抗血栓トライアルデータベース
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Ontario Stroke Registry
結論 現行のガイドラインに反し,心房細動を有する脳梗塞患者の30%が退院時になんの抗凝固薬も処方されておらず,経口抗凝固薬(OAC)+抗血小板薬併用処方も30%におよんだ。心血管リスクの高い患者におけるOAC+抗血小板薬併用,特に新規経口抗凝固薬の安全性については,臨床試験での検討が必要である。
コメント カナダで行われた本登録研究によると,心房細動に伴う脳梗塞症例の退院時処方の検討で,1/3の症例で抗凝固療法が施行されておらず,30%で抗凝固薬と抗血小板薬が併用処方されている実態が報告されている。本邦でも,心房細動に伴う脳梗塞症例の退院時処方とその転帰に関する実態調査や登録研究が望まれる。(矢坂正弘

目的 心房細動を有する脳梗塞患者に対して,現行のガイドラインは脳梗塞二次予防としてOAC単独を推奨している。本研究では,脳梗塞による入院後,退院した心房細動合併患者において,退院時の抗血栓療法レジメンと主要血管イベント/大出血との関連を検討した。主要評価項目:死亡または脳梗塞再発による入院,心筋梗塞,大出血の複合。
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(12施設),カナダ。
期間 登録期間は2003年7月1日~2008年3月31日。追跡期間中央値3.3(IQR 1.0-5.4)年。
対象患者 2,162例。入院した脳梗塞および心房細動合併患者連続例。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢(p<0.001)は抗血栓療法なし群79.8歳,抗血小板薬単独群79.9歳,OAC単独群77.6歳,OAC+抗血小板薬併用群77.0歳。各群の女性59.3%,53.4%,57.9%,53.4%。脳卒中既往20.9%,27.1%,21.6%,23.5%。頭蓋内出血既往(p<0.001)4.1%,2.8%,0.5%,1.6%。入院前の抗血栓療法(p<0.001):OACなし75.6%,92.3%,58.7%,60.9%,OAC単独21.5%,6.6%,38.1%,25.3%,OAC+抗血小板療法2.9%,1.1%,3.2%,13.8%。血栓溶解療法施行(p=0.04)25.0%,19.7%,21.5%,16.8%。脳卒中重症度(Canadian neurological scale scoreによる,p<0.001):軽症24.1%,43.4%,52.7%,51.1%,中等度21.2%,19.2%,20.8%,21.2%,重症54.7%,37.4%,26.5%,27.7%。
治療法 退院時の抗血栓療法は,抗血栓療法なし172例(8.0%),抗血小板薬単独468例(21.6%),OAC(warfarin)単独850例(39.3%),OAC+抗血小板薬併用672例(31.1%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
[主要評価項目]
OAC単独にくらべ,抗血栓療法なし(HR 1.51;95%CI 1.23-1.86),抗血小板薬単独(HR 1.31;1.14-1.50) はリスク上昇と関連していたが,OAC+抗血小板薬併用はリスク低下傾向がみられた(全体:HR 0.91;0.80-1.04,心血管疾患患者:HR 0.79;0.61-1.02)。
[死亡]
OAC単独にくらべ,抗血栓療法なし(HR 1.57;1.26-1.95),抗血小板薬単独(HR 1.42;1.23-1.64) はリスク上昇と関連していたが,OAC+抗血小板薬併用はリスク低下傾向がみられた(HR 0.94;0.82-1.08)。
[大出血による入院]
OAC単独にくらべ,抗血栓療法なし(HR 0.51;0.23-1.15),抗血小板薬単独(HR 0.79;0.51-1.22)はリスク低下傾向がみられたが,OAC+抗血小板薬併用はリスク上昇傾向がみられた(HR 1.30;0.94-1.80)。OAC+抗血小板薬併用と頭蓋内出血による入院リスクとの関連は認めなかった(HR 1.05;0.53-2.11)。
[重症脳梗塞患者(退院時のmRS 4~5)]
結果は重症脳梗塞患者においても一貫していた(抗血栓療法なし:HR 1.58;1.21-2.06,抗血小板薬単独:HR 1.34;1.09-1.63,OAC+抗血小板薬併用:HR 0.91;0.74-1.11)。

●有害事象

文献: McGrath ER, et al.; Investigators of the Ontario Stroke Registry. Antithrombotic therapy after acute ischemic stroke in patients with atrial fibrillation. Stroke 2014; 45: 3637-42. pubmed
関連トライアル ACS後の心房細動患者におけるwarfarin使用と転帰, ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AFASAK 2 1999, APEX-AMI atrial fibrillation, ARISTOTLE major bleeding, BAT, Carrero JJ et al, EAFT 1993, Hylek EM et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Lamberts M et al, NASPEAF, Olesen JB et al, ORBIT-AF, RE-LY concomitant use of antiplatelet, ROCKET AF post hoc analysis, SPAF II 1996, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
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