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ROCKET AF East Asian patients
結論 東アジア人,非東アジア人のいずれにおいても,rivaroxabanのwarfarinに対する有効性,安全性は一貫していた。東アジア人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防として,rivaroxaban 20mg/日はwarfarinの代替薬である。
コメント ROCKET AF試験に参加した東アジア人コホートの解析である。体重は日本人と同様に60kg台であった。日本では,PK-PDプロファイルからリバーロキサバンの用量を減量して,J-ROCKET AF試験を単独で行った経緯がある。東アジア人にはリバーロキサバン20mg/日は多すぎるのではと結果を注目して見てみたが,ROCKET AF試験全体の結果と有効性,安全性とも一致した結果であった。ただし,東アジア人コホートの症例数は932例のみであり,有効性の比較をするにはパワー不足といえるだろう。東アジア人では,ワルファリンによる抗凝固療法中の頭蓋内出血のリスクが上昇しており,NOACは特にアジア人への有用性が高いことが本サブグループ解析からも示唆された点は興味深い。(是恒之宏

目的 Warfarin投与下における頭蓋内出血発症率は,東アジア人では非東アジア人より高いなど,東アジア人は非東アジア人と患者特性や疫学が異なり,その結果,抗凝固療法実施率が低いなど患者管理に差異がみられる。本論文は,ROCKET AFのサブ解析として,rivaroxabanのwarfarinに対する有効性が東アジア人集団,非東アジア人集団の間で一貫しているか検討した。有効性の主要評価項目:脳卒中および全身性塞栓症の複合。安全性の主要評価項目:重大な出血および重大ではないが臨床的に問題となる出血の複合。
デザイン ROCKET AFは無作為化,二重盲検,event-driven試験。NCT00403767。
セッティング ROCKET AFは多施設(1,178施設,本解析はそのうち東アジアの73施設),45ヵ国(本解析は中国,韓国,台湾,香港の4ヵ国・地域)。
期間 ROCKET AFの無作為割付期間は2006年12月18日~2009年6月17日。試験終了は2010年5月28日。
対象患者 14,254例(東アジア人集団932例*+非東アジア人集団13,322例)。非弁膜症性心房細動患者。
*:非東アジア地域に居住する東アジア人は含まない。
【除外基準】-
【患者背景】[東アジア人集団]平均年齢はrivaroxaban群69.6歳,warfarin群69.7歳。平均体重67.3kg,66.4kg。平均CrCl 64.0mL/分,66.1mL/分。ビタミンK拮抗薬(VKA)投与経験48.5%,49.6%。うっ血性心不全38.9%,38.4%。脳卒中/TIA/全身性塞栓症既往65.0%,65.1%。心筋梗塞既往3.6%,7.3%。平均CHADS2スコア 3.2,3.2。平均CHA2DS2-VAScスコア 4.4,4.4。平均HAS-BLED出血リスクスコア 2.9,2.9。warfarin群のTTR:47.1%。
[非東アジア人集団]平均年齢はrivaroxaban群71.3歳,warfarin群71.3歳。平均体重83.1kg,82.7kg。平均CrCl 73.6mL/分,73.0mL/分。VKA投与経験63.3%,63.4%。うっ血性心不全64.3%,63.9%。脳卒中/TIA/全身性塞栓症既往54.2%,53.9%。心筋梗塞既往17.5%,18.8%。平均CHADS2スコア3.5,3.5。平均CHA2DS2-VAScスコア4.9,4.9。平均HAS-BLEDスコア2.8,2.8。warfarin群のTTR:55.7%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
Rivaroxaban群:7,131例(東アジア人集団468例+非東アジア人集団6,663例)。20mg 1日1回投与(無作為割付時のClCrが30~49mL/分の患者では15mg 1日1回投与)。
Warfarin群:7,133例(464例+6,669例)。PT-INRが2.0~3.0になるよう用量調整投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
本解析該当国・地域における東アジア人集団は932例(6.5%)であった。東アジア人集団は非東アジア人集団にくらべ,低体重,低CrClで,VKA使用率が低く,脳卒中既往が多く,うっ血性心不全および心筋梗塞既往が少なかった。
有効性の主要評価項目の発症率は,東アジア人集団のほうが非東アジア人集団より高い傾向がみられたが(HR 1.34,95%CI 1.00-1.80,p=0.053),rivaroxabanのwarfarinに対する相対的有効性は,東アジア人集団,非東アジア人集団の間で一貫していた(交互作用p=0.666)。
東アジア人集団:rivaroxaban群2.6%/年 vs. warfarin群3.4%/年,HR 0.78;0.44-1.39。
非東アジア人集団:2.1%/年 vs. 2.4%/年,HR 0.89;0.75-1.05。
安全性の主要評価項目の発症率も,東アジア人集団のほうが非東アジア人集団より高かったが(HR 1.42,95%CI 1.25-1.62,p<0.0001),rivaroxabanのwarfarinに対する相対的安全性は,有効性と同様に一貫していた(交互作用p=0.867)。
東アジア人集団:rivaroxaban群20.9%/年 vs. warfarin群20.7%/年,HR 1.01;0.79-1.30。
非東アジア人集団:14.5%/年 vs. 14.1%/年,HR 1.03;0.96-1.11。
頭蓋内出血は,warfarin群では東アジア人集団のほうが非東アジア人集団より多かったが,rivarroxaban群では同程度で,治療薬と地域の間に交互作用を認めた(p=0.044)。
warfarin群:東アジア人集団2.46%/年 vs. 非東アジア人集団0.63%/年,HR 3.89;2.29-6.63,p<0.0001。
rivaroxaban群:0.59%/年 vs. 0.49%/年,HR 1.20;0.43-3.31,p=0.73。

●有害事象

文献: Wong KS, et al.; Executive Steering Committee and the ROCKET AF Study Investigators. Rivaroxaban for stroke prevention in East Asian patients from the ROCKET AF trial. Stroke 2014; 45: 1739-47. pubmed
関連トライアル ARISTOTLE, ARISTOTLE previous stroke/TIA, ARISTOTLE-J, ATLAS ACS 2-TIMI 51, AVERROES bleeding, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, Lakkireddy D et al, ODIXa-OD-HIP, RE-LY Asian subgroup, ROCKET AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal, SPORTIF V, warfarinによるNVAF患者の脳卒中予防, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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