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PRASFIT-Elective Prasugrel for Japanese Patients with Coronary Artery Diseases Undergoing Elective PCI
結論 待機的PCIをうける日本人冠動脈疾患患者において,日本人にあわせた用量のprasugrelのリスク・ベネフィットが支持された。
コメント クロピドグレルと異なり,プラスグレルでは日本国内では世界中にて使用される用量の1/3が選択された。日本人の症例における有効性,安全性は「日本」の試験により検証せざるを得ない。急性冠症候群ではクロピドグレルに劣らない「雰囲気」を出した。本試験では待機的PCIを受ける日本の症例において742例という少数例での「日本人用量」のプラスグレルの有効性,安全性を国際用量のクロピドグレルと比較した。症例数が少ないので仮説検証試験にはならない。改めて「雰囲気」として「プラスグレルも良いかもね」との感触を示した。国際共同試験による科学的仮説検証試験に今後日本は乗らないとの方向であれば,日本の治験のコストを落として,日本国内にて十分な仮説検証可能な症例数を集められる環境を整備するか,日本,韓国,台湾などと東アジアにて仮説検証試験を行う体制を作るか?今後の環境整備が必須である。(後藤信哉

目的 待機的PCIをうける日本人冠動脈疾患患者において,日本人にあわせた用量のprasugrel(負荷用量20mg/維持用量3.75mg)の有効性・安全性を検討した。対照群としてclopidogrel投与への割付例も試験に含めた。有効性の主要評価項目:24週後の主要有害心事象(MACE;心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳梗塞)。安全性の主要評価項目:試験薬最終投与から2週後までのCABGに関連しない出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検試験。
セッティング 多施設,日本。
期間 試験期間は2011年8月~2012年12月。
対象患者 742例。冠動脈疾患(冠動脈CTにて狭窄が確認された安定狭心症または心筋梗塞既往)のため待機的PCIを予定された≧20歳の患者。
【除外基準】(1)発症から72時間以内の急性心筋梗塞/虚血症状(安静時)/不安定狭心症,(2)左主幹部疾患,慢性完全閉塞,静脈グラフト治療のためステント留置を予定,ロータブレーター治療を予定,(3)頭蓋内出血現症/既往, (4) 脳梗塞現症/既往+以下の項目(抗凝固療法を要する,≧75歳,脳梗塞発症から6ヵ月以内),(5)血液疾患,(6)出血傾向,(7)管理不良の高血圧,(8)重度の心不全,(9)重篤な不整脈,(10) 血栓性血小板減少性紫斑病または無顆粒球症の現症/既往,(11)重度の血液/肝/腎疾患。
【患者背景】平均年齢はprasugrel群67.5歳,clopidogrel群67.4歳。各群の女性25.9%,29.3%。現喫煙18.1%,16.9%。基礎疾患:安定狭心症74.9%,76.3%,心筋梗塞既往5.7%,4.3%,不安定狭心症8.1%,9.4%,無症候性心筋虚血11.1%,8.9%。病歴:高血圧79.7%,81.7%,脂質異常症80.0%,82.0%,糖尿病40.5%,35.5%。病変部:右冠動脈32.4%,29.3%,左前下行枝48.4%,48.9%,左回旋枝24.3%,22.3%。ステントの種類:ベアメタルステント10.3%,8.2%,薬剤溶出性ステント90.5%,93.0%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
prasugrel群:370例。負荷用量20mg/維持用量3.75mg投与。
clopidogrel群:372例。同300/75mg投与。
両群とも,負荷用量は第1日,PCI施行6~96時間前に投与(投与からPCIまでの期間は両群とも平均2.3日)。その後24~48週間,維持用量を1日1回朝食後に服用。両群とも負荷用量投与を行わないことも可とし,その場合はPCI施行前の14~21日間維持用量を投与した。
aspirin(81~100mg/日)は試験薬の開始から最終投与まで用いた。以下の薬剤(血小板凝集阻害により冠血管イベントを抑制する,血小板凝集阻害または抗凝固作用により出血リスクを上昇させる可能性がある,血栓溶解薬,酸性非ステロイド抗炎症薬)は禁止とした。
追跡完了率 24週までの追跡は100%。
結果

●評価項目
主要評価項目はprasugrel群15例(4.1%),clopidogrel群25例(6.7%)であった。内訳は,心血管死:両群0例,非致死的心筋梗塞:3.2%,6.5%,非致死的脳梗塞:0.8%,0.3%。
CABGに関連しない大出血はprasugrel群0例,clopidogrel群8例(2.2%)であった。大/小出血:1.6%,3.0%,全出血イベント:38.1%,34.4%。
出血関連有害事象は40.8%,35.8%で,両群で同程度であった。

●有害事象

文献: Isshiki T, et al. Prasugrel, a Third-Generation P2Y12 Receptor Antagonist, in Patients With Coronary Artery Disease Undergoing Elective Percutaneous Coronary Intervention. Circ J 2014; 78: 2926-34. pubmed
関連トライアル ACCOAST, clopidogrel前投与と死亡,心血管イベント,大出血, COMPASS, CREDO, De Luca G et al, PCI-CLARITY, PRASFIT-ACS, PRINCIPLE-TIMI 44, TRILOGY ACS elderly patients, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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