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AMPLIFY-J Apixaban for the Treatment of Japanese Subjects with Acute Venous Thromboembolism
結論 日本人の静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,apixabanは忍容性にすぐれ,好ましい安全性プロフィールを示した。標準療法群にくらべ,臨床的に重要な差異は認めなかった。
コメント 日本人を対象とした本試験では,一次エンドポイントである大出血+臨床的に問題となる非大出血の頻度が,標準療法群に比較してアピキサバン群で低い傾向が示された。両群間でVTE再発率や血栓の退縮率は差がなく,標準療法群における出血イベントがこれまでの報告とくらべやや高い点が気になるものの,アピキサバンの安全性が示唆された。(山田典一

目的 VTE患者に対する標準的抗凝固療法として,日本では未分画heparin(UFH)+warfarinが用いられている。複数国で行われたAMPLIFY試験では, apixaban固定用量単独投与は通常治療(enoxaparin+warfarin)に比べ非劣性を示し,出血イベントは抑制された。本試験は,日本人の急性肺塞栓症(PE)/深部静脈血栓症(DVT)患者において,apixabanの安全性および有効性を検討した。主要評価項目:ISTH出血基準の大出血+大出血ではないが臨床的に問題となる出血の複合。有効性の評価項目:24週までの症候性VTE再発(非致死的DVTまた非致死的PE)+VTE関連死,2,12,24週後の血栓の増悪。
デザイン PROBE試験。
セッティング 多施設(21施設),日本。
期間
対象患者 80例。≧20歳,客観的に診断された症候性近位部DVTまたはPE(DVT合併の有無は問わない)患者。
【除外基準】血栓除去術,血栓溶解薬使用,活動性出血,出血高リスク,UFH/warfarinに対し禁忌,長期抗凝固療法/抗血小板薬2剤併用療法/aspirin(>165mg/日)の適応を有する,試験薬投与前のfondaparinuxの2用量を超える投与,>36時間のUFH持続注入,ビタミンK拮抗薬の2用量を超える投与,ヘモグロビン<9g/dL,血小板数<100,000/mm3,クレアチニンクリアランス(CrCL)<25mL/分。
【患者背景】平均年齢はapixaban群64.3歳,標準療法群66.1歳。各群の男性55.0%,42.5%。当該イベント(DVT/PE):55.0%/45.0%,57.5%/42.5%。平均体重64.6kg,58.1kg。腎機能:正常(CrCL>80mL/分)50.0%,35.0%,軽度(同50超80以下)45.0%,42.5%,中等度(同30超50以下)2.5%,12.5%,重度(同30以下)2.5%,7.5%。DVT既往15.0%,10.0%。
治療法 当該イベントの種類(症候性近位部DVT/症候性PE)および下大静脈フィルター留置の有無により層別化後,以下の2群に無作為割付。
apixaban群:40例。10mg 1日2回を7日間投与後,5mg 1日2回を23週継続。
標準療法群:40例。APTTが1.5~2.5倍になるようUFHを持続的に静注し,warfarinも併用。UFHは5日以上継続し,PT-INR≧1.5を達成後はwarfarin単独投与(PT-INR 1.5~2.5)に切り替えた。5日以内にPT-INRが2.0を超えた場合は,担当医の裁量によりUFHを中止した。
追跡完了率 試験薬中止はapixaban群3例,標準療法群6例。
結果

●評価項目
標準療法群におけるTTRは70.1%。
主要評価項目はapixaban群3例(7.5%)で,標準療法群11例(28.2%)より抑制された。
大出血はapixaban群0例,標準療法群2例(5.1%)。
VTE再発はapixaban群0例,対照群1例(PE再発)。
血栓の画像評価において,試験終了時に悪化が認められたのは,DVT患者ではapixaban群0例,標準療法群1例(4.5%),PE患者では0例,1例(6.7%)であった。

●有害事象
有害事象はapixaban群34例(85.0%),標準療法群37例(94.9%),重篤な有害事象はそれぞれ3例(7.5%),7例(17.9%)であった。

文献: Nakamura M, et al. Apixaban for the Treatment of Japanese Subjects With Acute Venous Thromboembolism (AMPLIFY-J Study). Circ J 2015; 79: 1230-6. pubmed
関連トライアル AMPLIFY, AMPLIFY-EXT, APROPOS, ARISTOTLE time in therapeutic range, ARISTOTLE-J, Botticelli, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, Hokusai-VTE, THRIVE, VTEの治療ストラテジー:8つの抗凝固療法の比較, Wells PS et al
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