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BRIDGE Bridging Anticoagulation in Patients who Require Temporary Interruption of Warfarin Therapy for an Elective Invasive Procedure or Surgery
結論 待機的手術または待機的侵襲手技のためwarfarinを中断する心房細動患者において,ブリッジング非施行は低分子量ヘパリンによるブリッジングにくらべ,動脈血栓塞栓症の予防については非劣性を示し,大出血についてはリスクを抑制した。
コメント ワルファリン治療中の心房細動患者における周術期のヘパリン置換に関し,大きな転換を予想させるランドマーク的研究である。全体としては,ワルファリンを5日前より中止し,dalteparinを-3~-1日まで投与,および術後PT-INRが2を超えるまでdalteparinを投与しても虚血イベントに差はなく,大出血は増加するという結論である。
注意点としては,(1)機械弁の患者は除外されている,(2)12週以内の脳梗塞/TIA/全身性塞栓症の患者は除外されている,(3) CHADS2スコア4点以上の症例が少ないことであろう。少なくともCHADS2スコア3点以下のNVAF患者においては,ヘパリンブリッジを再考する必要があるだろう。(是恒之宏

目的 待機的手術または待機的侵襲手技のためwarfarinの一時中断を必要とする心房細動患者において,抗凝固療法のブリッジングが必要であるかどうかは不明である。本研究では,ブリッジング非施行は低分子量ヘパリンを用いたブリッジングに対し,周術期動脈血栓塞栓症予防については非劣性,大出血については優位性を示すという仮説を検証した。有効性の主要評価項目:手技施行37日後の動脈血栓塞栓症(虚血性/出血性脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],全身性塞栓症)。安全性の主要評価項目:手技施行37日後の大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。NCT00786474。
セッティング 多施設(108施設),米国,カナダ。
期間 登録期間は2009年7月~2014年12月。
対象患者 1,884例。18歳以上,心電図またはペースメーカーにて確認された慢性(永続性または発作性)心房細動/粗動(僧帽弁疾患など,弁膜症をともなう心房細動患者も対象とした),3ヵ月以上warfarinを服用,PT-INRが2.0~3.0,warfarinの一時中断を必要とする待機的手術または他の待機的侵襲手技を予定,CHADS2スコア1点以上。
【除外基準】以下の項目を1つ以上有する;機械弁,脳卒中/全身性塞栓症/TIA発症から12週以内,大出血発生から6週以内,クレアチニンクリアランス<30mL/分,血小板数<100,000/μL,心臓/頭蓋内/随腔内手術を予定。
【患者背景】平均年齢は非施行群71.8歳,ブリッジング群71.6歳。各群の男性73.3%,73.4%。平均体重96.2kg,95.4kg。CHADS2スコア2.3,2.4。高血圧87.7%,86.3%。糖尿病41.1%,40.9%。脳卒中8.3%,10.6%。TIA 8.3%,8.2%。僧帽弁疾患17.4%,15.2%。心筋梗塞14.5%,16.6%。腎臓病11.4%,9.9%。PT-INR 2.4,2.4。クレアチニンクリアランス88.1mL/分,87.6mL/分。薬物療法:aspirin 34.1%,35.2%,clopidogrel 3.2%,2.2%。
治療法 ブリッジング群(934例)または非施行群(950例)に無作為割付。
warfarinは手技の5日前に中止し,試験薬(dalteparin 100IU/kg 1日2回皮下注またはプラセボ)を手技施行の3日前に開始。手技施行の1日前にPT-INRを測定することが推奨され,>1.8の場合はビタミンK(1.0~2.5mg)投与が推奨された(PT-INR 1.5~1.8の場合の投与は任意)。手技/手術が最長3日後まで延期された場合,試験薬投与は手技の24時間前まで継続された。warfarinは手技施行日の夜または翌日に,通常量で再開。試験薬は,小さな手技(出血低リスク)では12~24時間後,大きな手技(出血高リスク)では48~72時間後に再開し,1回の測定でPT-INRが≧2.0となるまで継続した。
追跡完了率
結果

●評価項目
動脈血栓塞栓症は非施行群4例(0.4%),ブリッジング群3例(0.3%)で,非劣性基準に合致した(リスク差 0.1ポイント,95%CI -0.6~0.8,非劣性p=0.01,優越性p=0.73)。動脈血栓塞栓症発症までの期間は,手技施行の19.0日後(中央値)。
大出血は非施行群12例(1.3%)で,ブリッジング群29例(3.2%)より抑制された(RR 0.41,95%CI 0.20-0.78,優越性p=0.005)。大出血発生までの期間は,手技施行の7.0日後(中央値)。
小出血も非施行群で抑制された(12.0% vs. 20.9%,p<0.001)。
致死性出血は認めなかった。

●有害事象

文献: Douketis JD, et al., BRIDGE Investigators. Perioperative Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation. N Engl J Med 2015; 373: 823-33. pubmed
関連トライアル ACE , AMADEUS, ARISTOTLE, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE time in therapeutic range, BRUISE CONTROL, COMPARE, Crowther MA et al, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, FCSA, Garcia DA et al, Hokusai-VTE, Jaffer AK et al, ORBIT-AF bridging, RE-ALIGN, RE-COVER II , RE-LY, RE-LY periprocedural bleeding, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF intracranial hemorrhage, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, Skeith L et al, SPORTIF pooled analysis, SPORTIF V
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