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TIMS-China Thrombolysis Implementation and Monitor of Acute Ischemic Stroke in China
結論 中国人の虚血性脳卒中患者において,標準用量のrt-PA(0.9mg/kg)は低用量にくらべ,症候性頭蓋内出血リスクを上昇させずに転帰良好を増加させた。アジア人の虚血性脳卒中患者において,0.9 mg/kgは至適用量と考えられる。
コメント わが国では,虚血性脳卒中に対するrt-PAは低用量(0.6mg/kg)が用いられている。本研究は,中国漢民族を対象としたrt-PA治療例の後方視的研究で,標準用量(0.9mg/kg)群は,低用量群と比較して転帰良好で,頭蓋内出血を増加させなかったとする論文である。東アジアでも異なる結果が出た点は注目されるが,ランダム化比較試験ではなく,選択バイアスの影響が否定できない。日本,台湾ほかを含め,更なる検証が必要であろう。(岡田靖

目的 NINDSによるrt-PAの標準用量は0.9mg/kgだが,虚血性脳卒中患者において異なる用量を検討するRCTはこれまで行われていない。そのため至適用量については議論があり,アジアの多くの病院では,人種差があるとして低用量が用いられている。本試験では,TIMS-Chinaのデータを用い,低用量rt-PAが標準用量と同様に有効,安全であるか検討を行った。主要評価項目:画像により評価した症候性頭蓋内出血,血栓溶解療法実施の24~36時間後のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア,7日後および90日後の死亡率,modified Rankin Score(mRS)
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設(67施設),中国。
期間 登録期間は2007年5月~2012年4月。
対象患者 919例。(1)18~80歳,(2)脳卒中の診断,(3)脳断層画像もしくはMRIにて出血/大虚血梗塞/その他の非虚血性疾患を除外,(4)血栓溶解療法に対する禁忌のない患者。
【除外基準】登録時の脳断層画像にて重度の脳卒中が認められたか,NIHSS>25の患者。
【患者背景】年齢中央値は0.5-0.7群62歳,0.7-0.85群68歳,0.85-0.95群63歳。各群の男性81.3%,56.5%,62.2%(p=0.001)。rt-PA用量中央値(mg/kg)0.64,0.79,0.90(p<0.0001)。脳卒中前の自立(mRS 0~2)97.3%,96.2%,99.0%(p=0.049)。心房細動17.3%,17.6%,17.4%。高血圧64.0%,61.1%,56.8%。糖尿病16.0%,19.1%,13.7%。NIHSS中央値10,10,11。発症-治療経過時間中央値(時)2.9,2.9,2.8。脳卒中の病型:アテローム血栓性57.3%,53.5%,52.8%,ラクナ18.7%,9.3%,10.9%,心原性塞栓症16.0%,20.9%,18.8%。
治療法 rt-PAの用量(mg/kg)により<0.5群(9例),0.5-0.7群(75例),0.7-0.85群(131例),0.85-0.95群(678例),≧0.95群(26例)の5群にわけたが,サンプルサイズの問題から0.5-0.7群,0.7-0.85群,0.85-0.95群のみ比較を行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
補正後,90日後の死亡率(<0.5群5.41% vs. 0.5-0.7群8.66% vs. 0.7-0.85群7.36%,p=0.695),SITS-MOST基準症候性頭蓋内出血(0% vs. 3.82% vs. 1.62%,p=0.106)は同程度であった。
0.5-0.7群は0.85-0.95群にくらべ,90日後の転帰良好(mRS 0~1)が少なかった(41.89% vs. 53.83%,OR 0.58,95%CI 0.35-0.95,p=0.031)。
0.70-0.85群は0.85-0.95群にくらべ,90日後の機能的自立(mRS 0~2)が少なかった(54.33% vs. 64.51%,OR 0.66,95%CI 0.45-0.97,p=0.036)。

●有害事象

文献: Liao X, et al.; Thrombolysis Implementation and Monitor of Acute Ischemic Stroke in China Investigators. Standard-dose intravenous tissue-type plasminogen activator for stroke is better than low doses. Stroke 2014; 45: 2354-8. pubmed
関連トライアル CASES elderly patients, De Marchis GM et al, ECASS, ECASS III, Guillan M et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, GWTG-Stroke time to treatment, ICARO-2, IMS III, Mehta RH et al, MERCI and Multi MERCI previous IV tPA, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, Sarikaya H et al (obese), Sarikaya H et al (posterior circulation stroke), Schellinger PD et al, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-MOST multivariable analysis, TTT-AIS, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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