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CADISS Cervical Artery Dissection in Stroke Study
結論 症候性頭蓋外内頸動脈または椎骨動脈解離患者における脳卒中および死亡の予防について,抗血小板薬および抗凝固薬の有効性には有意差を認めなかった。脳卒中は両群ともまれで,観察研究よりさらに少なかった。レビュー後,動脈解離の診断は多くの症例で確認されず,ルーチンの臨床においては,画像的診断基準がいつも正しいとは限らないことが示唆された。
コメント 頭蓋外頸動脈解離における脳卒中予防に関して,抗血小板療法と抗凝固療法の有用性を無作為割付で比較した,注目すべき研究である。90日以内の脳卒中発症はまれで,画像裁定委員会で2割以上に解離が確認できなかった点は,診断の難しさを物語っている。(岡田靖

目的 頭蓋外内頸動脈および椎骨動脈解離は,特に若齢者における脳卒中の主因となり,脳卒中再発リスク上昇との関連を示唆する観察研究もある。抗血小板薬および抗凝固薬は脳卒中リスク低下のために用いられるが,どちらの有効性がすぐれているかは不明である。本試験では,頭蓋外内頸動脈および椎骨動脈解離患者の脳卒中再発予防について,抗血小板薬の有効性を抗凝固薬と比較した。主要評価項目:intention-to-treat解析集団における3ヵ月以内の同側脳卒中または死亡。
デザイン 無作為割付,PROBE,第II相試験。EUDract 2006-002827-18,ISRN CTN44555237。
セッティング 多施設(46施設),2ヵ国(英国39施設+オーストラリア7施設)。
期間 登録期間は2006年2月24日~2013年6月17日,追跡期間は3ヵ月。
対象患者 250例。症状発現から7日以内で,画像により頸部動脈解離が確定され,脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)発症から7日以内の患者(頭蓋外内頸動脈解離118例+椎骨動脈解離132例)。
【除外基準】頭蓋外内頸動脈解離,抗血小板薬/抗凝固薬禁忌,活動性消化性潰瘍/出血性消化性潰瘍発症から1年以内,他に抗血小板薬/抗凝固薬の適応病態を有する,妊娠。
【患者背景】平均年齢は抗血小板薬群49.3歳,抗凝固薬群49.2歳。各群の男性69%,70%。解離部位:頭蓋外内頸動脈46%,48%,椎骨動脈54%,52%。症状:一過性黒内障3%,4%,TIA 21%,16%,虚血性脳卒中74%,81%,頭痛67%,67%,頸痛45%,51%,ホルネル症候群21%,27%。診断:CT 87%,85%,MRI 82%,75%,血管造影97%,97%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
抗血小板薬群:126例。aspirin単独22%,clopidogrel単独33%,dipyridamole単独1%,aspirin+clopidogrel併用28%,aspirin+dipyridamole併用16%。
抗凝固薬群:124例。heparin(未分画heparinまたは治療用量の低分子量heparin)投与後,warfarinに切り替え,PT-INR 2~3となるよう用量調整投与(heparin+warfarin併用90%,warfarin単独10%)。非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は用いなかった。
深部静脈血栓症予防のための低用量heparin投与は禁忌とせず,抗血小板薬への無作為割付後も担当医の裁量により継続した。
追跡完了率
結果

●評価項目
症状発現から無作為割付までは平均3.65日。
おもな症状は脳卒中またはTIA(224例)および局所の症状(頭痛,頸痛,ホルネル症候群26例)であった。
脳卒中再発はすべて同側の発症で,抗血小板薬群3例(2%),抗凝固薬群1例(1%)に認められ,両群で同程度であった(OR 0.335;95%CI 0.006-4.233,p=0.63)。
死亡は認められなかった。
大出血は抗凝固薬群に1例(椎骨動脈解離患者におけるくも膜下出血)みられた。
画像裁定委員会では52例で解離の確認ができなかった。事前に計画された,これらの患者を除外した解析によると,脳卒中または死亡は抗血小板薬群3例(3%),抗凝固薬群1例(1%)(OR 0.346;95%CI 0.006-4.390,p=0.66)。

●有害事象

文献: CADISS trial investigators. Antiplatelet treatment compared with anticoagulation treatment for cervical artery dissection (CADISS): a randomised trial. Lancet Neurol 2015; 14: 361-7. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, BAFTA, CARESS, CASISP, CSPS 2, EARLY, ECASS III additional outcomes, Georgiadis D et al, 2009, IST 1997, PREVAIL, PRoFESS disability and cognitive function, RE-LY previous TIA or stroke
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