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Meretoja A et al Stroke Thrombolysis: Save a Minute, Save a Day
結論 現実的に得られる,発症から治療までの経過時間のわずかな短縮により,患者の生涯にわたる有意かつ確固たる健康上のベネフィットが得られた。
コメント tPA静注療法の発症-治療時間短縮の効果をわかりやすく示した解析研究である。「年齢,重症度を問わず,無障害健康寿命が分単位でも延長する」という表現が斬新である。(岡田靖

目的 血栓溶解療法は非常に緊急を要するが,少しでも治療開始を早めることが長期転帰に影響をおよぼすかどうかについては不明確である。本研究では,治療開始を早めることにより得られる患者の生涯にわたるベネフィットを,2つのコホート(Helsinki Stroke Thrombolysis RegistryおよびSafe Implementation of Treatments in Stroke[SITS]-Australia)からモデルを構築し,検討した。
デザイン コホート研究。
セッティング Helsinki Stroke Thrombolysis Registry:単施設,フィンランド。
SITS-Australia:14施設,オーストラリア。
期間
対象患者 2,258例。Helsinki Stroke Thrombolysis Registry:1998年3月~2011年12月,ヘルシンキ大学中央病院にてtPA静注療法を受けた患者1,727例+SITS-Australia:2002年12月~2008年12月,研究参加施設にてtPA静注療法を受けた患者531例。
【除外基準】Helsinki Stroke Thrombolysis Registry:症状発現から4.5時間を超えて治療を受けた患者,症状発現から治療までの時間/脳卒中重症度/転帰が不明の患者,heparin前投与を受けた脳底動脈閉塞患者。
SITS-Australia:データ未入手例。
【患者背景】年齢中央値70歳。男性55%。高血圧60%。糖尿病15%。心房細動29%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)スコア中央値9(6~15)。症状発現から治療までの経過時間中央値125(92~162)分。3ヵ月後の転帰優良(modified Rankin Score[mRS] 0~1)37.6%。良好(同0~2)57.1%。
治療法 tPA静注療法を施行。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
発症から治療までの経過時間が1分短縮されるごとに,平均1.8日の無障害健康余命が得られた(95%予測区間 0.9-2.7)。ベネフィットはすべてのサブグループで観察された。カテゴリー別の結果は以下の通り。
高齢の軽症患者(80歳,NIHSS 4):0.9日。
高齢の重症患者(80歳,NIHSS 20):0.6日。
若齢の軽症患者(50歳,NIHSS 4):2.7 日。
若齢の重症患者(50歳,NIHSS 20):3.5日。
女性では男性にくらべ,得られる無障害健康余命がわずかに長かった。
全体コホートでは,治療までの経過時間が平均15分早まるごとに,平均1ヵ月の無障害健康余命が得られた。

●有害事象

文献: Meretoja A, et al. Stroke thrombolysis: save a minute, save a day. Stroke 2014; 45: 1053-8. pubmed
関連トライアル Austrian Stroke Unit Registry, Bray BD et al, Guillan M et al, Helsinki Stroke Thrombolysis Registry, ICARO-2, IMS III, IST-3 18-month follow-up, Madrid Stroke Network, Power A et al, PRACTISE gender difference, RESTORE, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Schellinger PD et al, Singer OC et al, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, Strbian D et al Ultra-Early Thrombolysis, VISTA baseline severity, VISTA contraindications, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法
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