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COMPARE Coumadin in Preventing Thromboembolism in Atrial Fibrillation Patients Undergoing Catheter Ablation
結論 本試験は,warfarinを中断せず行う高周波カテーテルアブレーション(以下,アブレーション)は,低分子量heparinによるブリッジングにくらべ,周術期脳卒中および小出血を減少させることを示した,初めての無作為割付試験である。
コメント ワルファリン中止のヘパリン置換群で,アブレーション後48時間以内に4.9%の血栓塞栓イベントが発症。これに比し,ワルファリン継続群ではわずか0.25%であったという大きな差が認められたことは,予想を超える結果であったと言える。今後,アブレーション周術期にNOACが使用されている頻度が増えてくるため,中止/or/継続のスタディが待たれる。薬剤間でも差が出てくる可能性もあると考えられる。(是恒之宏

目的 アブレーションを行う心房細動患者において,周術期の血栓塞栓および出血イベントは懸念される合併症である。本試験では,アブレーション施行後の血栓塞栓および出血イベント予防について,warfarin継続と中断した場合の比較を行った。主要評価項目:アブレーションから48時間後までの血栓塞栓イベント(脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],全身性塞栓症)。副次評価項目:出血性合併症(大/小出血),心膜液貯留。
デザイン PROBE(prospective,randomized,open,blinded endpoints)。NCT01006876。
セッティング 多施設。
期間 登録期間は2009年12月~2012年12月。
対象患者 1,584例。≧18歳,アブレーション施行前3~4週間のPT-INRが2.0~3.0,CHADS2スコア≧1の患者。
【除外基準】既知の出血性疾患または遺伝性血栓性疾患,経口避妊薬もしくはエストロゲン補充療法,人工弁,warfarin禁忌。
【患者背景】平均年齢は中断群61歳,継続群62歳。各群の男性76%,74%。心房細動のタイプ:発作性29%,25%,持続性22%,24%,永続性49%,51%。冠動脈疾患23%,26%。高血圧81%,83%。うっ血性心不全15%,17%。糖尿病38%,40%。脳卒中/TIA既往7%,8%。CHADS2スコア≧2点71%,74%。
治療法 全例に対し,アブレーション施行前の3~4週間,標的PT-INRとなるようwarfarinを投与し,以下の2群に無作為割付。経食道心エコーは中断群の全例,継続群では手技施行日にPT-INRが標的域を下回った場合に行った。
中断群:790例。warfarinはアブレーションの2,3日前に中断し,enoxaparin 1mg/kgを手技施行前夜まで,1日2回投与した。経中隔穿刺前に15,000IUをボーラス静注し,heparin 1,000U/時の継続注入を開始。注入はACT>350秒を維持するよう調整した。手技施行中,経中隔シースはheparin添加生理食塩水を継続注入した。手技終了後,heparinの効果を中和するためにprotamineを投与。電気生理学的検査室にてaspirin 325mgの単回投与を行った。シースはACT<200秒となってから抜去し,アブレーションの3時間後よりenoxaparin 0.5mg/kg 1日2回投与をルーチン的に開始(PT-INR>2を達成後中止)。warfarinは手技施行日の夜に再開した。
継続群:794例。warfarinは中断せず,手技施行日にPT-INR>3.5であった患者は試験から除外,PT-INR 3~3.5の場合は手技の数時間前に新鮮凍結血漿を投与した。手技施行日にPT-INRが標的域を下回っていた患者があったが,試験からの除外はしなかった。経中隔穿刺前,未分画heparinを男性患者には10,000IU,女性患者には8,000IU投与。手技中のACTは>300秒を維持し,経中隔シースはheparin添加生理食塩水を継続注入した。手技終了後,heparinの効果を部分的に中和するためにprotamineを投与した。シースはACT<200秒となってから抜去した。warfarinは手技施行日の夜に予定されていた用量で再開した。
追跡完了率
結果

●評価項目
血栓塞栓イベントは中断群39例(4.9%)で,継続群2例(0.25%)にくらべ多かった(p<0.001)。内訳は以下の通り。
脳卒中:中断群29例(3.7%) vs. 継続群2例(0.25%)。
TIA:10例(1.3%) vs. 0例。
心房細動の病型別では,中断群では発作性2例(0.87%),持続性4例(2.3%),永続性33例(8.5%),継続群は2例とも永続性であった。
warfarinの中断は周術期血栓塞栓イベントの強い予測因子であった(OR 13,95%CI 3.1-55.6,p<0.001)。その他の予測因子は,女性(OR 2.2;1.1-4.5,p=0.03),CHADS2スコア(OR 5.4;3.5-8.1,p<0.001),永続性心房細動(OR 4.7;2.6-8.5,p<0.001)。
出血性合併症は中断群8例(0.76%),継続群3例(0.38%)(p=0.31),心膜液貯留は7例(0.89%),4例(0.50%)(p=0.36)で,いずれも同程度であった。小出血は中断群174例(22%),継続群33例(4.1%)(p<0.001)。

●有害事象

文献: Di Biase L, et al. Periprocedural Stroke and Bleeding Complications in Patients undergoing Catheter Ablation of Atrial Fibrillation with Different Anticoagulation Management: Results from the "COMPARE" Randomized Trial. Circulation 2014; 129: 2638-44. pubmed
関連トライアル ACTIVE W paroxysmal vs sustained, ARISTOTLE type and duration of AF, Kaseno K et al, Lakkireddy D et al, Lakkireddy D et al, Pengo V et al, RE-LY periprocedural bleeding, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF post hoc analysis, カテーテルアブレーション施行患者におけるdabigatranの安全性および有効性
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