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X-VeRT Explore the Efficacy and Safety of Once-Daily Oral Rivaroxaban for the Prevention of Cardiovascular Events in Patients with Nonvalvular Atrial Fibrillation Scheduled for Cardioversion
結論 RivaroxabanはビタミンK拮抗薬(VKA)の有効かつ安全な代替薬であり,迅速な除細動施行を可能とすることが示唆された。
コメント 除細動時に行われる抗凝固療法を,ワルファリン群とリバーロキサバン群に無作為に割り付け,前向きに比較検討した初めてのトライアルであり,注目に値する。プロトコール通りに除細動が行われた割合,除細動までに要した期間は,遅延施行群で明らかにリバーロキサバンが優れていた。また,イベント発症率は差がなかったことから,除細動施行前後におけるリバーロキサバン投与は,ワルファリンに代替しうる有用な方法と考えられる。使用された用量は20mg(クレアチニンクリアランス[CLcr]30~49mL/分では15mg)であるが,日本人での承認用量である15mg(CLcr 30~49mL/分では10mg)で同等の曝露量が得られるとされている。日本人で同様の結果が得られるかどうかは,今後の前向きな試験での検証が必要だろう。(是恒之宏

目的 心房細動患者において,除細動周術期には血栓塞栓症リスクがあるとされている。抗凝固療法が行われていない患者では,脳卒中発症率は5~7%と報告されており,欧米のガイドラインでは,VKAによる抗凝固療法が推奨されている。一方,新規経口抗凝固薬は,除細動施行患者における前向きの臨床試験はこれまで行われていない。本試験では,待機的除細動を行う抗凝固療法未経験もしくは服用経験のある患者において,rivaroxaban 1日1回投与の有効性および安全性を,用量調整VKA(heparin投与の有無は問わない)と比較した。有効性の主要評価項目:脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA),全身塞栓症,心筋梗塞,心血管死の複合。安全性の主要評価項目:ISTH出血基準の重大な出血事象。
デザイン 無作為割付,PROBE(prospective,randomised,open,blinded endpoints)。NCT01674647。
セッティング 多施設(141施設),16ヵ国。
期間 登録期間は2012年10月3日~2013年9月25日。
対象患者 1,504例。18歳以上,血行動態的に安定している,発作が>48時間持続するか,もしくは持続時間不明の非弁膜症性心房細動患者で,待機的除細動を予定されている症例。
【除外基準】血行動態的に影響のある僧帽弁狭窄症,人工弁,既知の左心耳血栓,重篤な後遺障害のある脳卒中発症から3ヵ月以内,なんらかの脳卒中発症から2週間以内もしくはTIA発症から3日以内。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban群64.9歳,VKA群64.7歳。各群の男性72.6%,73.1%。病歴:脳卒中既往3.4%,4.2%,全身塞栓症既往1.0%,2.2%,TIA既往2.3%,3.4%,うっ血性心不全19.7%,14.9%,高血圧65.0%,68.7%,糖尿病20.3%,20.5%,心筋梗塞9.0%,6.6%。心房細動の病型:新規診断23.8%,21.1%,発作性17.2%,22.7%,持続性55.9%,50.0%,長期持続性3.0%,5.2%。CHADS2スコア0点23.9%,20.9%,1点38.0%,40.4%,≧2点38.1%,38.6%。抗凝固薬服用経験あり42.3%,43.8%。
治療法 除細動施行の時期(早期または遅延)は担当医の裁量*とし,それぞれ2:1の割合で無作為割付を行った。
*除細動前に十分な抗凝固療法が行われている,あるいは経食道心エコー(TEE)実施予定の有無によって,以下のいずれかを選択。
早期:施行前にrivaroxabanを1~5日間もしくは通常のVKAを投与し,施行後は6週間継続。遅延:施行前にrivaroxabanもしくはVKAを3~8週間投与し,施行後は6週間継続。

Rivaroxaban群:1,002例(早期585例+遅延417例)。20mg 1日1回(CLcr 30~49mL/分の患者では15mg 1日1回)投与。早期施行例では除細動の4時間以上前に投与を開始した。
VKA群:502例(早期287例+遅延215例)。担当医の裁量により,地域の標準治療にしたがいwarfarinもしくは他のVKAを投与。目標PT-INRは2.5(範囲2.0~3.0)。なお担当医には,特に除細動施行前に適切な抗凝固(3週間以上PT-INR 2.0~3.0が継続)が得られるまで,VKAに加え非経口抗凝固薬を投与する選択肢が与えられた。

試験期間中に左心耳血栓が検出された場合は有効性評価から除外された。これらの症例では,除細動を行わず試験薬投与を中止し,標準治療へ移行した。試験終了後,rivaroxaban群患者は非試験薬のrivaroxabanもしくは他の新規経口抗凝固薬,VKA(PT-INR≧2.0の場合),VKA+非経口抗凝固薬に移行可能とした。VKA群患者は,rivaroxabanへの移行はPT-INR≦3.0,dabigatranまたはapixabanへの移行はPT-INR≦2.0の場合とした。
Cytochrome P450 3A4阻害薬,P糖蛋白阻害薬,試験薬以外のVKAまたは第Xa因子阻害薬,第IIa因子阻害薬,短期ブリッジング以外の低分子量/未分画heparin,>100mg/日の長期aspirin,抗血小板薬2剤併用療法は禁止とした。強力なcytochrome P450 3A4誘導薬は,慎重に投与される場合は許可とした。止血に影響のある併用薬は,試験期間中注意深くモニタリングを行った。潰瘍性消化管疾患もしくは出血リスクのある患者には,プロトンポンプ阻害薬投与を許可した。侵襲的または外科的インターベンションが必要な場合,rivaroxabanは24時間前に中断し,可能な限り早く再開した。VKAの中断・再開は通常の診療にしたがった。
追跡完了率
結果

●評価項目
有効性の主要評価項目はrivaroxaban群5例(0.51%;早期群4例[0.71%],遅延群1例[0.24%]),VKA群5例(1.02%;早期群3例[1.08%],遅延群2例[0.93%])に発症した(RR 0.50,95%CI 0.15-1.73)。このうち脳卒中は2例(0.2%)vs. 2例(0.4%)。
全死亡は5例(0.5%)vs. 3例(0.6%)。
遅延施行例では,rivaroxabanはVKAにくらべ,除細動までの期間を有意に短縮し(中央値でそれぞれ22日,30日,p<0.001),予定通りに除細動が施行された患者の割合は,それぞれ77%,36.3%とrivaroxabanで有意に高率であった。
重大な出血事象はrivaroxaban群6例(0.6%),VKA群4例(0.8%)(RR 0.76,95%CI 0.21-2.67)。

●有害事象

文献: Cappato R, et al., on behalf of the X-VeRT Investigators
Rivaroxaban vs. vitamin K antagonists for cardioversion in atrial fibrillation. Eur Heart J 2014; 35: 3346-55. pubmed
関連トライアル ACE , AMADEUS, ARISTOTLE, ARISTOTLE cardioversion, ATLAS ACS 2-TIMI 51, ATLAS ACS 2-TIMI 51 STEMI patients, ATLAS ACS-TIMI 46 , AVERROES, AVERROES previous stroke/TIA, COMPARE, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, J-ROCKET AF, J-ROCKET AF renal impairment, Lakkireddy D et al, Lamberts M et al, MAGELLAN, PROTECT AF, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF previous stroke/TIA, ROCKET AF renal dysfunction, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性
関連記事 [ESC 2014]X-VeRT-除細動を受ける非弁膜症性心房細動患者におけるリバーロキサバンの有効性および安全性(Riccardo Cappato氏)