,大出血ならびに臨床的に問題となる出血イベントは,東アジア人でワルファリン群より有意に低率であり,エドキサバンの安全性の高さが示された。(山田典一

目的 Hokusai-VTEにおいて,heparin+edoxaban 60mg 1日1回投与はheparin+warfarinにくらべ,有効性については非劣性を示し,出血イベントは抑制された。本解析は事前に定められたサブ解析として,同試験の東アジア人患者(日本,中国,韓国,台湾)において,edoxabanの有効性および安全性をwarfarinと比較した。有効性主要評価項目:症候性VTE再発(深部静脈血栓症[DVT]または致死的/非致死的肺塞栓症[PE])。安全性主要評価項目:臨床的に問題となる出血(大出血および大出血ではないが臨床的に問題となる出血の複合)。
デザイン Hokusai-VTEは無作為割付,二重盲検,非劣性試験。
セッティング Hokusai-VTEは多施設(439施設),37ヵ国。
期間
対象患者 8,292例(うち東アジア人1,109例)。18歳以上,客観的に診断された急性症候性DVT(膝窩,大腿,腸骨静脈)または急性症候性PE(DVT合併の有無を問わない)患者。
【除外基準】heparinまたはwarfarin禁忌,治療用量のheparinを投与されてから48時間以内,ビタミンK拮抗薬を1回以上投与,長期低分子量heparin(LMWH)投与が見込まれる癌,他にwarfarin療法の適応病態を有する,aspirin(>100mg/日)または抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)をうけている,クレアチニンクリアランス(CrCl)<30mL/分。
【患者背景】[東アジア人]平均年齢はedoxaban群61.1歳,warfarin群62.6歳。各群の男性48.7%,50.7%。体重60kg以下33.9%,36.1%。CrCl 30~50mL/分14.6%,15.1%。edoxabanの減量基準に合致41.4%,42.2%。当該イベントの解剖学的範囲:限定的8.9%,10.4%,中等度31.1%,31.2%,広範囲54.5%,53.7%。DVT併発10.5%,10.6%。当該イベント:DVT 49.9%,46.7%,PE 50.1%,53.3%。
[非東アジア人]平均年齢はedoxaban群54.8歳,warfarin群54.9歳。各群の男性58.7%,58.1%。体重60kg以下9.4%,9.1%。CrCl 30~50mL/分5.2%,5.4%。edoxabanの減量基準に合致14.1%,13.7%。当該イベントの解剖学的範囲:限定的19.2%,18.5%,中等度36.5%,35.9%,広範囲41.4%,42.9%。DVT併発9.9%,9.7%。当該イベント:DVT 61.5%,61.4%,PE 38.5%,38.6%。
(東アジア人と非東アジア人の比較では,DVT併発は有意差はなかったが,本項にあげたそれ以外の項目はすべてp<0.0001)
治療法 Hokusai-VTEは以下の2群に無作為割付。
edoxaban群:4,143例(東アジア人565例+非東アジア人3,578例)。60mg1日1回投与(CrCl 30~50mL/分,体重≦60kg,強力なP糖蛋白拮抗薬併用投与の患者では30mgに減量)。
warfarin群:4,149例(544例+3,605例)。heparinと併用し,PT-INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
全例にオープンラベルのheparinを5日以上投与(日本ではガイドラインにしたがいUFH,中国,韓国,台湾ではLMWHまたは未分画heparin)。edoxabanおよびwarfarinは担当医の判断により,3~12ヵ月間投与した。
追跡完了率
結果

●評価項目
warfarin群のTTRは,東アジア人では58.9%(>3.0:12.0%,<2.0:23.2%),非東アジア人では66.4%(>3.0:14.5%,<2.0:14.2%)。
症候性VTE再発は東アジア人:edoxaban群16/563例(2.8%),warfarin群24/538例(4.5%)(HR 0.64,95%CI 0.34-1.19,p=0.1601),非東アジア人:114/3,555例(3.2%),122/3,584例(3.4%)(HR 0.94,0.73-1.22,p=0.6541)。地域による差異は認めなかった(交互作用のp=0.2571)。
臨床的に問題となる出血は,edoxaban群 56/563例(9.9%),warfarin群93/538例(17.3%)(HR 0.56,95%CI 0.40-0.78,p<0.001),非東アジア人:293/3,555例(8.2%),330/3,584例(9.2%)(HR 0.88,0.75-1.03,p=0.113)。地域による差異を認めた(交互作用のp=0.016)。

●有害事象

文献: Nakamura M, et al. Efficacy and safety of edoxaban for treatment of venous thromboembolism: a subanalysis of East Asian patients in the Hokusai-VTE trial. J Thromb Haemost 2015; 13: 1606-14. pubmed
関連トライアル CASSIOPEA, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, ENGAGE AF-TIMI 48 VKA experienced and naive, Hokusai-VTE, INSPIRE, J-EINSTEIN DVT and PE, RE-COVER, RE-COVER II , THRIVE, VTE治療の新規経口抗凝固薬の間接比較, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較
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