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Friedrich B et al Distance to thrombus in acute middle cerebral artery occlusion: a predictor of outcome after intravenous thrombolysis for acute ischemic stroke
結論 血栓溶解療法をうけた中大脳動脈閉塞の脳卒中患者において,Carotid T中心点(中大脳動脈・前大脳動脈・頭蓋内頸動脈分岐部の交叉点)から血栓までの距離は臨床転帰の独立予測因子であった。血栓までの距離が<16mmの場合,血栓溶解療法後の転帰良好の可能性は<50%であった。
コメント 本論文はCT血管造影を用いて塞栓血栓の内頸動脈遠位端分岐部からの距離と血栓長を計測し,rt-PA静注療法の効果との関連を検討しており,血管内治療の適応にも参考になる研究である。Hiranoら(J-ACT II, Stroke 41: 2828, 2010)がすでに発表している急性中大脳動脈閉塞のMRI血管造影における残存血管長とrt-PAの治療効果との関連をみた先行研究も引用してほしい内容である。(岡田靖

目的 中大脳動脈閉塞脳卒中患者において,治療の決定は閉塞部位に影響される。中大脳動脈の閉塞部位は部位別(M1~M4)に記述されるが,その定義はさまざまであり,客観的で容易に評価できる方法が求められていた。本研究では,血栓溶解療法をうけた中大脳動脈閉塞脳卒中患者において,最大値投影法(MIP)によりCarotid T中心点から血栓までの距離と血栓長を計測し,血栓までの距離と90日後のmRSの関連を検討した。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 単施設,ドイツ。
期間 登録期間は2009年1月1日~2014年4月30日。
対象患者 136例。当該期間に治療をうけた,CT血管造影で中大脳動脈領域に血管閉塞を確認,治療用量の血栓溶解薬静注を完了,臨床経過(登録時および7日後のNational Institute of Health stroke scale[NIHSS],90日後のmodified Rankin Score[mRS])の記録がある,頭蓋内の他の領域にも頸部の血管にも血管障害のない(関連する先行血栓がない)患者。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢は76歳。女性58%。入院時のNIHSS中央値15。退院時のNIHSS中央値4。脳卒中前のmRS中央値0。90日後のmRS中央値3。高血圧92%。糖尿病35%。喫煙8%。アルコール2.2%。高リポ蛋白血症57.7%。TOAST分類:心原性57.7%,不明31.4%,アテローム性動脈硬化症10.2%。発症-治療時間132±54分。
治療法 当該患者に血栓溶解療法を実施。
追跡完了率
結果

●評価項目
Carotid T中心点から血栓までの距離は,臨床転帰良好(90日後のmRS≦2)と独立して関連していた(OR 1.68;95%CI 1.49-1.72,p<0.001)。ロジスティック回帰分析によると,転帰良好の可能性は血栓までの距離が長くなるにつれ上昇し,16mmを超えると>50%となった(p<0.001)。
血栓長と90日後のmRSとの関連は認められなかった(R=0.153,p=0.32)。
大きな血栓(>8mm)は遠位部より近位部で多くみられた(R=0.529,p<0.001)。

●有害事象

文献: Friedrich B, et al. Distance to thrombus in acute middle cerebral artery occlusion: a predictor of outcome after intravenous thrombolysis for acute ischemic stroke. Stroke 2015; 46: 692-6. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, ICARO, ICARO-2, Mattle HP et al, SITS-ISTR importance of recanalization, Strbian D et al
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