抗血栓トライアルデータベース
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DAPT BMS or DES
結論 ベアメタルステント(BMS)留置後12ヵ月間チエノピリジン系薬剤に忍容性を示した患者において,トータルで30ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)継続は,12ヵ月継続にくらべ,ステント血栓症,主要有害心/脳血管事象(MACCE),出血について有意差を認めなかった。しかし,BMS留置患者のサブセットは検出力が不足していた可能性があり,更なる試験が求められる。
コメント DAPT試験のコホートはオーストラリア,北米,欧州の少数の国から登録された。12ヵ月にてチエノピリジンを止めた症例におけるステント血栓症の発症率が全体として驚くほど高い。今回BMSのコホートでも,ステント血栓症が1.11%/18ヵ月と本邦の印象よりは高めである。抗血小板薬を継続すれば重篤な出血イベントリスクが増加し,止めればステント血栓症リスクが高まる。DESより低いといえ,ステント留置後の血栓症の問題はBMSでも困った問題であることをDAPT試験は示している。(後藤信哉

目的 現行のガイドラインでは,薬剤溶出性ステント(DES)留置後のDAPT期間は6~12ヵ月とされているのに対し,BMS留置後では1ヵ月以上とされている。DES留置後12ヵ月以上のDAPTはステント血栓症やステントに関連しない心筋梗塞を抑制すると報告されているが,BMS留置後のDAPTの至適期間に関する試験はほとんどない。ここでは,DAPT試験のデータを用い,(1)BMS留置後患者におけるステント血栓症およびMACCE(死亡,心筋梗塞,脳卒中)の発症率,(2)DAPT試験全体における治療期間効果を比較した。有効性の主要評価項目:12~30ヵ月後のステント血栓症(definite/probable)+MACCE。安全性の主要評価項目:同期間における中等度~重度の出血(GUSTO出血基準BARC出血基準)。
デザイン DAPT試験は無作為割付,二重盲検試験。intention-to-treat解析。NCT00977938。
セッティング
期間 登録期間は2009年8月~2011年7月。追跡終了は2014年5月。
対象患者 11,648例。18歳以上,FDAにより認可されているDES(sirolimus,zotarolimus,paclitaxel,everolimus)またはBMS留置後,DAPTを予定されている症例。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢は30ヵ月群58.9歳,12ヵ月群59.2歳。各群の女性25.5%,21.8%。糖尿病21.7%,20.7%。高血圧64.0%,64.6%。脳卒中/TIA 5.1%,4.0%。心筋梗塞既往19.4%,21.5%。PCIの適応:ST上昇型心筋梗塞36.9%,38.3%,非ST上昇型心筋梗塞21.9%,20.0%,不安定狭心症9.1%,9.6%,安定狭心症23.6%,23.4%。
治療法 患者はステント留置後3日以内に登録し,aspirin+clopidogrelまたはprasugrelを12ヵ月投与。12ヵ月後,MACCE,血行再建術再施行,中等度~重度の出血がなく,チエノピリジン系薬剤のアドヒアランスが良好な症例について,以下の2群に無作為割付を行った。
30ヵ月群:842例。上記DAPTをさらに18ヵ月継続(DAPT期間は計30ヵ月)。
12ヵ月群:845例。aspirin単独投与(DAPT期間は12ヵ月)。
追跡完了率
結果

●評価項目
[BMSコホート1,687例の解析]
ステント血栓症,MACCE,全死亡については,両群で同程度であった。
ステント血栓症:30ヵ月群4例(0.5%) vs. 12ヵ月群9例(1.11%),HR 0.49;95%CI 0.15~1.64,p=0.24。
MACCE:4.04% vs. 4.69%,HR 0.92;0.57~1.47,p=0.72。
全死亡:0.99% vs. 1.24%,HR 0.90;0.35~2.33,p=0.83。
出血は以下の通りであった。
GUSTO出血基準中等度~重度の出血:2.03% vs. 0.90%,HR 1.12;-0.06~2.31,p=0.07。
BARC出血基準タイプ2,3,5:4.56% vs. 1.80%,HR 2.75;1.02~4.48,p=0.002。

[全体コホート11,648例(BMS 1,687例+DES 9,961例)の解析]
ステント血栓症,MACCEは30ヵ月群で抑制されたが,全死亡は有意差を認めなかった。出血は増加した。
ステント血栓症:30ヵ月群0.41% vs. 1.32%,HR 0.31; 0.19~0.50,p<0.001。
MACCE:4.29% vs. 5.74%,HR 0.73;0.62~0.87,p<0.001。
全死亡:1.87% vs. 1.50%,HR 1.31;0.97~1.75,p=0.07。
GUSTO出血基準中等度~重度の出血:2.45%vs. 1.47%,HR 0.98;0.46~1.50,p<0.001。
BARC出血基準タイプ2,3,5:5.44% vs. 2.78%,HR 2.65;1.91~3.40,p<0.001。

●有害事象

文献: Kereiakes DJ, et al., Dual Antiplatelet Therapy (DAPT) Study Investigators
Antiplatelet Therapy Duration Following Bare Metal or Drug-Eluting Coronary Stents: The Dual Antiplatelet Therapy Randomized Clinical Trial. JAMA 2015; 313: 1113-21. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, BASKET-LATE, DAPT, DES LATE, EXCELLENT, ITALIC, OPTIMIZE, PRODIGY, PRODIGY type of stent, RESET, SECURITY, TL-PAS, TRA 2P-TIMI 50 stent thrombosis, TRITON-TIMI 38 PCI
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