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ASTRAL influence of arterial occlusion
結論 脳梗塞患者連続例の後ろ向き解析において,動脈閉塞例では,閉塞が認められないか最小であった症例にくらべ,血栓溶解療法による機能的転帰良好の傾向を認めた。ただし,ランダム化比較試験で確かめられるまで,本結果を血栓溶解療法の適否判断に用いるべきではない。

目的 脳梗塞患者の最大50%で急性期動脈造影上の閉塞や狭窄はみられず,そのような患者に対する血栓溶解療法のベネフィットは明確になっていない。本研究では,ASTRAL(Acute Stroke Registry and Analysis of Lausanne)のデータを用い,脳梗塞患者において血栓溶解療法と頭蓋内内頸動脈CT血管造影における動脈閉塞の関係を調査し,転帰を検討した。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,スイス。
期間 登録期間は2003年1月~2012年1月。
対象患者 654例。ASTRAL登録患者(最後に健常な姿が確認されてから24時間以内に脳卒中集中治療室に入院した脳梗塞患者)のうち,血栓溶解療法静注の対象例(最後に健常な姿が確認されてから4時間以内,ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコア>4[上限なし],病前modified Rankin Score[mRS]≦2)で,質の高い頭蓋内内頸動脈CTA画像が入手できた症例。
【除外基準】血管内治療施行例,虚血領域に供給する頭蓋内動脈の≧50%の閉塞,後で脳卒中類似症状例と判明した患者。
【患者背景】年齢中央値は,動脈閉塞なし/最小-血栓溶解療法施行例71.6歳,動脈閉塞なし/最小-非血栓溶解療法施行例72.2歳,動脈閉塞あり-血栓溶解療法施行例70.1歳,動脈閉塞あり-非血栓溶解療法施行例73.6歳。それぞれの男性64%,63%,56%,52%。発症-来院時間中央値(時,p<0.001):1.4,1.9,1.4,1.9。病前mRS(p<0.001)0:70%,52%,75%,60%,1:21%,37%,18%,27%,2:9%,7%,7%,13%。入院時のNIHSS中央値(p<0.001):9,7,16,16。
治療法 当該患者に血栓溶解療法を施行。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
654例のうち,382例(58%)に動脈閉塞がみられ,このうち263例(69%)に血栓溶解療法を行った。動脈閉塞が認められないか,または最小であった272例のうち,138例(51%)に血栓溶解療法を行った。
交互作用解析によると,動脈閉塞例のほうが転帰良好の傾向がみられた(補正後OR 3.97;95%CI 0.83-18.97,p=0.08)。
血栓溶解療法静注は治療なしにくらべ,動脈閉塞例では転帰良好と関連していたが(補正後OR 3.01;1.10-8.28,p=0.03),閉塞なし/最小例では関連を認めなかった(補正後OR 0.76;0.21-2.74,p=0.67)。
逆に,動脈閉塞例の転帰良好率は血栓溶解療法を行った場合は閉塞なし/最小例と同様であったが(補正後OR 0.50;0.17-1.47,p=0.21),血栓溶解療法を行わなかった場合の転帰は不良であった(補正後OR 0.13;0.04-0.44,p<0.01)。

●有害事象

文献: Medlin F, et al. Influence of arterial occlusion on outcome after intravenous thrombolysis for acute ischemic stroke. Stroke 2015; 46: 126-31. pubmed
関連トライアル ECASS III, Engelter ST et al, Fuentes B et al, ICARO, ICARO-2, Lahoti S et al, Mattle HP et al, Mikulik R et al 2009, Muchada M et al, Prefasi D et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, SITS-ISTR importance of recanalization, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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