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Albrecht JS et al Benefits and Risks of Anticoagulation Resumption Following Traumatic Brain Injury
結論 外傷性脳損傷により入院した患者においては,退院後warfarin使用を再開することで,出血リスクは上昇するものの,脳卒中リスク抑制についての正味のベネフィットが得られた。
コメント 本研究の対象患者の82%は心房細動を有していた。ワルファリン療法中に外傷性脳損傷で入院した高齢者であっても,退院後に抗凝固療法を再開することが脳卒中(梗塞,出血)リスクを低減させるベネフィットがあることを示した,リアルワールドの貴重な分析である。(岡田靖

目的 外傷性脳損傷後の抗凝固療法による出血リスク上昇は,高齢者の内科的管理においても,抗凝固療法を再開すべきか,すべきならいつか,という深刻なジレンマをもたらす。本研究では,外傷性脳損傷後のワルファリン療法の再開にともなう血栓塞栓および出血リスクについて,検討を行った。主要評価項目:退院後に発症した血栓塞栓イベント(虚血性脳卒中,肺塞栓症,深部静脈血栓症,心筋梗塞)および出血イベント(出血性脳卒中,上部消化管出血,副腎出血,その他)。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,米国。
期間 登録期間は2006年5月30日~2009年12月31日。退院後の平均追跡期間は594.9日。
対象患者 10,782例。メディケア*受益者データより同定された,外傷性脳損傷により入院し,退院した患者で,以下の基準を満たす症例(2006年5月30日~2009年12月31日に入院費請求がある,発症時65歳以上,当該イベント入院前の6ヵ月以上,メディケアパートAおよびBに継続加入していたが,パートCには加入していない,当該イベント発症の前月および全追跡期間中にパートDの処方箋薬給付保険に加入,当該イベント発症の前月にwarfarin投与あり,当該イベント前の6ヵ月間に外傷性脳損傷の既往がない)。
【除外基準】当該イベント入院中の血栓塞栓イベントもしくは出血イベント発症例。
【患者背景】warfarin使用の有無および再開時期別の平均年齢は,非使用例82.4歳,1~6ヵ月後再開例81.0歳,7~12ヵ月後再開例80.1歳(p<0.001)。女性63%,63%,66%(p=0.003)。白人92%,92%,93%。当該イベント入院時の合併症:アルツハイマー病および関連認知症39%,35%,27%(p<0.001),心房細動80%,82%,85%(p<0.001),高血圧96%,96%,96%,弁膜症18%,22%,22%(p<0.001)。CHADS2スコア≧2:85%,84%,81%(p<0.001)。出血イベント既往19%,19%,16%(p<0.001)。血栓イベント既往30%,31%,26%(p<0.001)。
*メディケア:米国の高齢者および障害者向け公的医療保険制度。パートA:入院保険,パートB:入院以外の医療保険,パートC:民間医療保険会社が運営する保険でAとB(通常はDも)のサービスを含む,パートD:処方箋薬給付保険。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
退院から3ヵ月後までに46%,6ヵ月後までに53%,12ヵ月後までに55%がwarfarinを再開した(30日間以上の処方を1単位として,1単位以上)。
当該イベントの退院から12ヵ月後までに,血栓塞栓イベント(1,000人あたり)はwarfarin使用例113.5例,非warfarin使用例155.9例,出血イベント(1,000人あたり)は119.8例,85.7例発症した。
warfarinの30日間の使用は,その後の30日間における血栓塞栓イベントリスク低下(RR 0.77,95%CI 0.67-0.88),出血イベントリスク上昇(RR 1.51,95%CI 1.29-1.78),出血性/虚血性脳卒中リスク低下(RR 0.83,95%CI 0.72-0.96)と関連していた。

●有害事象

文献: Albrecht JS, et al. Benefits and Risks of Anticoagulation Resumption Following Traumatic Brain Injury. JAMA Intern Med 2014; 174: 1244-51. pubmed
関連トライアル ACS後の心房細動患者におけるwarfarin使用と転帰, Bjorck S et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, PROTECT AF, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, SPAF II 1996, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, Witt DM et al, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
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