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Kuramatsu JB et al Anticoagulant reversal, blood pressure levels, and anticoagulant resumption in patients with anticoagulation-related intracerebral hemorrhage
結論 経口抗凝固薬(OAC)関連脳内出血患者において,4時間以内の抗凝固の中和(PT-INR<1.3)および4時間後のSBp<160mmHgは血腫拡大率の低下と関連し,OACの再開は虚血イベント減少と関連していた。これらの知見は,前向き研究での確認・評価が必要である。
コメント ワルファリン療法中の脳内出血において,4時間以内にPT-INRが1.3未満へ,収縮期血圧が160mmHg未満へ低下することが血腫増大抑制と関連し,抗凝固療法の再開が虚血を抑制し,出血性合併症を増やさなかったことが示された。後ろ向き研究であり,前向き研究が求められるのもの,ワルファリン療法中の脳内出血の急性期管理と抗凝固療法の再開に関する方向性を示唆する,興味深い研究と評価される。(矢坂正弘

目的 OACの使用は増加しているが,OACのもっとも重要な合併症であるOAC関連脳内出血の治療に関するデータは十分でない。本研究はOAC関連脳内出血患者において,(1)抗凝固の中和および血圧に関連して,血腫拡大(実質体積の初期からの>33%の増加)を調査し,また(2)抗凝固療法の再開と出血性/虚血性合併症の関連について検討を行った。
デザイン 後ろ向きコホート研究。NCT01829581。
セッティング 多施設(19施設),ドイツ。
期間 登録期間は2006~2010年,追跡期間は1年(2012年1月終了)。
対象患者 1,176例。抗凝固療法に関連する自然発症の脳内出血のため神経科に入院した成人患者連続例で,入院時のPT-INRが>1.5の症例。
【除外基準】二次的要因による脳内出血(外傷,腫瘍,動静脈奇形,動脈瘤性くも膜下出血,血栓溶解療法,凝固障害などに関連するもの)。
【血腫拡大の有無別の患者背景】平均年齢は血腫拡大例72.8歳,非拡大例74.1歳。それぞれの女性34.9%,39.6%。OACの適応:心房細動76.5%,78.6%,機械弁10.4%,6.4%(p=0.04),肺塞栓症3.6%,4.8%,深部静脈血栓症3.9%,4.0%。平均CHADS2スコア2.5,2.6。平均HAS-BLED出血リスクスコア3.2,3.0。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値14,9(p<0.001)。初期画像:深部脳内出血56.4%,42.7%(p<0.001),脳葉出血30.9%,41.9%(p=0.001),小脳出血8.1%,13.0%(p=0.03)。脳内出血体積13.5cm3,12.1 cm3
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
[血腫拡大]
血腫拡大は307/853例(36.0%)に認められた。
投与4時間以内にPT-INR<1.3への中和が達成できた症例,4時間後のSBPが<160mmHgであった症例は,血腫拡大率が低かった。
PT-INR<1.3:43/217例(19.8%)vs. 同≧1.3:264/636例(41.5%),p<0 .001。
<160mmHg:167/504例(33.1%)vs. ≧160mmHg:98/187例(52.4%),p<0 .001。
4時間以内の抗凝固の中和(PT-INR<1.3)および4時間後のSBp<160mmHg の組み合わせは,血腫拡大低下および院内死亡率低下と関連していた。
血腫拡大:35/193例(18.1%)vs. 220/498例(44.2%),OR 0.28,95%CI 0.19-0.42,p<0.001。
院内死亡率:26/193例(13.5%)vs. 103/498例(20.7%),OR 0.60,95%CI 0.37-0.95,p=0 .03。
[OAC再開]
OACは1年後の追跡データが得られた生存者719例のうち172例(23.9%)で再開された。再開までの日数中央値は31日。
OACの再開は虚血性合併症を抑制したが,出血性合併症は同程度であった。
虚血性合併症:OACあり9/172例(5.2%) vs. OACなし82/547例(15.0%),p<0.001。
出血性合併症:14/172例(8.1%)vs. 36/547例(6.6%),p=0.48。
OACを再開した心房細動患者におけるプロペンシティ解析では,長期死亡率が低下した(HR 0.258,95%CI 0.125-0.534,p<0.001)。
[長期機能転帰]
1年後,1,083例のうち786例(72.6%)が機能的転帰不良(modified Rankin Score[mRS] 4~6)であった。

●有害事象

文献: Kuramatsu JB, et al. Anticoagulant reversal, blood pressure levels, and anticoagulant resumption in patients with anticoagulation-related intracerebral hemorrhage. JAMA 2015; 313: 824-36. pubmed
関連トライアル Carrero JJ et al, De Marchis GM et al, EAFT 1995, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hylek EM et al, Lamberts M et al, Madrid Stroke Network, MUCH-Italy, North Dublin Population Stroke Study, Ontario Stroke Registry, ORBIT-AF, SITS-ISTR blood pressure, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較
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