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CHIRONE Cerebral Hemorrhage in Patients Restarting Oral Anticoagulants Therapy
結論 頭蓋内出血既往患者は,ビタミンK拮抗薬投与により著明な再発リスクを有していた。外傷後患者でも,程度は低いものの再発リスクが認められた。頭蓋内出血既往患者においては,ビタミンK拮抗薬再開による正味のベネフィットをはかるために,血栓塞栓症リスクを慎重に評価しなければならない。
コメント 頭蓋内出血の既往がワルファリン療法中の頭蓋内出血のリスクであることが本研究で指摘された。頭蓋内出血の既往例へワルファリン療法を考慮する場合,血栓・塞栓症のリスクを再評価し,ワルファリン療法を行うか否かを評価するとともに,抗凝固療法を行う場合は脳出血の最大のリスクである高血圧の徹底的な管理や適切なPT-INR管理,および頭蓋内出血の少ない新規経口抗凝固薬導入の適否の検討が必要であろう。(矢坂正弘

目的 脳梗塞のリスク因子は頭蓋内出血のリスク因子でもあるが,先行研究からは,脳梗塞より頭蓋内出血に強く関連する因子はないと報告されている。本試験では,ビタミンK拮抗薬投与を開始もしくは初回治療終了後再開した初発頭蓋内出血(自然発症的/外傷後)の発症後について,再発リスクを検討した。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(27施設),イタリア。
期間 追跡期間は778患者・年(初発頭蓋内出血発症から2012年5月31日もしくは再発/死亡まで)。
対象患者 267例。初発頭蓋内出血発症後,ビタミンK拮抗薬投与をうけている患者。
【除外基準】-
【患者背景】当該イベント発症時の年齢中央値は73.9歳。男性61%。当該イベント発症時にビタミンK拮抗薬使用中92.8%。TTR 64%。経口抗凝固療法の適応:大動脈弁人工弁18.7%,僧帽弁人工弁10.1%,心房細動45.3%,静脈血栓塞栓症16.8%。関連疾患:脳卒中12.0%,一過性脳虚血発作6.4%,高血圧72.7%,糖尿病16.4%,冠動脈疾患24.1%,心不全12.9%,癌10.4%,腎不全25.7%。
治療法 頭蓋内出血発症後のビタミンK拮抗薬再開は担当医の裁量とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
追跡期間中,頭蓋内出血の再発は中央値16.5ヵ月後,20例(7.5%,2.56%/年)にみられた。発症時のPT-INRは2.2±0.9,出血のタイプは自然発症性65%,外傷性35%。なお,致死性は5例(25%,0.4%/年),重度の後遺障害(modified Rankin Score[mRS]5)は3例(15%)であった。
男性,高血圧,人工弁,脳梗塞既往,腎不全,癌,特発性イベント(spontaneous event)はすべて独立予測因子ではなかった。

●有害事象

文献: Poli D, et al.; Italian Federation of Anticoagulation Clinics (FCSA). Recurrence of ICH after resumption of anticoagulation with VK antagonists: CHIRONE study. Neurology 2014; 82: 1020-6. pubmed
関連トライアル ATRIA on and off anticoagulants, Flynn RW et al, Palla A et al, PITCH, Poli D et al
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