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Caprio FZ et al Efficacy and safety of novel oral anticoagulants in patients with cervical artery dissections
結論 頸部の動脈解離患者において,従来型抗凝固薬にくらべ,新規経口抗凝固薬(NOAC)の脳卒中再発率は同程度で,出血合併症は少なかったが,追跡画像にて狭窄の悪化を多く認めた。本結果より,NOACが頸部の動脈解離に対する合理的な代替薬となりうることが示唆されたが,確認するためには前向きの検証が必要である。
コメント 本研究結果の確認に前向き研究が必要であるが,NOACの新たな適応疾患として頸部動脈解離の可能性に言及した点で,注目に値する研究である。(矢坂正弘

目的 頸部の動脈解離患者に対するRCTのデータはないものの,欧米のガイドラインでは抗血小板療法および抗凝固療法を妥当としている。NOACは非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防についてはその有効性が示されたが,頸部の動脈解離患者に対する安全性,潜在的有用性に関する報告はまだない。本研究では,NOACの使用,安全性,有効性について,従来の抗血小板療法,抗凝固療法と比較した。評価項目:脳卒中再発,血管再開通,出血性合併症。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 登録期間は2010年1月~2013年8月。
対象患者 149例。病歴および血管造影(MRA,CTA,DSA)により診断された頸動脈または椎骨動脈解離患者。
【除外基準】孤発性頭蓋内動脈解離。
【患者背景】平均年齢はNOAC群42.3歳,抗凝固薬群41.4歳,抗血小板薬群48.1歳(p=0.042)。各群の女性56.4%,70.0%,57.5%。片頭痛17.9%,18.6%,15.0%。高血圧25.6%,18.6%,20.0%。糖尿病2.6%,1.4%,2.5%。病変部位:椎骨動脈69.2%,74.3%,65.0%,頸動脈33.3%,34.3%,45.0%。狭窄の程度(p=0.002):重度38.5%,30.0%,10.0%,閉塞23.1%,30.0%,12.5%。急性梗塞25.6%,31.4%,35.0%。仮性動脈瘤25.6%,31.4%,27.5%。視覚化された血腫51.3%,48.6%,32.5%。
治療法 退院時の抗血栓療法より,NOAC群39例(26.2%,dabigatran,rivaroxaban,apixaban),抗凝固薬群70例(47.0%,warfarin,治療用量の低分子量heparin),抗血小板薬群40例(26.8%,aspirin,clopidogrel,aspirin/徐放性dypiridamole)に分けた。
追跡完了率 追跡完了は135例(90.6%;7.5ヵ月),追跡画像入手は125例(83.9%;5ヵ月)。
結果

●評価項目
脳卒中再発はNOAC群2例(5.1%),抗凝固薬群1例(1.4%),抗血小板薬群1例(2.5%)で,同程度であった(p=0.822)。
大出血はNOAC群0例,抗凝固薬群8例(11.4%),抗血小板薬群1例(2.5%)で,抗凝固薬群で多かった(p=0.034)。
全出血はNOAC群2例(5.1%),抗凝固薬群11例(15.7%),抗血小板薬群2例(5.0%)で,同程度であった(p=0.369)。
追跡画像にて狭窄の悪化をNOAC群3例(8.6%),抗凝固薬群0例,抗血小板薬群0例に認め,NOAC群で多かった(p=0.019)。

●有害事象

文献: Caprio FZ, et al. Efficacy and safety of novel oral anticoagulants in patients with cervical artery dissections. Cerebrovasc Dis 2014; 38: 247-53. pubmed
関連トライアル ACS後の患者における新規経口抗凝固薬の追加効果, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, Dresden NOAC registry, IST 1997, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性, 日本人NVAF患者におけるNOACの有効性および安全性
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