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メタ解析
ビタミンK拮抗薬の硬膜下血腫リスク
Vitamin K Antagonists and Risk of Subdural Hematoma: Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials
結論 ビタミンK拮抗薬(VKA)の使用は抗血小板薬にくらべ,硬膜下血腫リスクを約3倍上昇させた。直接作用経口抗凝固薬は,VKAにくらべ,硬膜下血腫リスク抑制と関連していた。VKAとの間接比較にもとづくと,抗血小板薬単剤と第Xa因子阻害薬の硬膜下血腫リスクは同程度であった。
コメント 高齢化社会において,抗凝固療法中の慢性硬膜下血腫はしばしば経験され,その管理は重要な課題である。直接トロンビン阻害薬では硬膜下血腫の頻度が低く,小血腫で増大がないなどの報告も散見される。今回,大規模試験のメタ解析で,直接作用抗凝固薬がビタミンK拮抗薬に比べてリスク抑制効果があることを明らかにした点は意義がある。今後は硬膜下血腫の頻度のみならず,外傷性/非外傷性,症候の有無,転帰に及ぼす影響についての分析も望まれる。(岡田靖

目的 硬膜下血腫は抗凝固療法の重要な出血性合併症である。本解析では,VKAを抗血小板薬もしくは直接作用経口抗凝固薬と比較した論文について,VKA関連硬膜下血腫リスクの比較検討を行った。
方法 1980~2013年6月,Cochrane Central Register of Controlled Trialsにて,経口VKAに関するランダム化比較試験を検索。言語の制限は設けなかった。心房細動,冠動脈疾患患者におけるVKAに関するシステマティックレビューの文献リストも参照した。
対象:VKA*1を抗血小板薬単剤*2もしくは直接作用経口抗凝固薬*3と比較,治療期間1ヵ月超,硬膜下血腫の発症を報告している試験。硬膜下血腫の発症を報告していない論文は除外したが,1998年以降の出版で,5例以上の頭蓋内出血の報告,1,000例超の登録患者を擁しているか,20例以上の大出血の報告のある論文については,治験統括医へのコンタクトを行った。
抗凝固の強度が正常域に達しない低用量VKAの試験,全例にVKAが投与されており,その後継続/中止に無作為割付を行った試験,抗血小板薬2剤併用との比較試験は除外した。初期にheparin/低分子量heparinが投与された場合,期間がVKA投与の<15%の場合は,本解析の対象に含めた。
*1:warfarin,dicoumarol,phenprocoumon,fluindione,phenindione,acenocoumarol,ethyl biscoumacetate。
*2:aspirin(全用量),ticlopidine,clopidogrel,prasugrel,dipyridamole,triflusal, cilostazol。
*3:dabigatran,ximelagatran,apixaban,rivaroxaban,betrixaban,darexaban,edoxaban。
対象 19試験,92,156例。
内訳は,VKAと抗血小板薬の比較:9試験,11,603例(SPIRITWASIDBAFTASPAF IIWARSSNASPEAFESPRITWATCHWARCEF)。
VKAと直接作用経口抗凝固薬の比較:10試験,80,553例(ROCKET AFJ-ROCKET AFEINSTEIN PEHokusai-VTEENGAGE AF-TIMI 48SPORTIF IIISPORTIF VRE-LY,REMEDY,RE-COVER II)。
主な結果 [VKAと抗血小板薬の比較:9試験,11,603例]
VKAは抗血小板薬にくらべ,硬膜下血腫リスクを上昇させた(OR 3.0,95%CI 1.5-6.1,不均一性p=0.8)。この結果は,VKA群の平均PT-INRが2.0~3.0を達成した8試験(OR 2.8;1.3-5.8),aspirinを対照薬とした8試験(OR 2.3;1.1-5.0)に限定しても同様の結果であった。

[VKAと直接作用経口抗凝固薬の比較:10試験,80,553例)]
VKAは直接作用経口抗凝固薬にくらべ,硬膜下血腫リスクを上昇させた。
第Xa因子阻害薬との比較(5試験,49,687例):OR 2.9;2.1-4.1,不均一性p=0.6。
直接トロンビン阻害薬との比較(5試験,30,866例):OR 1.8,95%CI 1.2-2.7,不均一性p=0.5。

VKAを投与された心房細動患者24,485例(6試験)における硬膜下血腫の絶対発症率は2.9(95%CI 2.5-3.5)/1,000 患者・年であった。
文献: Connolly BJ, et al. Vitamin k antagonists and risk of subdural hematoma: meta-analysis of randomized clinical trials. Stroke 2014; 45: 1672-8. pubmed
関連トライアル ACS後の患者における新規経口抗凝固薬の追加効果, Lamberts M et al, RCTにおけるwarfarinとaspirinの出血リスク, VTE二次予防の抗血栓療法の有効性および安全性, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 抗血小板療法中のACS後の患者に対する新規抗凝固薬の使用, 心血管疾患リスクを有する患者におけるaspirin+OAC併用とOAC単独投与の比較, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性, 脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬, 非弁膜症性心房細動患者における抗血栓療法
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