抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
ITALIC Is There a Life for DES After Discontinuation of Clopidogrel
結論 新世代の薬剤溶出性ステント(DES)留置をうけたaspirin感受性患者において,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)6ヵ月継続は24ヵ月継続にくらべ,出血および血栓イベントは同程度であった。
コメント  筆者は血栓,血小板領域の専門家として,「アスピリン抵抗性」には科学的根拠はないと理解している。本研究ではPFA-100,VerifyNowを用いてコラーゲン/エピネフリン存在下の閉塞時間の延長がみられない症例を「アスピリン抵抗性」と定義している。筆者は,この方法では「アスピリン抵抗性」ではなく,全身循環による血小板の予備的活性化が高い症例がスクリーニングされると理解している。コラーゲン/エピネフリンによる血小板の活性化は,その時にP2 Y12 ADP受容体阻害率に影響をうけるので,クロピドグレルの薬効にばらつきがあるのであれば,そのような症例も「アスピリン抵抗性」とされるプロトコールである。
 試験プロトコールが複雑なので,結果の評価も容易ではない。登録も困難であったため,試験は中断された。いかなる方法であっても,現在の血小板機能評価法では血栓イベント,出血イベントとの関連を示すことは困難であった。(後藤信哉

目的 現在,DES留置後の急性冠症候群(ACS)患者において,血栓性合併症予防のためのDAPT推奨期間は12ヵ月とされている。本試験では,aspirin感受性患者において,6ヵ月のDAPTは12ヵ月のそれに対し非劣性であるという仮説を検証した。主要評価項目:ステント留置後12ヵ月後の死亡,心筋梗塞,標的血管血行再建術再施行,脳卒中,TIMI出血基準大出血の複合。
デザイン PROBE試験。有効性:優越性,安全性:非劣性試験。NCT01476020。
セッティング 多施設(70施設),複数国(欧州,中東)。
期間 登録期間はITALIC:2008年11月~2010年12月,ITALIC PLUS:2012年1月~2013年11月。追跡期間は1年。
対象患者 2,031例。18歳以上,Xience V DESによるPCI施行の適格患者。
【除外基準】急性心筋梗塞に対する初回PCI,左主幹部に対する治療,aspirinノンレスポンダー,DES留置から1年以内,血小板数<100,000μLまたは既知の出血性素因,入院中の抗凝固薬またはabciximab投与,aspirin,clopidogrel(prasugrel,ticagrelor)禁忌,大手術から6週以内,活動性消化管または尿生殖器出血,重篤な肝不全,登録から1年以内に手術施行予定,余命<2年の重篤な併発疾患。
【患者背景】平均年齢は6ヵ月群61.7歳,24ヵ月群61.5歳,aspirin抵抗性群62.6歳。各群の男性80.8%,79.2%,80.9%。2型糖尿病36.3%,37.8%,32.1%。高血圧65.2%,64.7%,58.0%。脂質異常症67.1%,67.1%,64.1%。喫煙50.9%,52.7%,52.7%。心筋梗塞既往15.6%,14.7%,27.5%。脳卒中既往2.7%,2.9%,4.6%。臨床症状:安定狭心症41.1%,41.5%,40.5%,無症候性虚血20.3%,20.1%,13.7%,不安定狭心症15.7%,16.4%,17.6%,NSTEMI 7.3%,7.1%,6.9%,STEMI 0.1%,0.3%,0%。
治療法 入院期間中,abciximabによる前治療は行わなかった。tirobibanまたはeptifibatideを投与された患者では,最終注入の24時間後にaspirin抵抗性をチェックした。PCI前にaspirin+clopidogrel(prasugrelまたはticagrelor)による前治療を行った。
aspirin抵抗性は初回用量75mg投与後に評価した。反応が不良*の場合はaspirin抵抗性群とするか,もしくは2回目(2日後に160mgを経口投与),3回目(2回目に対し反応不良の場合,2日後に325mgを経口投与)の評価を行い,反応不良の場合にaspirin抵抗性群(137例。DAPT期間は医療チームが決定)とし,無作為割付はしなかったが追跡を行った。
PCIの入院期間中,aspirin感受性の患者を以下の2群に無作為に割り付けた。
6ヵ月群:926例。aspirin+clopidogrel 75mg/日(またはprasugrel 60mg/日,ticagrelor 90mg 1日2回)を6ヵ月投与後,aspirin単独投与。
24ヵ月群:924例。上記DAPTを24ヵ月投与後,aspirin単独投与。
*:PFA-100,multiplate electrical impedance aggregometry,VerifyNow Aspirinにより測定
追跡完了率 1年の追跡完了は98.5%。
結果

●評価項目
本試験は登録にともなう問題のため,早期終了となった。
主要評価項目は,両群で同程度であり(6ヵ月群1.6% vs. 24ヵ月群1.5%,HR 1.072;95%CI 0.517-2.221,p=0.85),6ヵ月の24ヵ月に対する非劣性が示された(絶対リスク差0.11%;95%CI -1.04~1.26,非劣性p=0.0002)。
各項目は以下の通り。
全死亡:6ヵ月群0.9% vs. 24ヵ月群0.8%,p=0.80。
心筋梗塞:0.7% vs. 0.4%,p=0.53。
標的血管血行再建術再施行:0.5% vs. 0.2%,p=0.27。
脳卒中:0% vs. 0.4%。
TIMI出血基準大出血:0% vs. 0.3%。
ステント血栓症:0.3% vs. 0%。
高リスクのACS患者792例(44%)についても,試験全体と同様の結果患者でも同様であった(主要評価項目:6ヵ月群1.8% vs. 24ヵ月群1.0%,HR 1.773;0.519-6.057,p=0.361,差1.7%;0.519~6.057,非劣性p=0.361)。
DAPT期間とACSの交互作用は認められなかった(p=0.305)。

●有害事象

文献: Gilard M, et al. Six-month versus 24-month dual antiplatelet therapy after implantation of drug eluting stents in patients non-resistant to aspirin: ITALIC, a randomized multicenter trial. J Am Coll Cardiol 2014; 65: 777-86. pubmed
関連トライアル ADAPT-DES, ARCTIC-Interruption, BASKET-LATE, CREDO, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, DES LATE, DES留置後のDAPT延長投与, EXCELLENT, OPTIMIZE, PARIS, PRODIGY, PRODIGY type of stent, PRODIGY in-stent restenosis, PROTECT, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, SPIRIT III, TRITON-TIMI 38 PCI, Varenhorst C et al, ステント留置術施行患者におけるTAPTの有効性および安全性
関連記事