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Alberta Kidney Disease Network
結論 warfarinを開始した高齢の心房細動患者において,腎機能悪化は大出血リスク上昇と関連しており,特に開始から30日以内のリスク上昇は顕著であった。本結果より,慢性腎臓病を合併している心房細動患者においてwarfarin療法のリスク・ベネフィットを評価する際,特に治療開始から30日以内は慎重な検討が必要であることが示された。
コメント 腎機能が低下している症例では,NOACが使いにくいと一般的に考えられているが,ワルファリンにおいても,特に開始から30日以内の大出血リスクが高いことが示された。このことは,特に外来でワルファリンを開始する場合,腎機能低下例では,より慎重なdose upおよび頻回なモニタリングが初期には重要であることを示唆している。(是恒之宏

目的 一般住民において,出血リスクは透析を要する患者で大幅に上昇することが知られているが,warfarin投与中の慢性腎臓病患者におけるステージ別の出血リスクについてはデータが限られている。本研究では,warfarinを開始した心房細動患者において,大出血発生率が腎機能のレベルおよび治療期間(最初の30日間で/それ以降)により異なるか,検討を行った。主要評価項目:大出血。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,カナダ。
期間 試験終了は2011年3月31日。追跡期間中央値2.1年。
対象患者 12,403例。66歳以上,心房細動の記録があり,2003年5月1日~2010年3月31日にwarfarinを開始,当該日(前年にwarfarinの処方がない者において,66歳の誕生日後のwarfarin開始日)の1年前~90日後までに血清クレアチニン値を測定した症例。
【除外基準】末期の腎疾患(透析,腎移植)。
【患者背景】全体の平均年齢77歳。女性49.3%。
治療法 warfarin投与。
解析はeGFR(mL/分/1.73m2)の値により<15(55例),15~29(586例),30~44(1,820例),45~59(3,221例),60~89(6,140例),≧90(581例)に分けて行った。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
対象患者の45%がeGFR<60 mL/分/1.73m2であった(以降,eGFRの単位は省略)。
大出血は1,443例(11.6%)に発生した(warfarin投与開始30日以内:15.2%/年,30日以降:4.2%/年)。内訳は,消化管58.4%,頭蓋内5.4%。
warfarin投与開始30日以内の大出血発生率は,未補正,補正後ともeGFRが低い症例で高かった(いずれも傾向p<0.001)。
最初の30日間における補正後出血発生率は,eGFR<15群では同>90群にくらべ約10倍であった(補正後罹患率比[IRR]10.3[2.3-45.5],p=0.002)。
eGFR<15:63.4%/年(95%CI 24.9-161.6)。
15~29:19.8%/年(95%CI 11.7-33.5)。
30~44:12.4%/年(95%CI 8.2-18.6)。
45~59:12.7%/年(95%CI 9.2-17.6)。
60~89:9.2%/年(95%CI 6.9-12.3)。
eGFR>90:6.1%/年(1.9-19.4)。
warfarin投与開始から30日経過以降も同様の関連がみられたが,発生率上昇の程度は,最初の30日に比較すると弱くなった(eGFR<15の同≧90に対しての補正後IRR 2.22[1.07-4.59],p=0.03)。
すべてのeGFRカテゴリーについて,warfarin投与開始30日以内の大出血発生率は,それ以降の期間にくらべ高かった。
大出血発生率の上昇は,おもに消化管出血によるものであった(eGFR<15では20%,≧90では5.6%)。
頭蓋内出血は腎機能が低くなっても増加しなかった(eGFR<15,≧90とも0%)。

●有害事象

文献: Jun M, et al.; Alberta Kidney Disease Network. The association between kidney function and major bleeding in older adults with atrial fibrillation starting warfarin treatment: population based observational study. BMJ 2015; 350: h246. pubmed
関連トライアル AFASAK 2 1999, Albrecht JS et al, ARISTOTLE, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE renal function, Carrero JJ et al, Graham DJ et al, Hernandez I et al, Larsen TB et al, Olesen JB et al, RE-LY, RE-LY quality of INR control, RE-LY risk of bleeding, ROCKET AF, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption, Shah M et al, SPAF II 1996, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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