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メタ解析
脳室内出血に対する血栓溶解療法
Fibrinolysis for Intraventricular Hemorrhage: an Updated Meta-Analysis and Systematic Review of the Literature
結論 脳室内出血患者において,脳室内血栓溶解療法は安全で,有効なストラテジーであるかもしれない。脳室内血栓溶解療法は脳室炎および再出血を増加させずに,死亡を抑制し,機能転帰良好を改善し,永続的なシャント留置を減少させる可能性が示唆された。
コメント 高齢者が増加の一途をたどる本邦では,高齢者に多い視床出血が増加している。視床出血はしばしば脳室内へ穿破し脳室内出血の様相を呈する。本メタ解析で脳室外ドレーンを留置するとともに脳室内血栓溶解療法を行うことの有効性が示されたことから,本邦でも脳室外ドレーンのみならず脳室内血栓溶解療法を合わせて行う治療法の普及に弾みがつくであろう。(矢坂正弘

目的 脳室内出血は死亡率上昇および機能転帰不良と関連している。脳室外ドレーンを用いた脳室内血栓溶解療法は進化しつつある治療法であり,矛盾した結果が報告されている。本研究では,脳室内血栓溶解療法が死亡率を低下させるか,検討を行った。主要評価項目:追跡期間終了時の全死亡。
方法 2014年3~4月,PubMed/MEDLINE,Clinicaltrials.gov,Cochrane Library,Web of Knowledge,Scopus にて検索を行った。時間枠,言語の制限は設けなかった。
対象:(1)脳室外ドレーン留置および脳室内血栓溶解療法をうけた,18歳超の非外傷性脳室内出血患者を対象としている,(2)脳室内血栓溶解療法を実施していない対照群を有する,(3)治療群の比較に脳室内血栓溶解療法を用いている,(4)患者数,転帰発生数を報告している試験。なお,治療薬の用量,種類(urokinase,alteplase),投与頻度についての制限は設けなかった。非比較試験,症例報告,小児報告は除外し,メタ解析を行った。
対象 24試験(RCT 8件+前向きコホート研究4件+後ろ向きコホート研究12件),878例(脳室内血栓溶解療法群425例+対照群453例)。
主な結果 ・死亡率(23試験)
脳室内血栓溶解療法は死亡率低下の可能性と関連していた(RR 0.55;95% CI 0.42-0.71,I2=0%,p<0.00001)。
脳室内血栓溶解療法は前向き/後ろ向きコホート研究では死亡率低下と独立して関連,RCTではその傾向を認めた。
前向きコホート研究:RR 0.35;0.17-0.71,p=0.004。
後ろ向きコホート研究:RR 0.58;0.41-0.83,p=0.003。
RCT:RR 0.60;0.35-1.01,p=0.05。

・機能的転帰(14試験)
脳室内血栓溶解療法は機能的自立(mRS 0~3)の可能性上昇と関連していた(RR 1.66;1.27-2.19,I2=0%,p=0.0003)。

・脳室炎(17試験),再出血(11試験)
脳室内血栓溶解療法は脳室炎,再出血の可能性上昇と関連していなかった。
脳室炎:RR 1.46;0.77-2.76,I2=56%,p=0.25。
再出血:RR 1.06;0.66-1.70,I2=0%,p=0.80。

・シャント留置の必要性(16試験)
脳室内血栓溶解療法はシャント留置の必要性低下と関連していた(RR 0.62; 0.42-0.93,I2=11%,p=0.02)。

出版バイアスは認めなかった(p=0.19223,Egger test)。
文献: Khan NR, et al. Fibrinolysis for Intraventricular Hemorrhage: An Updated Meta-Analysis and Systematic Review of the Literature. Stroke 2014; 45: 2662-9. pubmed
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