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J-EINSTEIN DVT and PE
結論 日本人の深部静脈血栓症(DVT)または肺塞栓症(PE)患者において,rivaroxabanは標準治療と同様の有効性および安全性を示し,国際共同試験EINSTEIN-DVT/PE試験成績との一貫性が示唆された。
コメント 国際共同試験EINSTEIN-DVTEINSTEIN-PEと異なり,本試験では日本人の曝露量を考慮して,リバーロキサバンの維持用量を20mgから15mgに減量し,対照薬のワルファリンのコントロールを日本のガイドラインにしたがってPT-INR 1.5~2.5で検討されている。日本人を対象とした本試験では,特に肺血栓塞栓症において,治療22日目と治療終了時の血栓消失率は,出血の頻度を増加させることなく,リバーロキサバン群で高率であった。症例数が限られており,今後さらに検証が必要ではあるが,未分画ヘパリンとワルファリンによる標準療法にくらべ,リバーロキサバンの血栓退縮効果が高いことを期待させる結果といえる。(山田典一

目的 急性症候性DVT/急性症候性PE患者におけるrivaroxaban投与については,国際共同試験EINSTEIN DVTならびにEINSTEIN PE 試験がそれぞれ行われ,有効性および安全性が確認されている。ただし,日本のガイドラインで推奨されている静脈血栓塞栓症(VTE)治療では,未分画heparin(UFH)が使用されていることや,warfarinの目標治療域が海外より低い1.5~2.5に設定されているという点で,海外と異なる。そのため,日本人患者は国際共同EINSTEIN DVT/PE試験には組み入れられなかった。そこで, rivaroxabanを日本の標準治療と比較することを目的に,本試験が行われた。
有効性の主要評価項目:予定投与期間中の症候性VTEの再発
安全性の主要評価項目:重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象
デザイン PROBE試験(Prospective Randomized Open Blinded-Endpoint)。intention-to-treat解析。NCT01516840,NCT01516814。
セッティング 多施設(39施設),日本。
期間 登録期間は2012年2月~2013年12月。
対象患者 100例。20歳以上,客観的に確認された,急性症候性近位DVTまたはPE患者。
【除外基準】heparinまたはfondaparinuxによる48時間を超える治療あるいはwarfarinが2回以上投与されたもの,試験対象として診断されたDVT/PEに対して血栓除去術,下大静脈フィルター留置,血栓溶解薬による治療を受けたもの,UFHまたはwarfarinの国内添付文書に記載の禁忌に該当するもの,試験対象のVTE以外にUFHまたはwarfarinの適応となる疾患を有するもの,クレアチニンクリアランス(CCr)<30mL/分,重篤な肝疾患またはALTが正常値上限の3倍超,細菌性心内膜炎,UFHまたはwarfarinによる治療が禁忌となる活動性出血または高い出血リスクを有するもの,収縮期血圧>180または拡張期血圧>110mmHg,妊娠中または授乳中のもの,あるいは妊娠可能な女性で適切な避妊法を行えないもの,強力なCYP3A4阻害薬併用,余命<3ヵ月。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban 10/15群65.0歳,rivaroxaban 15 /15群68.8歳,標準治療群63.4歳。男性の割合は各群69.6%,45.5%,52.6%。体重<70kg 65.2%,74.5%,78.9%。CCr<80mL/分39.1%,65.5%,57.9%。DVT単独100%,45.5%,63.2%。特発性VTE 47.8%,56.4%,42.1%。VTE既往0%,14.5%,5.3%。平均投与期間191.8日,196.6日,199.8日。
治療法 被験者を4:1の割合でrivaroxaban群または標準治療群に無作為割付。
Rivaroxaban 10/15群:23例。10mg 1日2回3週間の初期治療後,15mg 1日1回の維持療法を実施。
Rivaroxaban 15/15群:55例。15mg 1日2回3週間の初期治療後,15mg 1日1回の維持療法を実施。
標準治療群:19例。UFH静注(APTT 1.5~2.5倍)とwarfarinを少なくとも5日間併用し,24時間以上間隔をあけて測定したPT-INRが2回連続で1.5以上に到達した後,warfarin単独投与に切り替え(目標PT-INR 1.5~2.5)。
投与期間は担当医師の判断により3,6,12ヵ月のいずれかとした。非ステロイド性抗炎症薬および抗血小板薬の併用は推奨されないが,aspirin(100mg/日まで)およびclopidogrel(75mg/日まで)の使用は許可した。
追跡完了率 コンプライアンス不良のため3例を解析から除外。追跡からの脱落は0例。
結果

●評価項目
標準治療群の平均PT-INR治療域内時間(TTR)は80.3%であった。
症候性VTEの再発または無症候性の血栓像の悪化の複合はrivaroxaban群1 例(1.4%),標準治療群1例(5.3%)(絶対リスク減少率 3.9%,95%CI -3.4~23.8)。
治験薬投与中,重大な出血事象は認められなかった。
重大ではないが臨床的に問題となる出血事象はrivaroxaban群6例(7.8%),標準治療群1例(5.3%)。
死亡はrivaroxaban群3例(3.9%),標準治療群0例。
予定治療期間終了時,圧迫超音波検査およびスパイラルCTの統合評価にて血栓消失が確認されたのはrivaroxaban群44例(62.0%),標準治療群6例(31.6%),改善または血栓消失はそれぞれ68例(95.8%),17例(89.5%)。

●有害事象

文献: Yamada N, et al. Oral rivaroxaban for Japanese patients with symptomatic venous thromboembolism - the J-EINSTEIN DVT and PE program. Thromb J 2015; 13: 2. pubmed
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