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Muchada M et al Impact of Time to Treatment on Tissue-Type Plasminogen Activator-Induced Recanalization in Acute Ischemic Stroke
結論 再開通に関するrt-PAの有効性は,時間経過とともに減少する可能性がある。発症-治療時間が270分を超えることは,特に遠位部閉塞患者では再開通が得られないことを予測した。
コメント 内頸動脈系の虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法の転帰に及ぼす影響を,経頭蓋ドプラ超音波検査(TCD)による閉塞部診断と再開通の有無で検討した研究である。わが国のJ-ACT 2研究では,MR血管撮影の検討で,中大脳動脈近位部閉塞例では再開通率が不良,遠位部閉塞では良好であった。血管閉塞診断に対する超音波検査の不正確性や部分再開通を含む再開通の定義,治療1時間後の検討である点など,研究の限界が感じられる。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者において,rt-PAの機能転帰に関する有効性は発症-治療時間に依存するが,再開通に対する有効性が時間依存性かどうかは明確ではない。本研究では,rt-PAによる再開通について,発症-治療時間の影響を検討した。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング
期間 登録期間は2001年3月~2012年12月。
対象患者 508例。経頭蓋ドップラーで中大脳動脈閉塞が確認され,欧州の基準にしたがい発症から4.5時間以内にrt-PA静注をうけた虚血性脳卒中患者。治療-発症時間が4.5~6時間の患者にも治療を行い,緊急MRIによる選択後,対象に含めた。近位部,遠位部閉塞および再開通(完全,部分再開通)は,rt-PA治療前および治療1時間後に実施した経頭蓋ドプラ超音波検査を用いて診断。
【除外基準】発症時間不明,目覚めに症状を呈していた患者,後方循環閉塞(脳底動脈,椎骨動脈),血管内治療施行例。
【患者背景】再開通の有無別(あり155例,なし276例)の平均年齢は,再開通例70.7歳,非再開通例73.1歳。男性57.4%,49.6%。高血圧57.8%,60.2%。糖尿病19.5%,23.6%。心房細動40.9%,38.8%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値16,16。平均発症-治療時間160分,165分。
治療法 欧州の基準にしたがいrt-PA静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
閉塞部位は近位部54.3%,遠位部45.7%であった。発症-治療時間は平均171.4±61.9 分,>270分は5.9%であった。再開通は155例(36.1%)で得られた。
発症-治療時間と発症-再開通時間に線形連関は認められなかったが,逐次解析によると,>270分経過後に治療をうけた患者では再開通率が低かった。
再開通の独立予測因子は入院時のNIHSS(OR 0.305,95%CI 0.1-0.933,p=0.037)および治療までの時間(≦270分)(OR 0.995,95%CI 0.99-0.999,p=0.030)であった。
[近位部閉塞]
再開通率は41.8%で,発症-治療時間>90分は再開通率低下傾向がみられた。しかし,再開通の独立予測因子は若齢(OR 0.975,95%CI 0.952-0.999,p=0.039),ベースライン時のNIHSS(OR 0.921,95%CI 0.855-0.993,p=0.033)のみであった。
[遠位部閉塞]
再開通率は28.6%で,発症-治療時間>270例の症例では再開通は得られなかった。遠位部閉塞患者における再開通の独立予測因子は男性のみで(OR 0.416,95%CI 0.195-0.887,p=0.023),再開通までの時間>270分は独立予測因子ではなかった。

●有害事象

文献: Muchada M, et al. Impact of time to treatment on tissue-type plasminogen activator-induced recanalization in acute ischemic stroke. Stroke 2014; 45: 2734-8. pubmed
関連トライアル Bhatia R et al, GWTG-Stroke time to treatment, Kimura K et al, Mendonça N et al, Muchada M et al, Saqqur M et al, SITS-ISTR importance of recanalization, TPA Bridging Study
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