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メタ解析
VTEの治療ストラテジー:8つの抗凝固療法の比較
Clinical and safety outcomes associated with treatment of acute venous thromboembolism: a systematic review and meta-analysis
結論 急性静脈血栓塞栓症(VTE)治療に用いられる大部分の治療ストラテジーの有効性および安全性について,低分子量heparin(LMWH)+ビタミンK拮抗薬(VKA)併用との比較では有意差を認めなかった。しかし,未分画heparin(UFH)+VKA併用は有効性がもっとも小さく,rivaroxabanおよびapixabanは出血リスク最小と関連していることが示唆された。
コメント 急性静脈血栓塞栓症に対する各種抗凝固薬について行われた45のランダム化比較試験を用いて,有効性と安全性を比較したメタ解析である。ただし,各試験間で有効性や安全性に影響を与えることが予想される患者背景因子(年齢,癌の有無,腎機能など)が異なっており,単純に得られた結果を比較し,治療の優越をつけることには十分な注意を要する。(山田典一

目的 急性VTEの治療には多くの抗凝固療法が実施可能だが,どの薬剤がもっとも有効かつ安全であるかのガイダンスはあまりない。本メタ解析では,8つの抗凝固療法の有効性および安全性の要約・比較を行った。主要評価項目:VTE再発および大出血。
方法 MEDLINE(1946年~2014年2月28日), EMBASE(1947年~2014年2月28日)の検索, ならびにEBM論文をレビュー(Cochrane Database of Systematic Review; 2005~2014年1月, ACP Journal Club; 1981~2014年2月, Database of Abstract of Reviews of Effects; 2014年第一四半期, Cochrane Central Register of Controlled Trials; 2014年1月, Cochrane Methodology Register; 2012年第三四半期, Health Technology Assessment; 2014年第一四半期, NHS Economic Evaluation; 2014年第一四半期)。言語の制限は設けなかった。
対象: (1) 客観的に確認された症候性急性VTE患者(下肢深部静脈血栓症[DVT]かつ/または肺塞栓症[PE])を前向きに登録し, 再発イベントを客観的に確認した試験, (2) LMWH+VKA, UFH+VKA, fondaparinux+VKA, LMWH+dabigatran, LMWH+edoxaban, rivaroxaban, apixaban, LMWH単独に無作為割付し, 2つの異なる抗凝固療法を比較, (3)評価項目を報告。
除外: (1)プラセボまたは経過観察に無作為割付, (2)idraparinuxまたはximelagatranに無作為割付, (3)癌関連血栓症患者のみを対象, (4)第Iまたは第II相試験, (5)二次予防としてVTE予防の延長を評価。
対象 45試験(44,989例)。
[試験薬]22試験:UFH+VKA(7,133例)vs. LMWH+VKA(20,246例),12試験:LMWH単独(1,897例),3試験:LMWH+VKA(20,246例)vs. LMWH単独(1,897例),2試験:fondaparinux+VKA(2,201例)vs. LMWH+VKA(20,246例)またはUFH+VKA(7,133例),6試験:LMWH+VKA(20,246例)vs. dabigatran(2,553例),apixaban(2,691例),edoxaban(4,118例),rivaroxaban(4,150例)。
[対象疾患]11試験:全VTE(DVTおよびPE),7試験:PE,27試験:DVT。
主な結果 ・VTE再発(45試験,44,989例)
UFH+VKAはLMWH+VKAに比べ,VTE再発リスク上昇と関連していた(HR 1.42;95%ベイズ信用区間[CrI],1.15-1.79)。
3ヵ月間の治療期間中にVTEが再発した患者の割合は以下の通り。
LMWH+VKA:1.30%;95%CrI 1.02%-1.62%。
UFH+VKA:1.84%;1.33%-2.51%。
fondaparinux+VKA:1.31%;0.79%-2.18%。
LMWH+dabigatran:1.44%;0.82%-2.43%。
LMWH+edoxaban:1.07%;0.57%-1.99%。
rivaroxaban:1.16%;0.7%-1.91%。
apixaban:1.08%;0.62%-1.87%。
LMWH単独:1.28%;0.83%-1.95%。

・大出血(42試験,44,434例)
rivaroxaban(HR 0.55;95%CrI 0.35-0.89),apixaban(HR 0.31;95%CrI 0.15-0.62) はLMWH+ビタミンK拮抗薬併用に比べ出血リスク低下と関連し,3ヵ月の治療期間中の大出血発症率も低かった。
LMWH+VKA:0.89%;95%CrI 0.66%-1.16%。
UFH+VKA:1.05%;0.69%-1.56%。
fondaparinux+VKA:0.94%;0.54%-1.64%。
LMWH+dabigatran:0.66%;0.37%-1.2%。
LMWH+edoxaban:0.75%;0.42%-1.32%。
rivaroxaban:0.49%;0.29%-0.85%。
apixaban:0.28%;0.14%-0.50%。
LMWH単独:0.63%;0.34%-1.16%。
文献: Castellucci LA, et al. Clinical and safety outcomes associated with treatment of acute venous thromboembolism: a systematic review and meta-analysis. JAMA 2014; 312: 1122-35. pubmed
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