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Fuentes B et al Acute Ischemic Stroke Patients with Diabetes Should not be Excluded from Intravenous Thrombolysis
結論 糖尿病は血栓溶解療法後の転帰不良と関連しておらず,糖尿病患者に対する血栓溶解療法は,非実施にくらべ明確なベネフィットをもたらした。このため,糖尿病患者を血栓溶解療法施行から除外すべきではない。
コメント SITS-MOSTのプロトコールでは,転帰不良の関連因子である糖尿病治療中の機能障害を有する陳旧性脳卒中患者は,血栓溶解療法の適応から除外されていた。今回の検討は,単施設の分析ではあるものの,多変量解析を用いることで,糖尿病の既往が血栓溶解療法の転帰不良とは関連性がなく,糖尿病患者にも血栓溶解療法が有効である可能性を示した点で意義がある。(岡田靖

目的 糖尿病を合併している虚血性脳卒中患者に対する血栓溶解療法のベネフィットには,疑問が呈されている。本研究では,糖尿病の診断および血栓溶解療法施行の有無による転帰(3ヵ月後のmRS)の差異を検討した。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,スペイン。
期間 登録期間は2006年1月~2010年12月。
対象患者 1,139例。虚血性脳卒中患者の連続症例。
【除外基準】-
【患者背景】[血栓溶解療法施行患者において,糖尿病の有無別]平均年齢は糖尿病例69.8歳,非糖尿例66.9歳。男性59.7%,56.3%。高血圧85.5%,55.8%(p=0.000)。脂質異常症43.5%,38.7%。心房細動16.1%,16.7%。脳梗塞既往11.3%,8.5%。脳卒中の病型:アテローム血栓性27.4%,25.1%,心原性38.7%,33.7%,ラクナ9.7%,11.1%。入院時の血糖値160.8mg/dl,115.7mg/dl。
[糖尿病患者において,血栓溶解療法施行の有無別]平均年齢は施行例77.3歳,非施行例69.8歳。男性64.3%,59.7%。高血圧85.1%,85.5%。脂質異常症57.9%,43.5%。心房細動19.5%,16.1%。脳梗塞既往22.3%,11.3%。脳卒中の病型:アテローム血栓性28.5%,27.4%,心原性24%,38.7%(p=0.025),ラクナ36.7%,9.7%(p=0.000)。入院時の血糖値160.8mg/dl,175.8mg/dl。
治療法 Safe Implementation Thrombolysis in Stroke(SITS)-MOSTの基準にしたがい,発症から3時間以内(ECASS IIIおよびSITS registryの結果発表後は4.5時間以内)にrt-PA標準用量0.9mg/kgを静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
糖尿病と診断されていたのは283例(24.8%),血栓溶解療法施行は261例(非糖尿病患者の23.2%,糖尿病患者の21.9%)であった。

[血栓溶解療法施行例における糖尿病の有無による比較]
糖尿病患者は非糖尿病患者にくらべ高齢で,合併症が多く,入院時の血糖値が高かった。脳卒中の重症度(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]中央値,糖尿病例8 vs. 非糖尿病例8,p=ns),出血性変化(12.9% vs. 8.2%,p=0.310),院内死亡率(12.9% vs. 6.1%,p=0.101),3ヵ月後の転帰不良(modified Rankin Score(mRS)>3,38.6% vs. 33.9%,p=0.524)には有意差を認めなかった。
ロジスティック回帰分析によると,血栓溶解療法施行例において,転帰不良のリスク上昇と独立して関連していたのは入院時のNIHSSのみで(OR 1.19,95%CI 1.12-1.25,p=0.000),糖尿病については有意な影響を認めなかった(OR 0.76,95%CI 0.32-1.79,p=0.535)。
[糖尿病患者における血栓溶解療法施行の有無による比較]
脳卒中の重症度は血栓溶解療法施行例のほうが軽度(NIHSS中央値,施行例3 vs. 非施行例8,p=0.000),出血性変化は血栓溶解療法施行例のほうが多かったが(12.9% vs. 4.5%,p=0.033),院内死亡率(12.9% vs. 7.2%,p=0.195),3ヵ月後の転帰不良(38.6% vs. 36.9%,p=0.873)は同程度であった。
ロジスティック回帰分析によると,糖尿病患者において,血栓溶解療法は転帰不良のリスク低下の独立した関連因子であった(OR 0.49,95%CI 0.31-0.76,p=0.002)。

●有害事象

文献: Fuentes B, et al. Acute ischemic stroke patients with diabetes should not be excluded from intravenous thrombolysis. J Thromb Thrombolysis 2014; 38: 522-7. pubmed
関連トライアル Bern Stroke Project, Bichat Clinical Registry, ECASS, Engelter ST et al, Gensicke H et al, Gensicke H et al, Hsieh CY et al, ICARO-2, Kellert L et al, Madrid Stroke Network, Mattle HP et al, Prefasi D et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, SITS-EAST, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR/VISTA prior stroke/DM, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis
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