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ACCOAST-PCI A Comparison of Prasugrel at the time of Percutaneous Coronary Intervention or as Pre-treatment at the time of Diagnosis in Patients with Non-ST-segment Elevation Myocardial Infarction - PCI
結論 本試験から得られた知見は,入院から48時間以内に血管造影をうけるNSTEMI患者において,血行再建術施行の決定までprasugrelによる治療を保留することを支持するものである。
コメント クロピドグレルの時代には,急性冠症候群では冠動脈インターベンションに先立つ抗血小板併用療法の開始時期は,早ければ早いほどよいとの認識であった。ticagrelor,プラスグレルなどの新規のP2Y12阻害薬は,薬効発現までの時間がクロピドグレルよりも短い。本研究では,診断時には半量のプラスグレルとプラセボのランダム化が行われ,PCIの血管造影時にプラスグレル群では半量プラスグレルの追加,プラセボ群では標準量のプラスグレルの追加が行われた。オープンラベルの試験であるが,エンドポイントは全死亡を含む虚血イベントとハードであった。本研究の目的には必ずしも明確ではない部分があるが,試験の結果としては半量でも早期のプラスグレル投与を急ぐ必要が,少なくもトロポニン陽性の非ST上昇型急性冠症候群の症例ではないことを示した。PCIを日常的に施行している術者には,術中の抗血小板療法の効果を体感できる可能性がある。実際,出血イベントは多分術中に増えているのであろう。試験の結果として,診断時にプラスグレルの半量投与をすることには意味がなく,むしろ出血を増やして有害である可能性が示唆された。(後藤信哉

目的 PCI施行後のNSTEMI患者に対し,1年間のP2Y12阻害薬+aspirin併用が推奨されている。P2Y12阻害薬であるticagrelorおよびprasugrel はclopidogrelより推奨されているが,PCI施行前の投与にベネフィットがあるかについては不明である。本研究では,PCI施行前のprasugrel投与の有効性をプラセボと比較した。有効性の主要評価項目:心血管死,心筋梗塞,脳卒中,緊急血行再建術,GP IIb/IIIa阻害薬緊急投与の複合。安全性の主要評価項目:CABGに関連しないTIMI大/小出血
デザイン 無作為割付,二重盲検試験。NCT01015287。
セッティング 多施設(171施設),19ヵ国。
期間
対象患者 2,770例。ACCOAST対象患者(トロポニンが陽性のNSTE-ACS患者で,無作為割付から2~48時間以内に冠動脈造影が予定されている症例)4,033例のうち,PCIを施行された症例。
【除外基準】-
【患者背景】橈骨アクセス43%。鼠径部アクセス患者における閉鎖デバイス使用40%。左主幹部PCI 4%。多枝PCI 38%。PCI開始前に血管造影にて血栓を確認:prasugrel群20%,プラセボ群22%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
prasugrel群:1,394例。前治療として診断後に負荷用量30mgを投与後,血管造影でPCIの適応と確認された場合,施行時にさらに30mgを投与。
プラセボ群:1,376例。診断後にプラセボを投与し,PCI施行時の血管造影後にprasugrel負荷用量60mgを投与。
PCIの18~24時間後,オープンラベルのprasugrel(維持用量10mg)を初回投与し,30日後まで継続。aspirinは全例に投与した。年齢75歳以上かつ/または体重<60kgの患者では維持用量5mg投与とした。
追跡完了率 脱落は0例。
結果

●評価項目
有効性の主要評価項目はprasugrel群13.1%,プラセボ群13.1%で同程度であった(HR 1.01;95%CI 0.82-1.24,p=0.93)。
prasugrel は全死亡を含む虚血イベント抑制と関連していなかった。
全死亡(すべて心血管死):prasugrel群0.29% vs. プラセボ群0.29%。
ステント血栓症(ARC基準definite/probable):0.07% vs. 0.22%。
GP IIb/IIIa阻害薬緊急投与:5.2% vs. 5.5%。
血管造影で血栓が認められた患者は,認められなかった患者にくらべ主要評価項目発症率が3倍高かった。
PCI前の血栓またはPCI後のステント血栓症について,prasugrel前投与による影響は認められなかった。
prasugrel前投与は出血の増加と関連していた。
CABGに関連しないTIMI大出血(30日後):prasugrel群1.7% vs. プラセボ群0.66%,HR 2.65;1.23-5.69,p=0.010。
CABGに関連しない生命に関わる出血(30日後):1.2% vs. 0.22%,HR 5.61;1.64-19.13,p=0.002。
出血については,閉鎖デバイスを用いても,橈骨アクセス,鼠径部アクセスの別にかかわらず,prasugrel群のほうが多い傾向がみられた。

●有害事象

文献: Montalescot G, et al.; ACCOAST Investigators. Effect of Prasugrel Pre-Treatment Strategy in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention for NSTEMI: The ACCOAST-PCI Study. J Am Coll Cardiol 2014; 64: 2563-71. pubmed
関連トライアル ACCOAST, ARMYDA-5 PRELOAD, CREDO, PCI-CLARITY, PCI-CURE, PRINCIPLE-TIMI 44, RESTORE, SYNERGY, TRILOGY ACS elderly patients, TRILOGY ACS secondary analysis , TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 early and late benefits, TRITON-TIMI 38 PCI
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