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Kim TH et al Heparin bridging in warfarin anticoagulation therapy initiation could increase bleeding in non-valvular atrial fibrillation patients: a multicenter propensity-matched analysis
結論 warfarinを開始した非弁膜症性心房細動患者において,heparinブリッジングは脳卒中予防のベネフィットはなく,出血が増加した。本結果より,開始時期のheparinブリッジングは考慮すべきでないと示唆された。
コメント 本論文は,ヘパリンブリッジに関する後ろ向き観察研究であるが,対象がNVAF患者でワルファリン未経験者の導入時に限定されていることに留意する必要がある。日本において,このような対応を必要とする症例は,脳梗塞を発症し,入院中にワルファリンを導入する場合に限定されているものと思われる。したがって今回の結果は,周術期にヘパリンブリッジをするかしないかの議論とは一線を画すものと理解しておいたほうがよいだろう。(是恒之宏

目的 非弁膜症性心房細動患者において,経口抗凝固療法開始時期のheparinブリッジングが行われる頻度は5~64%と報告されているが,その有効性および安全性は明らかになっていない。本研究では,warfarin未経験の非弁膜症性心房細動患者連続例において,heparinブリッジングの有効性および安全性を検討した。主要評価項目:warfarin療法開始から30日以内の脳梗塞。副次評価項目:warfarin療法開始から30日以内の全イベント(大/小出血,末梢血栓塞栓症,全死亡)。
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 多施設(4施設),韓国。
期間 登録期間は2000年1月~2013年7月。
対象患者 5,327例。心房細動の診断により来院かつ/または入院し,warfarinを開始した患者。
【除外基準】弁膜疾患(人工弁,リウマチ性弁膜疾患),待機的電気的除細動/カテーテルアブレーション施行予定,30日以内に冠血管造影を予定,心房細動の診断から経口抗凝固療法開始までの期間が30日超。
【患者背景】平均年齢はブリッジング群64.6歳,非施行群65.1歳。各群の男性54.4%,66.4%(p<0.001)。心不全21.2%,10.4%(p<0.001)。高血圧61.2%,61.6%。糖尿病22.7%,22.9%。脳卒中/TIA既往14.7%,14.4%。出血既往0.9%,5.4%(p<0.001)。平均CHA2DS2-VAScスコア2.60,2.38(p<0.001)。平均HAS-BLED出血リスクスコア0.82,1.25(p<0.001)。PT-INR治療域達成までの平均期間14.91日,13.89日(p=0.044)。入院100%,10.10%(p<0.001)。
治療法 heparinブリッジング(本研究では入院中の未分画heparin静注のみ)の選択は担当医の裁量とし,ブリッジング群1,053例,非施行群4,274例にわけて解析した。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
warfarin開始から30日以内において,脳卒中は同程度であったが(0.5% vs. 0.3%,p=0.381),大出血はheparinブリッジング群のほうが非施行群より多かった(0.9% vs. 0.3%,p=0.004)。この傾向は,プロペンシティスコアを合致させた集団における解析でも同様であった(脳卒中:0.5% vs. 0.6%,p=0.762,大出血:0.8% vs. 0.1%,p=0.019)。
CHA2DS2-VAScスコア高値は脳卒中リスク上昇の独立予測因子であった(全例:HR 1.52;95%CI 1.11-2.06,プロペンシティスコア合致集団:HR 1.68;1.13-2.50)。
heparinブリッジングはCHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコアに関係なく,脳卒中予防のベネフィットはみられなかった。
HAS-BLEDスコアは大出血の予測因子であった(全例:OR 1.80,95%CI 1.11-2.92,p=0.018,プロペンシティスコア合致集団:OR 3.23;1.49-6.98)。
heparinブリッジングは大出血リスク上昇と関連しており(OR 4.44;1.68-11.72,p=0.003),特にHAS-BLEDスコア≧1で関連がみられた(OR 5.05;1.13-22.65)。

●有害事象

文献: Kim T, et al. Heparin bridging in warfarin anticoagulation therapy initiation could increase bleeding in non-valvular atrial fibrillation patients: a multicenter propensity-matched analysis. J Thromb Haemost 2015; 13: 182-90. pubmed
関連トライアル ACTIVE W CHADS2 score, AFCAS Registry, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE risk score, COMPARE, Jaffer AK et al, Lakkireddy D et al, Ontario Stroke Registry, ORBIT-AF, ROCKET AF temporary interruption, SPAF II 1996, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
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