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TTT-AIS II Taiwan Thrombolytic Therapy for Acute Ischemic Stroke II
結論 rt-PA 0.9mg/kgはすべての東アジア人に対し至適用量であるということは支持されなかった。高齢者(71~80歳)では,低用量(0.6mg/kg)は転帰良好と関連していた。本結果は,RCTにより検証する必要がある。
コメント 台湾から発表された先行研究(TTT-AIS)の継続研究である。rt-PA投与量を医師の裁量により0.6~0.9mg/kgで静注投与しており,低用量群の割合が高く,高齢者(71~80歳)で低用量が転帰良好と関連していることを明らかにした。東アジアでの研究として意義があるが,用量設定の選択バイアスが否定できず,ランダマイズ研究の結果がまたれる。(岡田靖

目的 東アジアの虚血性脳卒中患者におけるrt-PAの用量とその安全性/有効性の関連は,あまり検討されていない。先行研究(TTT-AIS)では,0.9mg/kg群は低用量群(<0.85mg/kg)にくらべ3ヵ月後の症候性脳内出血,後遺障害,死亡が多く,その結果は70歳以上の高齢者で顕著であった。TTT-AISでは低用量の幅が0.55~0.84mg/kgと広く,241例と少数例の検討であったことから,継続研究として,rt-PAの至適用量について再度検討を行った。安全性の主要評価項目:3ヵ月以内の症候性脳内出血,死亡。有効性の主要評価項目:3ヵ月後の機能的転帰(転帰優良:modified Rankin Score:mRS 0~1,転帰良好:同0~2)。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(23施設),台湾。
期間 登録期間は2004年12月~2011年11月。
対象患者 1,004例。血栓溶解療法を受けた虚血性脳卒中患者。対象/除外基準はSITS-MOST試験に準じた。
【除外基準】>80歳の患者。
【患者背景】平均年齢は0.6mg群70.1歳,0.7mg群68.0歳,0.8mg群66.9歳,0.9mg群66.1歳(p=0.003)。各群の男性58.0%,61.8%,63.4%,64.4%。rt-PAの用量中央値(範囲,mg/kg)0.9(0.86~1.26),0.81(0.76~0.85),0.71(0.68~0.75),0.61(0.55~0.65)。高血圧76.8%,69.9%,69.3%,66.6%。糖尿病33.7%,25.6%,24.8%,28.7%。脂質異常症27.1%,22.1%,34.2%,41.2%(p<0.0001)。冠動脈疾患15.5%,19.6%,13.9%,17.3%。心房細動43.1%,35.2%,34.6%,28.0%(p=0.0034)。平均National Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア 14.4,14.7,15.2,15.0。平均発症-治療時間147.7分,140.4分,145.5分,137.3分(p=0.0001)。
治療法 rt-PAの用量(mg/kg)により0.9mg群(422例),0.8mg群(202例),0.7mg群(199例),0.6mg群(181例)に分け,比較した。
追跡完了率 追跡完了は1ヵ月後976例(97.2%),3ヵ月後960例(95.6%)。
結果

●評価項目
症候性脳内出血,3ヵ月以内の死亡,3ヵ月後の転帰優良について,用量別の有意差は認めなかった。
症候性頭蓋内出血(NINDS定義):0.6mg群5.52%,0.7mg群5.03%,0.8mg群5.94%,0.9mg群7.35%。
死亡:7.7%,9.6%,8.9%,8.3%。
転帰優良:38.4%,28.2%,26.9%,33.8%。
血栓溶解療法後の症候性脳内出血は年齢が上がるにつれ上昇した(p=0.002)。
多変量ロジスティック回帰分析によると,0.9mg/kgは症候性脳内出血(OR 2.15,95%CI 1.19-3.86,p=0.0109),≦0.65mg/kgは転帰優良(OR 0.67;0.45-0.98,p=0.0369)の予測因子であった。
71~80歳の患者では,rt-PA用量の上昇にともない,症候性脳内出血リスクの上昇(p=0.0130),転帰優良(p=0.0179),転帰良好(p=0.0180)の減少,死亡リスク上昇傾向(p=0.0971)が認められた。

●有害事象

文献: Chao AC, et al.; Taiwan Thrombolytic Therapy for Acute Ischemic Stroke (TTT-AIS) Study Group. Different doses of recombinant tissue-type plasminogen activator for acute stroke in chinese patients. Stroke 2014; 45: 2359-65. pubmed
関連トライアル Chen CH et al, Cronin CA et al, ECASS, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, GWTG-Stroke time to treatment, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI CT versus DWI, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-MOST multivariable analysis, TPA Bridging Study, TTT-AIS, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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