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Clark NP et al Bleeding, Recurrent Venous Thromboembolism, and Mortality Risks During Warfarin Interruption for Invasive Procedures
結論 静脈血栓塞栓症(VTE)既往のため抗凝固療法をうけている患者において,侵襲的手技のためのwarfarin一時中断中のブリッジング療法は,出血リスク上昇と関連しており,大部分の患者で不要と考えられた。warfarin一時中断中の周術期VTE再発リスクが高い患者,ならびに手技の特徴を同定するためには,更なる研究が必要である。
コメント VTE再発予防でワルファリンを継続されている患者について,侵襲的処置や手術時にあたり休薬する際に,ブリッジ療法の有無による出血頻度ならびにVTEの再発頻度を検討した,後ろ向きコホート研究である。後ろ向きコホート研究の限界で,ブリッジ療法あり群で再発リスクが高い患者が多く含まれるバイアスは避けられない。ブリッジ療法が不要であることの立証やブリッジ療法が必要になるVTE再発高リスク患者の同定には,前向き研究での検証が必要と考えられる。(山田典一

目的 手術や侵襲的診断手技のために経口抗凝固療法の一時中断が必要となる長期経口抗凝固療法中の患者において,その出血およびVTE再発リスクは十分に検討されていない。本研究では,侵襲的手技のためwarfarinを一時中断した患者において,臨床的に問題となる出血およびVTE再発率を評価し,またブリッジングの有無別に比較を行った。主要評価項目:当該手技後30日以内の臨床的に関連する出血(重症度に関係なく臨床的に明白な出血で,入院または救急部受診に至る,または手技を困難にするもの)。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録期間は2006年1月1日~2012年3月31日。
対象患者 1,178例(手技1,812件)。Kaiser Permanente Colorado(KPCO,米国の健康保険会社)のデータより同定された,侵襲的診断手技または外科手技をうけた患者連続例で,(1)当該手技施行時18歳以上,(2)KPCOの臨床薬学サービスによるモニタリングをうけた,(3)VTE(上肢または下肢の深部静脈血栓症[DVT]かつ/または肺塞栓症)二次予防のためwarfarinを投与されている,(4)当該手技施行日またはその前日のPT-INRが≦1.5,(5)手技前に180日以上継続してKaiserの健康保険プログラムに登録,(6)手技後30日以内にwarfarinを再開,(7)当該手技後90日以内に他の手技に関連したwarfarin一時中断がない症例。
【除外基準】VTE以外のwarfarinの適応病態(心房細動,機械弁など)を有する患者。
【患者背景】平均年齢はブリッジング群62.5歳,非ブリッジング群67.7歳(p<0.001)。それぞれの男性47.2%,45.2%。warfarinの適応:下肢DVT 48.1%,52.7%,上肢DVT 4.9%,5.1%,肺塞栓症47.0%,42.2%。合併症:高血圧43.8%,48.5%,糖尿病15.9%,17.3%,腎機能不全9.2%,11.2%。再発性VTE 14.6%,9.1%。VTE再発リスク:高リスク6.5%,1.7%(p<0.001),中等度リスク19.6%,17.1%,低リスク73.9%,81.2%(p<0.001)。手技の種類:消化管内視鏡33.7%,38.7%(p=0.04),整形外科21.3%,10.3%(p<0.001),脊椎または頭蓋内4.3%,12.0%(p<0.001),腹部または胸部の非大手術14.6%,5.9%(p<0.001),皮膚3.8%,7.2%(p=0.006),泌尿器または膀胱4.7%,6.1%。
治療法 ブリッジングの有無によりブリッジング群(555件),非ブリッジング群(1,257件)に分けて解析。
追跡完了率
結果

●評価項目
830件(45.8%)の手技は男性に行われた。warfarinの適応はDVT(56.3%)がもっとも多かった。
warfarin一時中断時におけるVTE再発リスク(Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis第9版による)は,低リスク1,431例(79.0%),中等度リスク324例(17.9%),高リスク57例(3.1%)であった。
主要評価項目はブリッジング群15例(2.7%),非ブリッジング群2例(0.2%)に発生した(HR 17.2,95%CI 3.9-75.1,p=0.01)。
VTE再発は両群で有意差を認めなかった(ブリッジング群0例 vs 非ブリッジング群3例,p=0.56)。死亡は両群とも0例。

●有害事象

文献: Clark NP, et al. Bleeding, Recurrent Venous Thromboembolism, and Mortality Risks During Warfarin Interruption for Invasive Procedures. JAMA Intern Med 2015; 175: 1163-8. pubmed
関連トライアル BRIDGE, ELATE, Garcia DA et al, Hokusai-VTE, INSPIRE, RE-COVER II , RE-LY periprocedural bleeding, SAVE-KNEE, SAVE-HIP1, SAVE-HIP2, Skeith L et al, THRIVE
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