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Muchada M et al Baseline National Institutes of Health Stroke Scale-Adjusted Time Window for Intravenous Tissue-Type Plasminogen Activator in Acute Ischemic Stroke
結論 虚血性脳卒中患者において,発症から治療までの経過時間が転帰良好におよぼす影響は,ベースライン時の脳卒中重症度により差異がみられた。中等症患者で転帰良好が得られる時間枠は120分以内であったが,軽症および重症患者では,発症から治療までの経過時間と機能的転帰の間に関連はみられなかった。
コメント 重症度別にtPA静注療法の転帰予測因子が異なることを明らかにした点に新規性がある。ただし,サブグループの重症度の区分やそれぞれの転帰予測因子の妥当性については,より大規模な多施設症例を用いた検証が必要であろう。(岡田靖

目的 tPA静注の有効性は経時的に減少するが,発症から治療までの経過時間が短期および長期転帰におよぼす影響は,ベースライン時の重症度により大きく異なる。本研究では,脳卒中の重症度別に,治療開始までの経過時間が機能転帰におよぼす影響を検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 単施設,スペイン。
期間 対象治療期間は2001年3月~2012年9月。
対象患者 581例。当該期間中, tPA静注療法が行われた虚血性脳卒中患者連続例。
【除外基準】血管内治療施行,開始時のmodified Rankin Score(mRS)≧3。
【重症度別の患者背景】[軽症]平均年齢は転帰不良群77歳,転帰良好群66歳(p<0.001)。各群の女性54%,36%。近位部閉塞26%,13%(p=0.043)。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値7,6。治療開始までの平均経過時間174分,171分。
[中等症]平均年齢は転帰不良群75歳,転帰良好群70歳(p=0.002)。各群の女性42%,51%。近位部閉塞50%,32%(p=0.031)。ベースライン時のNIHSS中央値12,11(p=0.017)。治療開始までの平均経過時間191分,161分。
[重症]平均年齢は転帰不良群76歳,転帰良好群69歳(p<0.001)。各群の女性56%,44%。近位部閉塞80%,71%。ベースライン時のNIHSS中央値20,19(p=0.024)。治療開始までの平均経過時間164分,168分。
治療法 欧州の基準にしたがい発症から4.5時間以内にtPA静注療法を施行。
追跡完了率
結果

●評価項目
脳卒中の重症度は,軽症(NIHSS≦8)115例(19.8%),中等症(同9~15)176例(30.3%),重症(同≧16)290例(49.9%)。
3ヵ月後の転帰良好(mRS≦2)は,軽症では79.1%,中等症では60.8%,重症では26.2%であった。
脳卒中重症度別の転帰良好の独立予測因子は以下の通りであった。
[軽症]
若齢:OR 0.88,95%CI 0.81-0.95,p=0.001。
脳卒中既往なし:OR 0.16,95%CI 0.039-0.65,p=0.010。
近位部閉塞なし:OR 0.183,95%CI 0.038-0.89,p=0.035。
[中等症]
若齢:OR 0.95,95%CI 0.92-0.98,p=0.003。
近位部閉塞なし:OR 0.362,95%CI 0.17-0.75,p=0.006。
120分以内の治療:OR 2.70,95%CI 1.14-6.38,p=0.024。
[重症]
若齢:OR 0.96,95%CI 0.94-0.99,p=0.001。
病前mRS低値:OR 0.42,95% CI 0.21-0.82,p=0.011。
近位部閉塞なし:OR 0.48,95%CI 0.25-0.94,p=0.032。

●有害事象

文献: Muchada M, et al. Baseline national institutes of health stroke scale-adjusted time window for intravenous tissue-type plasminogen activator in acute ischemic stroke. Stroke 2014; 45: 1059-63. pubmed
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