抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Madsen TE et al Analysis of tissue plasminogen activator eligibility by sex in the greater cincinnati/northern kentucky stroke study
結論 白人および黒人から成る大規模集団において,rt-PAの適格性に性差を認めなかった。女性は修正可能な除外基準である重度の高血圧を有する割合が高かったが,rt-PA静注をうける可能性は高くなかった。女性はECASS IIIの5つの除外基準のうち2つをより多くもっていた。女性における降圧治療実施率の低さは,rt-PA静注における性差の修正可能な一因である可能性がある。
コメント 近年,大規模地域病院群患者を対象とした治療プロセスの解析が進んでいる。本研究もrt-PAの適格性に関して性差の解析を行い,女性に重度の高血圧の割合が高いことを示した点で興味深い。脳卒中治療の均てん化の面でも価値ある論文である。(岡田靖

目的 女性に対するrt-PA静注療法実施率が男性にくらべ低い患者集団があるが,その差異の詳細は明確になっていない。本研究では,(1)標準的およびECASS III基準によるrt-PA静注の全体の適格性,(2)AHAガイドラインおよびECASS IIIによる項目ごとの除外基準において性差が認められるか検討した。また,修正可能な除外基準である高血圧における性差についても検討を行った。
デザイン 後ろ向き,地域住民ベースのコホート研究。
セッティング 多施設(16施設),米国。
期間 登録期間は2005年の1年間。
対象患者 1,837例。2005年,オハイオ州南西部およびケンタッキー州北部の5つの郡にある施設に来院した,18歳以上の虚血性脳卒中患者全例。
【除外基準】中大脳動脈領域の1/3を超える梗塞。
【患者背景】平均年齢は女性72.2歳,男性66.1歳(p<0.001)。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値4,3(p=0.03)。
治療法 rt-PA静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
rt-PA静注の性別による適格性は同様で(女性6.1% vs. 男性6.8%,p=0.55),年齢による補正後も同様であった(5.9% vs. 7.0%,p=0.32)。
発症-来院時間が3時間または4.5時間を超えていた割合は男女で同程度であったが(3時間超経過後:女性79.1% vs. 男性76.5%,p=0.35,4.5時間経過後:75.8% vs. 73.1%,p=0.33),女性のほうが重度の高血圧が多かった(SBP>185mmHgまたはDBP>110mmHg:17.1% vs. 12.4%,p=0.02)。
重度の高血圧患者における降圧治療実施率には,性差を認めなかった(女性14.6% vs. 男性20.8%,p=0.21)。
女性はECASS IIIの5つの除外基準のうち2つ(>80歳:女性35.0% vs. 男性17.4%,p<0.0001,NIHSS>25:2.8% vs. 1.2%,p=0.01)が多かった。他は同程度であった(発症-来院時間>4.5時間[上記],糖尿病および脳卒中既往:11.9% vs. 12.0%,p=0.95,経口抗凝固薬の使用またはAPTT>40秒のヘパリン使用:14.7% vs. 12.6%,p=0.39)。

●有害事象

文献: Madsen TE, et al. Analysis of tissue plasminogen activator eligibility by sex in the greater cincinnati/northern kentucky stroke study. Stroke 2015; 46: 717-21. pubmed
関連トライアル CASES gender, Cronin CA et al, Muchada M et al, Muchada M et al, PRACTISE gender difference, TPA Bridging Study, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 脳梗塞発症後3~4.5時間の時間枠におけるrt-PA静注の有効性および安全性
関連記事