抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Lahoti S et al Thrombolysis in Ischemic Stroke Without Arterial Occlusion at Presentation
結論 本研究より,来院時に可視的動脈閉塞をともなわない脳梗塞患者でも,血栓溶解療法のベネフィットを享受できる可能性があるという重要なデータがもたらされた。
コメント 急性脳梗塞患者が可視的血管閉塞を伴わない場合も,rt-PA血栓溶解療法で益を享受できる可能性が示された。主観動脈閉塞所見のない急性脳梗塞患者でも,頭蓋内出血に注意を払いながら積極的にrt-PA血栓溶解療法を考慮すべきである。(矢坂正弘

目的 血栓溶解療法施行前の血管画像を報告したrt-PAのRCTはない。血管画像上動脈閉塞をともなわない脳卒中に対するrt-PA療法の有効性は不明であり,推測にすぎない。本研究では,診察およびMRIで脳梗塞と診断された,画像上血管閉塞をともなわない患者のデータを後ろ向きに収集し,血栓溶解療法施行の有無により比較を行った。主要評価項目:3ヵ月後の転帰優良(modified Rankin Score[mRS] 0~1)。
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 多施設(8施設),4ヵ国(米国,スイス,フランス,インド)。
期間
対象患者 256例。過去5年間に診察およびMRIで脳梗塞と診断され,National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア>4で,rt-PA静注前に血管閉塞の画像エビデンス(CT/MRI)がなく,発症から48時間以内にMRI拡散強調画像が得られた症例。
【除外基準】虚血領域の動脈に>50%の閉塞もしくは重篤な狭窄がある,病前mRS>2。
【患者背景】血栓溶解療法施行の有無別の年齢中央値は,血栓溶解療法群68.4歳,非施行群63.2歳(p=0.03)。各群の男性58.3%,58.5%。来院時の平均NIHSS 9.4,7.9(p=0.01)。高血圧70.6%,60.1%。糖尿病33.3%,18.3%(p=0.01)。脂質異常症52.0%,40.1%。喫煙27.2%,33.3%。心房細動9.8%,10.5%。
治療法 血栓溶解療法施行は103例,非施行は153例。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
血栓溶解療法群は転帰優良が多かった(58% vs. 40%,OR 3.79,95%CI 2.04-7.02,p<0.01)。
症候性脳内出血は血栓溶解療法群のほうが多かった(4.9 vs. 0.7%,p=0.04)。

[非ラクナ梗塞(154例,血栓溶解療法施行49例+非施行105例)]
転帰優良,後遺障害なし(mRS 0)は血栓溶解療法群のほうが多かった。
転帰優良:51% vs. 30%,OR 4.90,95%CI 2.01-11.93,p<0.01。
後遺障害なし:OR 3.90,95%CI 1.18-12.80,p=0.02。
症候性出血は6.1% vs. 1%,p=0.09。

[ラクナ梗塞(102例,血栓溶解療法施行54例+非施行48例)]
転帰優良は同程度であったが,後遺障害なしは血栓溶解療法群のほうが多かった。
転帰優良:65% vs. 63%,OR 2.32,95%CI 0.83-6.46,p=0.11。
後遺障害なし:OR 8.25,95%CI 2.37-28.66,p≦0.001。
症候性出血は3.7% vs. 0%。

●有害事象

文献: Lahoti S, et al. Thrombolysis in ischemic stroke without arterial occlusion at presentation. Stroke 2014; 45: 2722-7. pubmed
関連トライアル ECASS, ECASS III, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, ICARO, ICARO-2, Manawadu D et al, Mikulik R et al 2009, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, Saqqur M et al, Schellinger PD et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, TTT-AIS, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
関連記事