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Nielsen PB et al Restarting Anticoagulant Treatment After Intracranial Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation and the Impact on Recurrent Stroke, Mortality, and Bleeding: A Nationwide Cohort Study
結論 経口抗凝固薬は脳梗塞/全死亡の有意な抑制と関連しており,頭蓋内出血発現後の経口抗凝固薬の再開が支持された。これらの患者において,実臨床をガイドするための臨床試験がまたれる。
コメント 頭蓋内出血発症後に抗凝固療法を再開すると,脳梗塞,一過性脳虚血発作,全死亡,頭蓋内出血再発の複合エンドポイントが有意に抑制されることが示されたが,抗血小板薬で代替しても抑制することはできなかった。頭蓋内出血発症後は,血圧をはじめとする頭蓋内出血のリスク管理を十分行い,抗凝固療法の再開を考慮すべきであろう。(矢坂正弘

目的 頭蓋内出血は,経口抗凝固療法のもっとも恐ろしい合併症であるが,頭蓋内出血が発現した心房細動患者に対する至適治療は不明である。本研究では,経口抗凝固薬の再開は,非再開にくらべ,脳卒中および死亡リスクの抑制,ならびに大出血(特に頭蓋内出血)の微増と関連するという仮説を検証した。主要評価項目:脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)+全死亡+頭蓋内出血再発。
デザイン 後ろ向きコホート研究。Cox比例ハザードモデルを用いて比較。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 登録期間は1997年1月1日~2013年12月31日。追跡は,経口抗凝固薬+抗血小板薬併用の処方,評価項目発生,試験期間(1年),死亡のいずれか早いものまで。
対象患者 1,752例。デンマークの全国規模の三つの登録(診断,薬剤処方,年齢/性別など)を連結して得られた,当該期間に心房細動と診断され,経口抗凝固薬(ビタミンK拮抗薬[VKA]または非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬[NOAC])の処方から6ヵ月以内に入院を必要とする頭蓋内出血が発現した後,6週間生存した症例。
【除外基準】弁膜症(僧帽弁狭窄,機械弁),心房細動の診断前に頭蓋内出血または頭蓋内出血による合併症が発症など。
【頭蓋内出血発現部位別の患者背景】患者数は脳内出血群812例,硬膜下出血群755例,くも膜下出血群185例。それぞれの年齢中央値は78歳,78歳,75歳。男性58%,67%,59%。以前の抗血栓療法:VKA 62%,67%,70%,NOAC 1%,2%,3%,VKA+抗血小板薬36%,31%,27%。うっ血性心不全24%,29%,36%。高血圧61%,65%,69%。糖尿病17%,20%,22%。血栓塞栓症既往46%,30%,31%。血管疾患19%,21%,25%。CHA2DS2-VAScスコア0点2%,2%,2%,1点5%,8%,9%,2~9点93%,90%,89%。HAS-BLED出血リスクスコア≧3点81%,77%,79%。
治療法 頭蓋内出血発現後の治療レジメンにより,治療なし群(1,089例),経口抗凝固療法群(303例),抗血小板療法群(360例)にわけて解析した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
追跡期間1年における主要評価項目は,治療なし群27.3%/年に対し,経口抗凝固療法群は13.6%/年(補正後HR 0.55,95%CI 0.39-0.78),抗血小板療法群は25.7%/年(補正後HR 0.87,0.67-1.14)であった。
脳梗塞/全身性塞栓症:治療なし群10.4%/年,経口抗凝固療法群5.3%/年(補正後HR 0.59,0.33-1.03),抗血小板療法群10.3%/年(補正後HR 0.98,0.65-1.49)。
全死亡:治療なし群19.1%/年,経口抗凝固療法群9.7%/年(補正後HR 0.55, 0.37-0.82),抗血小板療法群19.5%/年(補正後HR 0.90,0.67-1.21)。
頭蓋内出血再発は,治療なし群8.6%/年に対し,経口抗凝固療法群8.0%/年(補正後HR 0.91,0.56-1.49),抗血小板療法群5.3%/年(補正後HR 0.60,0.37-1.03)であった。
頭蓋外大出血:治療なし群1.5%/年,経口抗凝固療法群1.5%/年(補正後HR 0.92,0.30-2.76),抗血小板療法群2.6%/年(補正後HR 4.57,0.62-3.92)。

●有害事象

文献: Nielsen PB, et al. Restarting Anticoagulant Treatment After Intracranial Hemorrhage in Patients With Atrial Fibrillation and the Impact on Recurrent Stroke, Mortality, and Bleeding: A Nationwide Cohort Study. Circulation 2015; 132: 517-25. pubmed
関連トライアル ARISTOTLE, ARISTOTLE major bleeding, ATRIA on and off anticoagulants, AVERROES, Carrero JJ et al, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, Danish Stroke Registry, EAFT 1995, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, Graham DJ et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Larsen TB et al, Lip GY et al, NASPEAF, NASPEAF stratified analysis, NOACのwarfarinに比較しての死亡率抑制効果, Ontario Stroke Registry, Palnum KH et al, PROSPER, RE-LY, ROCKET AF, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF intracranial hemorrhage, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption, Sadanaga T et al, SPORTIF INR control, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation cohort study, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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