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Kim BJ et al Low-Versus Standard-Dose Alteplase for Ischemic Strokes Within 4.5 Hours: A Comparative Effectiveness and Safety Study
結論 虚血性脳卒中患者に対する低用量alteplaseのストラテジーは,その有効性および安全性について,標準用量治療と同程度の結果であった。
コメント 韓国の脳卒中ハイボリュームセンターの前向き登録研究で,低用量alteplaseと標準用量を用いた多数例での比較研究である。ただし,低用量群で入院時のNIHSSが重症で,心房細動合併率が高く,血管内治療の併用率が有意に高い。本研究の本来の目標は,血管内治療介入のない2群間の有効性の比較としてデザインすべきであろう。今後は,血管内治療群を対象にした2群間の症候性出血性変化の検討も望まれる。(岡田靖

目的 東アジア人は西洋人にくらべ脳内出血発現率が高いとされる。日本で行われた複数の単一アームの研究で,虚血性脳卒中患者に対するalteplase低用量(0.6 mg/kg)投与は標準用量(0.9 mg/kg)と同様の転帰であったと報告され,アジア諸国では低用量投与のストラテジーが急速に広がった。しかしながら,対照群が欠けていることから,低用量投与の有効性には疑問が残る。本研究では,韓国の全国規模のデータベースを用い,高用量に比較しての低用量投与の有効性および安全性を検討した。主要評価項目:脳卒中から3ヵ月後の機能的転帰良好(modified Rankin Score:mRS 0~1),National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアの4点以上の悪化をともなう症候性出血性変化。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(15施設),韓国。
期間 登録期間は2009年11月~2013年5月。
対象患者 1,526例。当該期間に,発症から4.5時間以内に入院した虚血性脳卒中患者で,神経画像で虚血病変が確認され,alteplase静注をうけた症例。
【除外基準】alteplase用量,症候性出血性変化,3ヵ月後のmRSに関する情報が不明,発症から4.5時間経過後に治療。
【患者背景】平均年齢は低用量群69.0歳,標準用量群68.2歳。それぞれの男性54.4%,61.3%(p=0.01)。脳卒中前のmRS 0点83.8%,84.0%,1点6.4%,5.9%,≧2点9.8%,10.0%。発症-治療時間2.1時間,2.1時間。来院時の平均NIHSS 13.9,10.5(p<0.01)。脳卒中のサブタイプ(p<0.01):大血管アテローム動脈硬化20.4%,30.2%,小血管閉塞4.4%,6.8%,心原性塞栓症50.7%,37.7%,その他3.1%,1.1%,不明21.3%,24.2%。動脈閉塞の部位(p<0.01):主要動脈に閉塞なし16.7%,26.6%,頸動脈12.7%,12.2%,前/中大脳動脈40.2%,35.3%,椎骨脳底動脈および大脳動脈8.2%,9.7%,複数の動脈22.2%,16.3%。
治療法 脳卒中の管理(再開通療法を含む)は現行のガイドラインおよび施設のプロトコールにしたがい,また担当医の裁量で行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
低用量alteplase静注は450例(29.5%),標準用量静注は1,076例(70.5%)に行われた。
クラスター効果を用い,関連する共変量により補正したIPTW法による解析の結果,低用量alteplaseは標準用量に対し,主要評価項目は同程度であった。
3ヵ月後のmRS 0~1:低用量群32.4% vs. 標準用量群35.3%,補正後OR 0.95,95%CI 0.68-1.32。
症候性出血性変化:8.4% vs. 6.4%,補正後OR 1.05,95%CI 0.65-1.70。
副次評価項目は以下の通りであった。
3ヵ月後のmRS 0~2:補正後OR 0.84,95%CI 0.62-1.15。
3ヵ月後の死亡率:12.7% vs. 14.0%,補正後OR 0.54,95%CI 0.35-0.83。
血管内治療を行わなかった患者に限定した解析でも,同様の結果であった。

●有害事象

文献: Kim BJ, et al. Low-Versus Standard-Dose Alteplase for Ischemic Strokes Within 4.5 Hours: A Comparative Effectiveness and Safety Study. Stroke 2015; 46: 2541-8. pubmed
関連トライアル alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響, Cappellari M et al, ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ESCAPE, IST-3 18-month follow-up, IST-3 clinically important subgroups, IST-3 mortality, J-ACT, J-MARS, SAMURAI, SITS-ISTR, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, TIMS-China, TTT-AIS, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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