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VISSIT Vitesse Intracranial Stent Study for Ischemic Stroke Therapy
結論 症候性頭蓋内動脈狭窄患者において,バルーン拡張ステントは薬物療法にくらべ,同一領域における12ヵ月後の更なる脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)リスク,ならびに30日後の全脳卒中またはTIAリスクを上昇させた。本結果より,症候性頭蓋内動脈狭窄患者に対するバルーン拡張ステントの使用は支持されない。
コメント 症候性頭蓋内狭窄病変に対するバルーン拡張型ステント留置術は,自己拡張型ステントのSAMMPRIS試験と同様,薬物治療に比較して脳卒中またはTIAリスクを上昇させた。プレリミナリーな使用経験から得られていた手技リスクの期待値が大きく異なることと,急性期の2剤併用抗血小板療法を含む薬物療法の予想以上の有用性が関与している。この領域の脳虚血に対するデバイスのアプローチは,より重症かつ緊急例で検討していくことになるであろう。(岡田靖

目的 頭蓋内狭窄は脳卒中のもっとも多い病因の一つである。重篤な症候性頭蓋内狭窄(≧70%)患者における1年後の再発リスクは,薬物療法下でも23%と見積もられているが,バルーン拡張ステントを薬物療法と比較したRCTはこれまで行われていない。本試験では,重篤な症候性頭蓋内狭窄患者において,バルーン拡張ステント+薬物療法の有効性および安全性を薬物療法単独と比較した。有効性の主要評価項目:(1)無作為割付後1年以内における責任病変遠位側の全脳卒中,(2)無作為割付の2日目(麻酔後の神経学的変動をTIAと見誤ることを避けるため)から1年後までの確定的TIA。安全性の主要評価項目:無作為割付後30日以内の全領域における脳卒中+2~30日以内の全領域における確定的TIA+ステント留置後30日以内の全死亡+無作為割付後30日以内の頭蓋内出血。
デザイン 無作為割付試験。intention-to-treat解析。NCT00816166。
セッティング 多施設(27施設),3ヵ国。
期間 登録期間は2009年2月~2012年6月。
対象患者 111例。18~85歳,内頸動脈,中大脳動脈,椎骨動脈,脳底動脈のいずれかに70~99%(タンデム病変の場合は50~99%)の狭窄があり,過去30日以内に標的病変領域を起因とする脳卒中または確定的TIAを発症した患者。エンドポイントとしての確定的TIAは,脳の局所または網膜の虚血による神経学的機能障害が10分以上持続したが,24時間以内に回復した場合と定義。
【除外基準】心原性塞栓症の潜在的な原因がある,modified Rankin Score(mRS)>3,神経学的状態が不安定(無作為割付前の48時間に,4点を超えるNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアの悪化),頭蓋内病変(脳動脈瘤,もやもや病,生検により確定診断された血管炎など)の併発がある。
【患者背景】平均年齢はステント群61.8歳,薬物療法群61.8歳。各群の男性70.7%,60.4%。高血圧84.5%,81.1%。脂質異常症50.0%,60.4%。糖尿病43.1%,37.7%。冠動脈疾患17.2%,22.6%。血圧142.4/78.4mmHg,140.7/76.7mmHg。当該イベント:脳卒中62.1%,64.2%,TIA 41.4%,41.5%。動脈狭窄中央値(範囲)79.0(57~97)%,79.0(70~98)%。当該イベントから無作為割付まで9時間,15.0時間。NIHSS中央値(範囲)1(0~3),1(0~2)。mRS 3:12.1%,7.5%。
治療法 以下の2群に分けて無作為割付し,両群とも薬物療法を実施。
ステント群:58例。無作為割付から48時間以内にステント留置を施行。
薬物療法群:53例。薬物療法のみ。
薬物療法はclopidogrel 75mg/日を3ヵ月,ならびにaspirin 81~325mg/日を試験器間中投与。個々の患者にあわせ,スタチンや降圧薬も投与した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
本試験は,予定患者数250例のうち112例(ステント群1例は除外基準に相当したため除外)を登録した時点で,SAMMPRIS試験の結果をうけ中止となった。
無作為割付後30日以内の安全性の主要評価項目は,ステント群14/58例(24.1%[95%CI 13.9%-37.2%]),薬物療法群 5/53例(9.4%[95%CI 3.1%-20.7%])(p=0 .05)。
30日以内の頭蓋内出血はステント群5/58例(8.6%[95%CI 2.9%-19.0%]),薬物療法群0例(95%CI 0%-5.5%)(p=0.06)。
1年後の脳卒中または確定的TIAはステント群21/58例(36.2%[95%CI 24.0-49.9]),薬物療法群8/53例(15.1%[95%CI 6.7-27.6])(p=0.02)。
ベースライン時のmRSスコアの悪化はステント群14/58例(24.1%[95%CI 13.9%-37.2%]),薬物療法群6/53例(11.3%[95%CI 4.3%-23.0%])(p=0.09)。
30日後の全死亡はステント群3/15例(5.2%),薬物療法群0例(p=0.25)。死亡3例の内訳は,ステント留置から1日後の出血性脳卒中2例,無作為割付後20日以内の虚血性脳卒中1例。
12ヵ月後のEuroQol-5Dは,5項目のいずれも同程度であった。

●有害事象

文献: Zaidat OO, et al.; VISSIT Trial Investigators. Effect of a balloon-expandable intracranial stent vs medical therapy on risk of stroke in patients with symptomatic intracranial stenosis: the VISSIT randomized clinical trial. JAMA 2015; 313: 1240-8. pubmed
関連トライアル CARESS, ECASS III, OPTIMIZE, WASID, WASID subgroup analysis
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