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Lip GY et al Oral Anticoagulation, Aspirin, or No Therapy in Patients With Nonvalvular AF With 0 or 1 Stroke Risk Factor Based on the CHA2DS2-VASc Score
結論 低リスク患者(CHA2DS2-VAScスコアが男性は0,女性は1)の脳卒中リスク,出血リスクは真に低かった。抗凝固療法をうけていない場合,脳卒中リスクが一つ増えると(同スコアが男性は1,女性は2)イベント発症率,特に死亡率が有意に上昇した。

目的 心房細動患者において,追加的リスクが1つでもあると脳卒中リスクが上昇する可能性がある。しかし,これらの患者をどのように治療するのが最善であるかの合意はない。本研究では,低リスク患者(CHA2DS2-VAScスコア 0~1)における脳卒中/出血リスクおよび抗血栓療法による影響について検討した。
デザイン 住民登録,患者登録,処方登録データにもとづく全国規模のコホート研究。intention-to-treat解析。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 試験期間は1998年~2012年6月30日,試験終了は2013年12月31日。平均追跡期間は5.9年。
対象患者 39,400例。試験期間に非弁膜症性心房細動の発作の診断をうけた患者全例。
【除外基準】移住から2年以内,CHA2DS2-VAScスコア>1点の男性,同>2点の女性,退院から14日以内に死亡。また治療に関する要因として,当該日(入院患者では退院の14日後,外来患者では診断から14日後)前の4ヵ月~1年の間にNOAC,phenprocoumon,それまでのwarfarinに加えaspirin,それまでのaspirinに加えwarfarinの処方をうけた患者も除外した。
【患者背景】心房細動発症時の年齢中央値は59歳。女性37.8%。平均CHA2DS2-VAScスコア0.86。平均HAS-BLED出血リスクスコア0.95。高血圧17.3%。年齢>65歳25.6%。糖尿病1.9%。
治療法 当該日前の1年間に抗血栓薬(warfarin, phenprocoumon, aspirin, dabigatran)の処方をうけていない患者を非治療群(23,572例),当該日前の4ヵ月間にwarfarinまたはaspirinを処方された患者を治療群とした(warfarin群10,475例,aspirin群5,353例)。
追跡完了率
結果

●評価項目
治療をうけていない低リスク患者(CHA2DS2-VAScスコアが男性は0,女性は1)における脳卒中発症率は,1年後:0.49%/年,追跡期間終了後:0.47%/年であった。warfarin群では1年後:0.88%/年,試験期間終了後:0.76%/年,aspirin群ではそれぞれ0.78%/年,0.71%/年。
治療をうけていない,脳卒中リスクが1つ多い患者(CHA2DS2-VAScスコアが男性は1,女性は2)における脳卒中発症率は,1年後:1.55%/年,試験期間終了後:1.24%/年。warfarinにより,脳卒中は抑制傾向(1年後:HR 0.76,試験期間終了後:HR 0.94),死亡は有意な抑制(それぞれHR 0.42,0.86),出血は1年後では同程度(HR 0.97),試験期間終了後は有意な上昇(HR 1.22)を認めた。aspirinは脳卒中を抑制せず(1年後:HR 1.01,試験期間終了後:HR 1.09),出血は有意に増加した(試験期間終了後:HR 1.18)。
治療をうけていない低リスク患者における出血イベント発症率は1年後: 1.08%/年,追跡期間終了後:0.97%/年であった。warfarin群では1年後:1.66%/年,試験終了後:1.42%/年,aspirin群ではそれぞれ1.52%/年,1.29%/年。
治療をうけていない,脳卒中リスクが1つ多い患者における出血イベント発症率は,1年後:2.74%/年,試験期間終了後:1.97%/年。
脳卒中リスクが1つあると,1年後のリスク上昇と関連していた(脳卒中3.01倍,出血リスク2.35倍,死亡3.12倍)。

●有害事象

文献: Lip GY, et al. Oral Anticoagulation, Aspirin, or No Therapy in Patients With Nonvalvular AF With 0 or 1 Stroke Risk Factor Based on the CHA2DS2-VASc Score. J Am Coll Cardiol 2015; 65: 1385-94. pubmed
関連トライアル Abraham JM et al, Roldan V et al, SPAF III 1998, Swedish Atrial Fibrillation cohort study
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