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TL-PAS TAXUS Liberte Post Approval Study
結論 DAPT試験の一部であるpaclitaxel溶出性ステント(PES)留置後患者において,prasugrel+aspirinによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)30ヵ月継続は,12ヵ月継続にくらべ,虚血イベント(ステント血栓症および心筋梗塞)を抑制した。両群とも,prasugrel中止から90日後までの心筋梗塞リスクが上昇した。PES留置後の至適DAPT期間は不明であるが,30ヵ月超と考えられた。
コメント 本研究はDAPT試験のサブ解析というわけではないが,DAPT試験のプロトコールに近い。使用されたステントはpaclitaxel溶出性ステントであった。抗血小板薬としては,チエノピリジン系薬剤としてプラスグレルが使用された。プラスグレルの継続服用群では,ステント血栓症および主要心血管イベントの発症率が低かった。しかし,全死亡率には差異を認めなかった。心筋梗塞が減って出血が増え,死亡率に差がないという,DAPT試験の結果と基本は同一であった。(後藤信哉

目的 本試験は第二世代TAXUS Liberte PESを第一世代TAXUS Express PESと比較する市販後調査が目的であったが,DAPT試験(9,961例)の計画にともない,試験参加者のうちDAPT試験対象基準に合致する患者がその一部として組み入れられた。本解析ではそれらの患者について,ステント留置後1年を超えてのDAPTを継続することのベネフィットとリスクについて検討を行った。有効性の主要評価項目:12~30ヵ月後の主要有害心/脳血管事象(MACCE,全死亡+心筋梗塞+脳卒中),ステント血栓症(definite/probable)。安全性の主要評価項目:同期間における中等度~重度の出血(GUSTO出血基準)。
デザイン PROBE試験。NCT00997503。
セッティング 多施設(82施設),米国。
期間 登録期間は2009年12月~2012年1月。追跡期間は33ヵ月。
対象患者 2,191例。TL-PAS試験参加者4,199例のうち,DAPT試験に組み入れられた,PES留置後DAPT(aspirin+prasugrel)投与を受けた患者。
【除外基準】脳血管イベント既往,活動性出血疾患。
【患者背景】平均年齢は30ヵ月群59.6歳,12ヵ月群59.2歳。各群の男性76.3%,74.6%。現喫煙29.8%,30.1%,喫煙経験34.6%,35.5%。糖尿病35.2%,30.0%。高血圧71.9%,71.0%。虚血性脳血管イベント0%,0%。心筋梗塞既往20.3%,20.3%。CABG歴12.0%,12.8%。PCI歴28.1%,30.9%。うっ血性心不全既往5.1%,4.8%。
治療法 aspirin 75~162mg/日+prasugrel 10mg/日(体重<60kg,年齢≧75歳では5mg/日)を12ヵ月投与。12ヵ月後,CABG,脳卒中,ステント血栓症,大出血がなく,当該手技から6週を超えて持続性またはPCIを要する心筋梗塞がなく,アドヒアランスが良好な症例について,以下の2群に無作為割付を行った。
30ヵ月群:1,098例。上記DAPTをさらに18ヵ月継続(DAPT期間は計30ヵ月)。
12ヵ月群: 1,093例。aspirin単独投与(DAPT期間は12ヵ月)。
追跡完了率 33ヵ月の追跡完了率は30ヵ月群96.0%,12ヵ月群95.7%。
結果

●評価項目
MACCEおよびステント血栓症は,30ヵ月群で12ヵ月群にくらべ抑制された。
MACCE:3.7% vs. 8.8%,HR 0.407;95%CI 0.281-0.589,p<0.001。
ステント血栓症:0.2% vs. 2.9%,HR 0.063;0.015-0.264,p<0.001。
その他の項目は以下の通り。
全死亡:1.9% vs. 2.0%,HR 0.942;0.511-1.739,p=0.850。
脳卒中:0.6% vs. 0.7%,HR 0.847;0.285-2.521,p=0.765。
心筋梗塞:1.9% vs. 7.1%,HR 0.255;0.156-0.417,p<0.001。
ステント血栓症関連心筋梗塞:0% vs. 2.6%,p<0.001。
自然発生心筋梗塞:1.9% vs. 4.5%,HR 0.407;0.242-0.686,p=0.007。
30ヵ月群,12ヵ月群とも,prasugrel中止から90日後までの心筋梗塞リスクが上昇した。
GUSTO出血基準中等度~重度の出血は30ヵ月群で有意ではないもののやや増加したが,重度の出血は増加しなかった。
中等度~重度の出血:2.4% vs. 1.7%,HR 1.438;0.788-2.622,p=0.234。
重度の出血:0.3% vs. 0.5%,HR 0.594;0.142-2.485,p=0.471。

●有害事象

文献: Garratt KN, et al. Prasugrel Plus Aspirin Beyond 12 Months Is Associated With Improved Outcomes After Taxus Liberté Paclitaxel-Eluting Coronary Stent Placement. Circulation 2015; 131: 62-73. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, DECLARE-LONG II, DES留置後のDAPT延長投与, EXCELLENT, OPTIMIZE, PRODIGY type of stent, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, Sarafoff N et al, SPIRIT III, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, TRITON-TIMI 38 PCI
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