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メタ解析
発症時間不明脳卒中に対する血栓溶解療法
Efficacy and Safety of Thrombolysis for Stroke of Unknown Onset Time: a Meta-Analysis
結論 発症時間不明の脳卒中患者に対する血栓溶解療法は,発症時間判明患者との比較ではベネフィットを認めなかったが,治療をうけなかった発症時間不明患者との比較では,有効かつ安全であった。
コメント 発症時間不明の脳卒中に対する血栓溶解療法に関して,日本を含むメタ解析である。一定の条件下では血栓溶解療法の有効性,安全性が示唆されるが,その検証や治療ガイドラインへの治療法の推奨には,ランダム化比較試験の結果分析が必要である。(岡田靖

目的 発症時間不明の脳卒中患者に対する血栓溶解療法は,いくつかの試験で有効性・安全性が報告されているものの,現行のガイドラインではそのような患者に対する治療は除外されている。本研究では,発症時間不明の脳卒中患者に対する治療の有効性および安全性について,検討を行った。有効性の主要評価項目:脳卒中発症から90日後の転帰優良(modified Rankin Score:mRS 0~1)。安全性の主要評価項目:脳卒中後の全死亡。
方法 PubMed(1966年~2013年12月31日),Embase(1980年~2013年12月31日),Cochrane(2009年~2013年12月31日)にて検索。言語の制限は設けなかった。
対象:(1)発症時間不明の脳卒中患者に対する血栓溶解療法の有効性および安全性を,非治療患者と比較した試験,(2)発症時間不明患者に対する血栓溶解療法の有効性および安全性を,発症時間判明患者と比較した試験,(3)死亡率,症候性頭蓋内出血,mRS 0~1または0~2についての十分なデータが報告されている試験。
対象 11試験,1,832例(すべて後ろ向き症例対照研究もしくは前向きコホート研究。日本人患者80例*を含む)
*:Aoki J, et al. Cerebrovasc Dis Extra 2013; 3: 35-45。
主な結果 [発症時間不明患者における血栓溶解療法群と非治療群の比較]
・90日後の転帰
転帰優良(mRS 0~1):血栓溶解療法群の転帰優良は非治療群にくらべ多かった(18.30% vs. 11.63%,OR 2.37,95%CI 1.20-4.69,I2=27.2%,p=0.013)。
転帰良好(mRS 0~2):上記と同様の結果であった(37.65% vs. 30.49%,OR 2.03;1.26-3.30,I2=28.5%,p=0.004)。

・死亡率
血栓溶解療法群の死亡率は非治療群と同程度であった(13.16% vs. 14.36%,OR 0.82;0.43-1.57,I2=40.9%,p=0.554)。

・症候性頭蓋内出血
血栓溶解療法群の症候性頭蓋内出血は非治療群と同程度であった(4.32% vs. 1.79%,OR 2.07;0.62-6.97,I2=0%,p=0.239)。

[発症時間不明患者と発症時間判明患者の比較]
・90日後の転帰
転帰優良:発症時間不明患者における転帰優良は,発症時間判明患者にくらべ少なかった(33.33% vs. 36.93%,OR 0.70;0.51-0.97,I2=9.9%,p=0.033)。
転帰良好:有意差を認めなかった(41.09% vs. 46.33%,OR 0.79;0.58-1.07,I2=3.9%,p=0.128)。

・死亡率
発症時間不明患者における死亡率は,発症時間判明患者と同程度であった(9.85% vs. 14.54%,OR 0.73;0.44-1.20,I2=25.0%,p=0.216)。

・症候性頭蓋内出血
発症時間不明患者における症候性頭蓋内出血は,発症時間判明患者と同程度であった(2.57% vs. 3.40%,OR 1.03;0.49-2.16,I2=0%,p=0.945)。

・サブグループ解析
画像の基準および血栓溶解療法の時間枠にもとづくサブグループ解析では,異常が認められてから3時間以内に治療した患者,早期虚血変化が中大脳動脈領域の1/3未満の患者では,発症時間不明患者全体にくらべ,血栓溶解療法のベネフィットが大きかった。

出版バイアスは認めなかった。
文献: Hu YZ, et al. Efficacy and safety of thrombolysis for stroke of unknown onset time: a meta-analysis. J Thromb Thrombolysis 2014; 38: 528-39. pubmed
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