抗血栓トライアルデータベース
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RESVAL Thrombolysis Registry
結論 本研究より,NIHSS≦4の軽症患者に対する血栓溶解療法の安全性のエビデンスと,ベネフィットの可能性が示された。軽症患者の54%は血栓溶解療法前に動脈閉塞を呈していた。ほとんどの場合,軽症脳卒中患者は救急搬送の観点からは優先されず,脳卒中ユニットおよび画像撮影に直接来院したため,結果として発症-治療時間が長くなった。すべての脳卒中疑い患者が,等しく画像撮影および治療に救急搬送されるために,医療制度の改善が必要である。
コメント NIHSS 4点以下の軽症脳梗塞症例における血栓溶解療法の安全性と有効性の可能性が示された点で意義深い。特に,軽症脳梗塞例で症候性脳内出血がまったく見られなかった点は特筆に値する。NIHSS評価で軽症脳梗塞に分類されても実生活で困難を訴えることの多い半盲などの場合,rt-PA血栓溶解療法を積極的に考えたい。(矢坂正弘

目的 軽症脳梗塞は,臨床ベネフィットの不確実性および出血性合併症の恐れから,rt-PA静注療法が行われないおもな理由の一つとなっている。本研究は,発症後4.5時間以内にrt-PA静注をうけた脳梗塞患者の前向きコホートにおいて,管理,転帰,出血リスクをベースライン時の重症度(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコア≦4および>4)により比較した。
デザイン 前向きコホート研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設(5施設),フランス。
期間 登録期間は2010年10月~2014年1月。
対象患者 1,043例。発症から4.5時間以内にrt-PA静注をうけた脳梗塞患者。
【除外基準】動脈内血栓溶解療法または血栓除去術施行例。
【患者背景】年齢中央値は軽症群67歳,非軽症群74歳(p<0.001)。各群の男性66%,53%(p<0.01)。ベースライン時のNIHSS中央値3,12(p<0.01)。ベースライン時の血圧151/80mmHg,148/80mmHg。血糖値6.1mmol/L,6.5mmol/L。MRI実施75%,72%。CT実施25%,28%。病因:小血管疾患9%,4%(p<0.05),大血管疾患34%,24%(p<0.05),心原性塞栓症32%,49%(p<0.001)。
治療法 multimodal MRIまたはCT施行後,rt-PAを静注した。
ベースライン時の重症度により軽症群(NIHSS≦4:170例),非軽症群(>4:873例)に分け,比較。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
軽症群の転帰優良(3ヵ月後のmRS≦1)は軽症群77%,非軽症群38%(p<0.001)。
症候性脳内出血は軽症群0% vs. 非軽症群4%(p<0.05),何らかの出血性変化は5% vs. 17%(p<0.001),3ヵ月後の死亡率は2% vs. 12%(p<0.001)。
rt-PA静注前に可視的動脈閉塞を認めたのは軽症群54%,非軽症群80%(p<0.001)。
軽症群は救急医療サービスによる搬送は少なく(軽症群64% vs. 非軽症群76%,p<0.01),直接脳卒中ユニットまたは画像撮影に来院していた。
発症-入院時間,入院-画像撮影時間,発症-治療時間は軽症群のほうが非軽症群より長かった。
発症-入院時間:軽症群97分 vs. 非軽症群87分,p<0.05。
入院-画像撮影時間:24分 vs. 18分,p<0.05。
発症-治療時間:167分 vs. 140分,p<0.05。

●有害事象

文献: Laurencin C, et al. Thrombolysis for Acute Minor Stroke: Outcome and Barriers to Management. Results from the RESUVAL Stroke Network. Cerebrovasc Dis 2015; 40: 3-9. pubmed
関連トライアル ASTRAL influence of arterial occlusion, Chernyshev OY et al, Guillan M et al, ICARO-2, Lahoti S et al, Meretoja A et al, Singer OC et al, SITS-ISTR
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