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Carrero JJ et al Warfarin, Kidney Dysfunction, and Outcomes Following Acute Myocardial Infarction in Patients with Atrial Fibrillation
結論 急性心筋梗塞合併の心房細動患者において,warfarinは出血リスクを上昇させずに,1年後の死亡,心筋梗塞,脳梗塞の複合の抑制と関連していた。この関連は,慢性腎臓病(CKD)の重症度とは関連していなかった。
コメント 心筋梗塞急性期には,10%程度の症例が心房細動を経験すると以前に報告された。治療の標準化を狙う新規の経口抗凝固薬は腎機能障害症例では使い難く,PT-INRにより調節可能なワルファリンが選択されやすい。本研究は,一般にワルファリンのコントロールがシステムとして確立されている北欧のスウェーデンにおける登録研究である。ワルファリン使用の有無はランダム化されていない。すなわち,ワルファリンの選択には医師の意思が働く。本研究のような非介入試験では,副作用イベントの増加をともなわずに有効性を確認できる場合が多い。医師による患者選択が適切になされていることを示唆しているものと考える。(後藤信哉

目的 重度のCKD合併心房細動患者におけるwarfarinの死亡および脳梗塞抑制効果については,矛盾するエビデンスが報告されている。本研究では,心血管疾患合併心房細動患者において,warfarinの有効性を腎機能の関連から検討した。主要評価項目:虚血イベント(退院から1年以内の死亡,心筋梗塞および脳梗塞による再入院)の複合,出血イベント(退院から1年以内の出血による再入院),前記2つの複合。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設(72施設),スウェーデン。
期間 対象入院期間は2003~2010年。
対象患者 24,317例。SWEDEHEART(エビデンスにもとづいた心臓病治療のための登録研究)登録患者のうち,2003~2010年に急性心筋梗塞のため入院した心房細動患者。
【除外基準】血清クレアチニン,warfarin治療に関するデータがないなど。
【患者背景】年齢中央値は非warfarin群80歳,warfarin群78歳。各群の男性58.2%,63.9%。eGFR(mL/分/1.73m2)>60:48.1%,48.8%,>30~60:41.4%,42.9%,>15~30:8.4%,7.0%,≦15:2.2%,1.2%。糖尿病27.5%,30.4%。高血圧53.4%,54.0%。脳梗塞17.8%,23.3%。出血11.2%,7.2%。
治療法 退院時にwarfarinを処方されたのは5,292例(21.8%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
warfarin非使用にくらべ,warfarin使用は各CKDステージにおいて虚血イベントを抑制した(発症9,002件)。
eGFR>60:warfarin群28.0件/100患者・年vs. 非warfarin群36.1件/100患者・年,HR 0.73,95%CI 0.65-0.81。
同>30~60:48.5件/100患者・年vs. 63.8件/100患者・年,HR 0.73;0.66-0.80。
同>15~30:84.3件/100患者・年vs. 110.1件/100患者・年,HR 0.84;0.70-1.02。
同≦15:83.2件/100患者・年vs. 128.3件/100患者・年,HR 0.57;0.37-0.86。

warfarin群において,出血イベント(発症1,202件)の有意な上昇はみられなかった。
eGFR>60:5.0件/100患者・年vs. 4.8件/100患者・年,HR 1.10,95%CI 0.86-1.41。
同>30~60:6.8件/100患者・年vs. 6.3件/100患者・年,HR 1.04;0.81-1.33。
同>15~30:9.3件/100患者・年vs. 10.4件/100患者・年,HR 0.82;0.48-1.39。
同≦15:9.1件/100患者・年vs. 13.5件/100患者・年,HR 0.52;0.16-1.65。

warfarinは虚血・出血の複合を抑制した(発症9,592件)。
eGFR>60:32.1件/100患者・年vs. 40.0件/100患者・年,HR 0.76;0.69-0.84。
同>30~60:53.6件/100患者・年vs. 69.0件/100患者・年,HR 0.75;0.68-0.82。
同>15~30:90.2件/100患者・年vs. 117.7件/100患者・年,HR 0.82;0.68-0.99。
同≦15:86.2件/100患者・年vs. 138.2件/100患者・年,HR 0.55;0.37-0.83。

●有害事象

文献: Carrero JJ, et al. Warfarin, kidney dysfunction, and outcomes following acute myocardial infarction in patients with atrial fibrillation. JAMA 2014; 311: 919-28. pubmed
関連トライアル ACS後の心房細動患者におけるwarfarin使用と転帰, AFASAK 2 1999, ARISTOTLE, ARISTOTLE cardioversion, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, Avgil Tsadok M et al, Bjorck S et al, ENGAGE AF-TIMI 48, Lamberts M et al, Larsen TB et al, Olesen JB et al, PROTECT AF, RE-LY, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, Shah M et al, SPAF II 1994, SPAF II 1996, SPAF III 1998, SPORTIF INR control, SPORTIF risk of bleeding, SPORTIF V, Swedish Atrial Fibrillation cohort study, Swedish Atrial Fibrillation Cohort Study: net benefit, 心房細動患者の脳卒中予防におけるwarfarinの心筋梗塞保護効果, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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