抗血栓トライアルデータベース
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SWIFT PRIME Solitaire with the Intention for Thrombectomy as Primary Endovascular Treatment
結論 前方循環近位部閉塞による虚血性脳卒中のためrt-PA静注をうける患者において,6時間以内の血栓除去術は,90日後の機能的転帰を改善した。
コメント 虚血性脳卒中に対する血栓回収ステントを用いた血栓除去術のエビデンス確立の一翼を担った,画期的な研究である。本試験の有効性はきわめて高く,6時間以内という,より早期の治療開始と,主幹動脈閉塞を伴いながらも広範な不可逆性虚血を除外した点が,試験の成功に大きく寄与している。(岡田靖

目的 前方循環近位部閉塞による虚血性脳卒中患者において,rt-PA療法後に機能的自立が再び得られるのは40%未満である。rt-PAに血栓回収ステントを用いた血栓除去術を追加することは,再灌流率を上昇させ,長期機能的転帰を改善する可能性がある。本試験は,頭蓋内内頸動脈かつ/または中大脳動脈(M1)に閉塞が確認され,広範な不可逆性虚血病変(ischemic core)のない虚血性脳卒中患者において,血管内治療をrt-PA静注単独と比較した。主要評価項目:90日後のmodified Rankin Score(mRS)。副次評価項目:90日後の死亡,90日後の機能的自立(mRS≦ 2),無作為割付から27時間後のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアの変化。安全性の主要評価項目:試験終了までのすべての重篤な有害事象,無作為割付から27時間後の症候性頭蓋内出血。
デザイン 無作為割付,オープン試験。NCT01657461。
セッティング 多施設(39施設),複数国(欧米)。
期間 登録期間は2012年12月~2014年11月。
対象患者 196例。中等度~重度の神経学的欠損をともなう虚血性脳卒中,頭蓋内内頸動脈かつ/または中大脳動脈(M1)に画像診断にて閉塞を確認,画像診断上の条件に合致,rt-PA静注中またはすでに静注,脳卒中発症前の健常な姿を確認されてから6時間以内に血管内治療を開始可能。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢は血管内治療群65.0歳,rt-PA単独群66.3歳。各群の男性55%,47%。NIHSS中央値17,17。脳卒中前のmRS 0~1:98%,99%。高血圧67%,58%。糖尿病12%,15%。現喫煙または喫煙経験43%,42%。心房細動36%,39%。心筋梗塞8%,11%。閉塞部位;内頸動脈18%,16%,M1:67%,77%,M2:14%,6%。発症からrt-PA静注まで110.5分,117分。発症から無作為割付まで190.5分,188分。target mismatch 83%,85%。
治療法 以下の2群に分けて無作為割付。
血管内治療群:98例。rt-PA静注+Solitaireデバイスを用いた血栓除去術を実施。
rt-PA単独群:98例。rt-PA静注のみ。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
0日後のmodified Rankin Score(mRS)。副次評価項目:90日後の死亡,90日後の機能的自立(mRS≦ 2),無作為割付から27時間後のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコアの変化。安全性の主要評価項目:試験終了までのすべての重篤

●有害事象
本試験は有効性のため早期中止となった。
血管内治療群における当該画像撮像から鼠径部穿刺までの時間は57分,手技終了時の再灌流率は88%であった。
血管内治療は90日後の機能的転帰を改善した(p<0.001)。機能的自立(mRS 0~2)は血管内治療群のほうがrt-PA単独群より多かった(60% vs. 35%,RR 1.70,95%CI 1.23-2.33,p<0.001)。
90日後の死亡率は同程度であった(血管内治療群9% vs. rt-PA単独群12%,p=0.50)。
無作為割付から27時間後のNIHSSの変化は,血管内治療群のほうがrt-PA単独群より大きかった(-8.5±7.1 vs. -3.9±6.2,p<0.001)。

文献: Saver JL, et al.; SWIFT PRIME Investigators. Stent-retriever thrombectomy after intravenous t-PA vs. t-PA alone in stroke. N Engl J Med 2015; 372: 2285-95. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, CLOTBUST , ECASS, ECASS III, ESCAPE, IMS III, IST-3, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, MR RESCUE, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SYNTHESIS Expansion, TIMS-China, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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