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メタ解析
DES留置とDAPT実施期間
Duration of Dual Antiplatelet Therapy Following Drug-Eluting Stent Implantation: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
結論 短期の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は長期DAPTにくらべ,出血リスクは低かったが,ステント血栓症発症率が高かった。本解析はDAPTの期間が試験により異なるため限界があるものの,ステント血栓症についての抗血小板薬の有効性は,第二世代薬剤溶出性ステント(DES)の使用により,第一世代より不明確となった。全死亡率は数値的には長期DAPTのほうが高かった。DAPTの延長は,虚血と出血のトレードオフの慎重な評価が必要である。
コメント 欧米の臨床研究結果を見ると,ステント血栓症の多さに驚愕する。本研究はアスピリンとP2Y12受容体阻害薬の抗血小板併用療法が6ヵ月以下の症例と12ヵ月以上の症例において,10の既に出版された研究結果についてメタ解析して比較した。メタ解析の統計手法が複雑で,筆者には十分に理解できない。短期DAPTとされる症例群では,DAPTを3~6ヵ月施行したのち,DAPT継続群と単剤群にして6ヵ月以上観察した症例,および12~24ヵ月DAPT継続後に,DAPT継続群を6~12ヵ月観察した比較との理解でよいのであろうか?DAPT継続と単剤の間がランダム化された試験なのか,二重盲検もなされているのかは筆者にはわからない。DAPT継続群と単剤群のイベント発症率を比較すると,DAPT継続群では血栓性イベントリスクが低く,出血イベントリスクが高い。抗血小板薬の薬効から予測される通りの結果である。DAPT長期継続後でも,DAPT継続群の方は血栓イベントが少ないという部分が強調されている。
常に驚くのは,このような解析を可能とさせる日本以外の世界におけるステント血栓症発症率の高さである。日本のステント血栓症発症率は長期DAPTにかかわらず一般に低いので,日本ではこのようなランダム化比較試験の施行は困難であろう。また,日本と他の地域の差異を容認すれば,欧米の試験結果を日本の臨床に応用することも困難となる。日本の臨床データベースも以前より充実してきたので,日本と日本以外の諸国の比較が可能な時代になった。(後藤信哉

目的 DES留置後のDAPTの至適期間は不明であり,そのリスク・ベネフィットは,DESの世代により異なるのではないかと考えられている。本研究では,現行の第二世代のDES留置後のステント血栓症に焦点を絞り,短期DAPTの有効性および安全性を長期DAPTと比較した。有効性の主要評価項目:ステント血栓症(probable/definite)。安全性の主要評価項目:臨床的に重篤な出血(TIMI出血基準大/小出血BARC出血基準タイプ3または5の出血STEEPLE出血基準GUSTO出血基準)。
方法 MEDLINE,Scopus,the Cochrane Libraryにて,DES留置後異なる期間のDAPTを比較したRCTを検索。言語,出版日の制限は設けなかった。
対象 10試験。3または6ヵ月にてDAPTを中止後6ヵ月以上DAPTと非DAPTのアウトカムの比較をした研究。短期(3または6ヵ月 vs. 12または24ヵ月):ISAR-SAFEITALICSECURITYOPTIMIZEPRODIGYEXCELLENTRESET,長期(12ヵ月 vs. 18~36ヵ月):DAPT,DES-LATE,ARCTIC-Interruption
32,135例。
主な結果 ・ステント血栓症
長期DAPTにくらべ,短期DAPTは全体のステント血栓症発症率が高かった(短期0.9% vs. 長期0.5%,OR 1.71;95%CI 1.26-2.32,p=0.001,不均一性p=0.39)。
DAPTの実施期間別では,短期DAPT(3または6ヵ月 vs. 12または24ヵ月)では長期DAPT(12ヵ月 vs. 18~36ヵ月)にくらべ有効性が弱かった(短期:OR 1.20;0.77-1.88,長期:OR 2.22;1.55-3.17,交互作用p=0.044)。
短期DAPTがステント血栓症におよぼす影響は,第二世代DES(OR 1.54; 0.96-2.47)で第一世代DESより弱かった(OR 3.94;2.20-7.05,交互作用p=0.008)。

・出血
短期DAPTは臨床的に重篤な出血リスクが低かった(短期1.2% vs. 長期1.9%,OR 0.63;95%CI 0.52-0.75,p<0.001,不均一性p=0.95)。

・死亡
短期DAPTの全死亡率は,有意差はないものの数値的には低かった(短期2.0% vs. 長期2.2%,OR 0.87;0.74-1.01,p=0.073,不均一性p=0.91)。
心血管死:短期1.3% vs. 長期1.4%,OR 0.94;0.76-1.15,p=0.563,不均一性p=0.93。

・心筋梗塞
心筋梗塞は短期DAPTで増加した(短期1.0% vs. 長期0.9%,OR 1.39;1.20-1.62,p<0.001,不均一性p=0.55)。

・脳卒中
脳卒中は同程度であった(短期2.6% vs. 長期1.9%,OR 0.99;0.78-1.24,p=0.907,不均一性p=0.64)。
文献: Giustino G, et al. Duration of Dual Antiplatelet Therapy After Drug-Eluting Stent Implantation: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. J Am Coll Cardiol 2015; 65: 1298-310. pubmed
関連トライアル ADAPT-DES, ARCTIC-Interruption, DAPT, DAPT BMS or DES, DES留置後のDAPT延長投与, EXCELLENT, ITALIC, OPTIMIZE, PARIS, PRODIGY type of stent, PRODIGY in-stent restenosis, PROTECT, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, SECURITY, TL-PAS, Varenhorst C et al
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