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RAF Early Recurrence and Cerebral Bleeding in Patients With Acute Ischemic Stroke and Atrial Fibrillation
結論 心房細動患者における脳梗塞は,90日後の再発および大出血イベント増加と関連していた。本研究より,CHA2DS2-VAScスコア高値,NIHSSスコア高値,大規模虚血病変,抗凝固薬の種類は再発および出血リスクの予測因子であった。また,二次予防のための抗凝固療法開始時期は脳卒中発症の4~14日後が至適と考えられた。さらに,経口抗凝固薬(OAC)単独投与は,低分子量heparin(LMWH)単独投与,LMWH投与後OAC投与にくらべ,転帰が良好であった。
コメント 心房細動に伴う脳梗塞急性期における抗凝固療法の至適開始時期として4日から14日後であることや,重症度と大梗塞が再発や出血の独立した危険因子であることが示されたことは意義深い。今後,梗塞巣の大きさや重症度に応じた抗凝固療法至適開始時期の検討が求められる。(矢坂正弘

目的 心原性脳塞栓症患者に対する抗凝固薬投与のタイミングは不明である。本研究では,(1) 虚血イベント再発および重篤な出血のリスク,(2) 再発および出血のリスク因子,(3) 脳卒中後の抗凝固療法およびその開始時期に関連した再発および出血リスクについて,検討を行った。主要評価項目:脳卒中の90日後の脳卒中,TIA,全身性塞栓症,症候性脳内出血,頭蓋外大出血の複合。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 多施設(29施設),複数国(欧州,アジア)。
期間 試験期間は2012年1月~2014年3月。
対象患者 1,029例。脳梗塞および既知のまたは新規に診断された心房細動合併患者で,抗凝固療法に対する禁忌のない症例。
【除外基準】データ不完全。
【脳梗塞後の抗凝固療法施行の有無別の患者背景】年齢中央値は抗凝固療法群77歳,抗凝固療法なし群83歳(p=0.0001)。それぞれの男性47.9%,38.4%(p=0.01)。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値6,11(p=0.0001)。脳卒中/TIA既往24.8%,28.9%。抗凝固療法実施歴33.0%,13.7%(p=0.0001)。病変の部位とサイズ:小規模病変41.3%,23.9%(p=0.0001),中規模病変36.2%,34.6%,前方の大規模病変17.0%,34.2%(p=0.001),後方の大規模病変5.6%,6.0%。
治療法 適応のある場合血栓溶解療法を施行。担当医は抗凝固薬の種類(LMWHまたはOAC),開始日を自由に決定した。
脳梗塞後,抗凝固療法は766例(74.4%,うち449例には抗凝固療法開始前に抗血小板療法が行われた)。抗凝固療法の種類は,LMWH 113例(14.7%),ビタミンK拮抗薬は284例(37.1%),NOACは93例(12.1%,dabigatran 55例,rivaroxaban 30例,apixaban 8例),LMWH投与後ビタミンK拮抗薬は276例(36.0%)。抗凝固療法が行われなかった263例のうち,231例(87.8%)には抗血小板療法が行われたが,残る32例にはなんの抗血栓療法も行われなかった。
追跡完了率 90日後の追跡完了は1,019例。
結果

●評価項目
登録患者1,029例のうち,イベント発生は123例,128件(12.6%)。脳梗塞/TIA/全身性塞栓症は77件(7.6%),症候性脳内出血37件(3.6%),頭蓋外大出血14件(1.4%)。
90日後,機能転帰不良(modified Rankin Score[mRS]≧3)は510例(50.0%),死亡は111例(10.9%)。
主要評価項目の予測因子は以下の通り。
CHA2DS2-VAScスコア:HR 1.2660,p=0.0021。
NIHSSスコア 14~40(0~2に比し):HR 2.1589,p=0.0159。
虚血病変サイズ(小病変):HR 0.3983,p=0.0377。
LMWH単独(LMWH後OACに比し):HR 2.4542,p=0.0225。
OAC単独(LMWH後OACに比し):HR 0.7918,p=0.0072。
補正後Cox回帰分析によると,脳卒中発症の4~14日後の抗凝固療法開始は,4日後まで,もしくは14日後以降の開始にくらべ,主要評価項目の有意な減少と関連していた(HR 0.53,95%CI 0.30-0.93)。
イベント発生は,OAC単独群では 7%であったのに対し,LMWH単独群では16.8%,LMWH投与後OAC投与群では12.3%であった(p=0.003)。

●有害事象

文献: Paciaroni M, et al. Early Recurrence and Cerebral Bleeding in Patients With Acute Ischemic Stroke and Atrial Fibrillation: Effect of Anticoagulation and Its Timing: The RAF Study. Stroke 2015; 46: 2175-82. pubmed
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