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メタ解析
alteplase静注における治療時間の遅れ,年齢,脳卒中重症度の影響
Effect of Treatment Delay, Age, and Stroke Severity on the Effects of Intravenous Thrombolysis with Alteplase for Acute Ischaemic Stroke: a Meta-Analysis of Individual Patient Data from Randomised Trials
結論 年齢や脳卒中の重症度に関係なく,また治療後数日間は致死性頭蓋内出血リスクが上昇するにもかかわらず,alteplaseは4.5時間以内に治療が行われた場合,全体の転帰良好のオッズ比を有意に改善した。早期治療はより大きなベネフィットと関連していた。
コメント これまでのシステマティックレビュー,第III相試験に,2012年に発表された80歳以上の高齢者を多く含むIST-3を加えてのメタ解析である。IST-3では,発症6時間以内のrt-PA治療例について,機能予後を改善する可能性が報告されたが,本論文においては転帰良好(mRS 0~1)の観点から,4.5時間以内の治療例では年齢(80歳以上)や重症度(NIHSS)にかかわらずベネフィットがあり,早期治療の有用性が強調されている。(岡田靖

目的 alteplaseは虚血性脳卒中治療に有効だが,発症-治療時間が長い患者,高齢患者,軽症もしくは重症例に対する使用には議論が続いている。本メタ解析では,alteplaseを投与された患者において,これらの因子が転帰良好におよぼす影響を検討した。評価項目: 3~6ヵ月後の転帰良好(mRS 0~1)。追加的評価項目:症候性頭蓋内出血,7日以内の致死性頭蓋内出血,90日後の死亡率。
方法 システマティックレビュー(Lancet 2012; 379: 2364-72),コクラン脳卒中グループによる最新のレビュー,研究者および製薬企業の調査により,虚血性脳卒中患者においてalteplase静注を検討したすべての第III相試験を同定。
対象 9試験(NINDS A,NINDS B,ECASS I,ECASS II,ECASS III,ATLANTIS A,ATLANTIS B,EPITHETIST-3)。
6,756例(alteplase群3,391例+対照群3,365例)。
【患者背景】発症-治療時間:3時間以内23%,3時間超4.5時間以内41%,4.5時間超35%。年齢≦80歳74%,>80歳26%。脳卒中重症度(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]スコア)0~4点10%,5~10点37%,11~15点22%,16~21点20%,≧22点9%。
主な結果 ・発症-治療時間と転帰良好の関連
alteplaseは転帰良好のオッズ比を上昇させ,早期治療はさらに大きなベネフィットと関連していた(傾向p=0.016)。alteplaseの有効性がなくなるのは6.3時間後と推定された。
3時間以内の治療:alteplase群259/787例(32.9%)vs.対照群176/762例(23.1%),OR 1.75;95%CI 1.35-2.27,p<0.0001。
3~4.5時間後:485/1,375例(35.3%)vs. 432/1,437例(30.1%),OR 1.26;1.05-1.51,p=0.0132。
>4.5時間後:401/1,229例(32.6%)vs. 357/1,166例(30.6%),OR 1.15;0.95-1.40,p=0.15。

・年齢,脳卒中重症度
治療の比例ベネフィットは年齢にかかわらず同様であった(p=0.53)。脳卒中の重症度についても明確なエビデンスは認められなかった(p=0.06)。

・症候性頭蓋内出血
alteplaseは症候性頭蓋内出血のORを上昇させた。
実質性症候性頭蓋内出血タイプ2 :231/3,391例(6.8%)vs 44/3,365例(1.3%),OR 5.55;4.01-7.70,p<0.0001。
SITS-MOST定義:124/3,391例(3.7%)vs 19/3,365例(0.6%),OR 6.67;4.11-10.84,p<0.0001。
7日以内の致死性頭蓋内出血:91例(2.7%)vs 13例(0.4%),OR 7.14;3.98-12.79,p<0.0001。
alteplaseによる致死性頭蓋内出血の相対的増加は,治療の遅れ,年齢,脳卒中の重症度にかかわらず同様であったが,より重度の患者ではalteplaseによる絶対リスクがより大きかった。その他の早期死因についての過度のリスク,晩期死因についての有意な影響はみられなかった。

・死亡リスク
90日後の死亡はalteplase群608例(17.9%),対照群556例(16.5%)(HR 1.11;0.99-1.25,p=0.07)。発症-治療時間の遅れにより90日後の死亡率が高くなる傾向は認められなかった(傾向p=0.22)。

総合すると,頭蓋内出血による早期死亡の平均絶対リスク増加は約2%であったが,3~6ヵ月後には,無障害生存の平均絶対ベネフィット増加(3時間以内の治療では約10%,3~4.5時間後では約5%)により相殺された。
文献: Emberson J, et al.; for the Stroke Thrombolysis Trialists' Collaborative Group. Effect of treatment delay, age, and stroke severity on the effects of intravenous thrombolysis with alteplase for acute ischaemic stroke: a meta-analysis of individual patient data from randomised trials. Lancet 2014; 384: 1929-35. pubmed
関連トライアル Bravo Y et al, ECASS III, ECASS III additional outcomes, IPSS use of alteplase, IST 1997, IST-3, IST-3 18-month follow-up, J-MARS, LATE 1993, Madrid Stroke Network, Power A et al, PREVAIL, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法, 発症時間不明脳卒中に対する血栓溶解療法
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