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OPHELIE-COG Pre-Stroke Cognitive Status and Thrombolytic Therapy
結論 認知障害をともなう脳梗塞患者に対するrt-PA静注後の転帰は,認知障害をともなわない患者と同程度であり,適応があればrt-PA静注療法を行うべきである。ただし,この結論は重度の認知障害または重度の脳卒中については適用できない。
コメント 認知機能の障害を有する症例であっても,rt-PA静注後の転帰は認知症をともなわない症例と同程度であることが期待される。このことから,認知障害をrt-PA血栓溶解療法の障害とみなすべきではなく,適応があれば積極的にrt-PA血栓溶解療法を行うべきである。(矢坂正弘

目的 rt-PA静注をうける脳梗塞患者において,脳卒中前の認知障害(Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly[IQCODE]スコア>3[総得点>48]を認知障害ありと定義))が臨床的におよぼす影響を評価した。主要評価項目:3ヵ月後の転帰良好(modified Rankin Score:mRS 0~1)。
デザイン 観察研究。NCT01713491。
セッティング 多施設(日本は7施設),2ヵ国(日本,フランス)。
期間 登録期間は2012年1月~2013年3月。最終追跡診察は2013年7月30日。
対象患者 205例。当該期間中にrt-PA静注をうけた脳梗塞患者全例。年齢80歳以上は除外基準としなかった。
【除外基準】中大脳動脈領域以外の脳梗塞,動脈内もしくは血栓切除術併用の血栓溶解療法,脳卒中発症前に日常生活の障害を有する(mRS≧2),入院から48時間以内にIQCODE実施不能(脳卒中発症前に専門家により認知障害があると診断されたか,もしくは退院時の認知機能検査[MMSE]で30点満点をとり,正常であると判断された場合を除く)。
【患者背景】認知障害の有無別の年齢中央値は,認知障害例77歳,非障害例66歳(p<0.001)。男性41.9%,55.9%。病歴:脳卒中前のmRS 0:80.6%,94.4%,脳卒中既往11.3%,5.6%,心筋梗塞既往9.7%,16.8%,心房細動24.2%,18.2%,IQCODEスコア中央値3.25,3.00(p<0.0001)。rt-PA前のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値9,8。発症-治療時間中央値109分,170分。
治療法 フランス:改定された欧州のガイドラインにもとづき,rt-PA 0.9mg/kg,最大90mgを静注(治療までの時間は発症から4.5時間以内)。
日本:日本のガイドラインにもとづき,rt-PA 0.6mg/kg,最大60mgを静注(2012年9月1日,治療までの時間が発症から4.5時間以内に延長された)。
追跡完了率
結果

●評価項目
62例(30.2%)が認知障害を有していた。認知障害群は年齢が11歳上であった(p<0.001)。
3ヵ月後,認知障害例は非障害例にくらべ症候性脳内出血が多く,自立は少なかったが,年齢,NIHSS,発症-治療時間を補正後,転帰について有意差を認めなかった。
症候性脳内出血(ECASS II定義):認知障害例7例(11.3%)vs. 非障害例5例(3.5%),OR 2.78,95%CI 0.65-11.86。
3ヵ月後の転帰優良(mRS 0~1):26例(41.9%)vs. 75例(52.4%),OR 0.82,95%CI 0.41-1.65。
3ヵ月後の転帰良好(mRS 0~2):35例(56.5%)vs. 102例(71.3%),OR 0.62,95%CI 0.28-1.37。
死亡:3例(4.8%)vs. 7例(4.9%),OR 0.40,95%CI 0.08-2.03。
本試験とBiostroke(NCT00763217),Strokdem(NCT01330160)とのプール解析でも,脳卒中前の認知障害と評価項目についての関連を認めなかった。

●有害事象

文献: Murao K, et al.; OPHELIE-COG investigators. Thrombolytic therapy for stroke in patients with preexisting cognitive impairment. Neurology 2014; 82: 2048-54. pubmed
関連トライアル Gumbinger et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hsieh CY et al, ICARO-2, Madrid Stroke Network, Muchada M et al, Power A et al, RESTORE, SAINT postthrombolysis ICH, SAMURAI, SAMURAI DWI-ASPECTS, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Sarikaya H et al, Singer OC et al, SITS-EAST, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, TTT-AIS, Tutuncu S et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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