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ESCAPE Endovascular Treatment for Small Core and Anterior Circulation Proximal Occlusion with Emphasis on Minimizing CT to Recanalization Times
結論 前方循環近位部閉塞で,梗塞巣が小さく,側副血行が中等度~良好な虚血性脳卒中患者において,迅速な血管内治療は機能的転帰を改善し,死亡率を低下させた。
コメント 前方循環近位部閉塞に伴う急性脳梗塞における血管内治療の効果を証明した点と,側副血行が良好な症例では血管内治療の効果がきわめて高いことを示した点で,大変意義深い研究である。(矢坂正弘

目的 前方循環近位部血管閉塞患者の60~80%は,alteplaseを静注しても発症後90日以内に死亡するか,機能的自立に回復しない。本試験では,梗塞巣の小さい近位部頭蓋内動脈閉塞で,側副血行が中等度~良好な虚血性脳卒中患者において,標準治療への迅速な血管内治療の追加によりベネフィットが得られるか検討した。主要評価項目:90日後のmodified Rankin Score(mRS)
デザイン PROBE試験。intention-to-treat解析。NCT01778335。
セッティング 多施設(22施設),5ヵ国(カナダ,米国,韓国,アイルランド,英国)。
期間 登録期間は2013年2月~2014年10月。
対象患者 316例。成人(年齢上限なし),発症前は地域で機能的に独立していた(Barthel Index≧90),発症から12時間以内の重度の虚血性脳卒中患者。小梗塞巣,前方循環における近位部血管閉塞,中等度~良好な側副血行を確認するため,非造影CTおよびCTAを施行。
【除外基準】大梗塞,側副血行不良。
【患者背景】年齢中央値はインターベンション群71歳,対照群70歳。各群の女性52.1%,52.7%。白人87.3%,87.3%。高血圧63.6%,72.0%。糖尿病20.0%,26.0%。心房細動37.0%,40.0%。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値16,17。発症からalteplase静注までの経過時間中央値110分,125分。
治療法 以下の2群に無作為割付。
インターベンション群:165例。ガイドラインにもとづいた治療(適応と判断された場合,発症から4.5時間以内にalteplaseを静注)に加え血管内治療を実施。血管内治療は入手できるデバイスを用い,retrievableステントが推奨された。また,非造影CTから鼠径部穿刺までは60分以内,最初の再灌流(中大脳動脈の最初の血流再開)までは90分以内が目標とされた。
対照群:150例。ガイドラインにもとづいた治療のみを実施。
追跡完了率 追跡脱落は4例(1.3%)。
結果

●評価項目
本試験は,インターベンション群の有効性が明らかなため早期中止となった。
インターベンション群120例,対照群118例にalteplase静注を行った。
インターベンション群における,CTから鼠径部穿刺までの経過時間は51分,初回再灌流までは84分。
機能的転帰はインターベンション群のほうが良好であった(OR 2.6;95%CI 1.7-3.8,p<0.001)。機能的自立(90日後のmRS 0~2)はインターベンション群53.0% vs. 対照群29.3%(RR 1.8;95%CI 1.4-2.4,p<0.001)。90日後のmRS中央値は2 vs. 4(p<0.001)。
死亡率はインターベンション群のほうが低かった(10.4% vs. 19.0%,RR 0.5;0.3-1.0,p=0.04)。
症候性頭蓋内出血は同程度であった(3.6% vs. 2.7%,RR 1.4;0.4-4.7,p=0.75)。

●有害事象
デバイス関連または手技的合併症は18例(重篤な有害イベント4例,重篤でない有害イベント14例)に認められた。

文献: Goyal M, et al.; the ESCAPE Trial Investigators. Randomized Assessment of Rapid Endovascular Treatment of Ischemic Stroke. N Engl J Med 2015; 372: 1019-30. pubmed
関連トライアル ECASS, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ICARO-2, IMS III, MR RESCUE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI CT versus DWI, SITS-ISTR importance of recanalization, SYNTHESIS Expansion, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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