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Moradiya Y et al Intraventricular Thrombolysis in Intracerebral Hemorrhage Requiring Ventriculostomy: a Decade-Long Real-World Experience
結論 脳室造瘻術を必要とする脳室内出血患者に対する脳室内血栓溶解療法は,非治療にくらべ院内死亡率が低く,好ましい退院(自宅など)が多い傾向がみられた。院内合併症は同程度であった。
コメント 脳室内出血は高齢者に多い視床出血やもやもや病に合併しやすい。両者ともに本邦では多く見られるので,実臨床に基づいた脳室内血栓溶解療法に関する本研究結果は,本邦の脳室内出血への治療へ参照されよう。(矢坂正弘

目的 脳室内血栓溶解療法は,米国FDAの承認はないものの,脳室内出血関連脳水腫の治療にオフラベル使用されており,脳室内出血発症後の血腫溶解を促進する有望な治療法である。本研究では,脳室造瘻術を必要とする脳室内出血患者において,血栓溶解療法後のリアルワールドでの院内転帰を検討した。主要評価項目:院内死亡率。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録期間は2002年1月1日~2011年12月31日。
対象患者 34,044例。The Healthcare Cost and Utilization Project(HCUP)のNationwide Inpatient Sample(NIS)より同定された,非外傷性脳内出血の一次診断をうけた症例(脳室内出血の有無は問わない)のうち,脳室造瘻術を必要とする血栓溶解療法実施例。
【除外基準】<18歳,外傷性脳損傷,脳血管奇形,脳動脈瘤クリッピング術/コイリング術施行例,脳腫瘍,脳梗塞など。
【患者背景】脳室内血栓溶解療法実施の有無別の年齢中央値は,非実施例61歳,血栓溶解療法実施例58歳(p<0.001)。女性43.7%,44.3%。人種/民族:白人42.4%,38.3%,黒人20.4%,20.7%,ヒスパニック系8.0%,11.6%,アジア/太平洋諸島4.5%,7.5%。高血圧75.6%,81.6%(p=0.030)。糖尿病20.7%,24.7%。脂質異常症14.4%,16.4%。冠動脈疾患11.5%,11.9%。うっ血性心不全8.0%,8.9%。心房細動13.1%,12.6%。貧血16.1%,25.2%(p<0.001)。
治療法 対象患者に血栓溶解療法を実施。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
1,133例(3.3%)が脳室内血栓溶解療法をうけた。実施率は2002~2003年の5.7%から2010~2011年には7.0%に上昇した(傾向p<0.001)。
血栓溶解療法実施例は非実施例にくらべ,院内死亡率が低く(32.4% vs. 41.6%,p=0.001),これはベースライン時の特性などで補正した後も有意であった(補正後OR 0.670;95%CI 0.520-0.865,p=0.002)。
血栓溶解療法実施例は好ましい退院(自宅もしくはリハビリテーション)が多い傾向がみられた(28.1% vs. 23.2%,補正後OR 1.335;0.983-1.812,p=0.064)。
細菌性髄膜炎および脳室内シャント留置は両者で同程度であった。
細菌性髄膜炎:血栓溶解療法実施例2.0% vs. 非実施例3.0%,補正後OR 0.525;0.202-1.362,p=0.185。
脳室内シャント留置:11.1% vs. 7.8%,補正後OR 1.358;0.929-1.984,p=0.114。
血栓溶解療法実施例は入院期間が長く(中央値18日 vs. 14日,p<0.001),実質医療費が高かったが(中央値58,770米ドル vs. 42,052米ドル,p<0.001),1日あたりの医療費は非実施例と同程度であった(3,309米ドル vs. 3,198米ドル,p=0.285)。

●有害事象

文献: Moradiya Y, et al. Intraventricular Thrombolysis in Intracerebral Hemorrhage Requiring Ventriculostomy: A Decade-Long Real-World Experience. Stroke 2014; 45: 2629-35. pubmed
関連トライアル Alshekhlee A et al, Engelter ST et al, Gensicke H et al, Mattle HP et al, Murthy SB et al, Sarikaya H et al, SITS-ISTR importance of recanalization, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-MOST multivariable analysis, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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